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第一部
邪神と初代勇者の伝説③
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「『創造神ゲオルギウス』は嘆き悲しみ、犯人を憎みました。犯人を手にかけました。しかし憎しみは消えません。娘を失った悲しみも消えません。『ゲオルギウス』は人間を憎み憎み憎み、壊れ、狂い、堕ちた神、邪神となりました。そして人間も他の動物も自然も全てを壊し始めました」
仲の良い夫婦だったに違いない。
お嫁さんをとてもとても愛していたんだろう。
そんな世界を作った神様が狂って邪神に…
そんなの止められない。
誰も太刀打ちできない。
「ゲオルギウスが狂い邪神となり、瘴気は消せるものがいなくなりました。世界には瘴気があふれ邪神の殺戮によってさらに瘴気は膨れ上がります。他の神々がなんとかしようと手を尽くしました。ある者はやめるよう説得しますが言葉はもはや届かず、ある者は邪神と戦いますが敗れ、ある者は瘴気を封印しますが焼石に水。邪神を誰も止められない。世界は滅ぶとみな絶望しました。しかし、立ち上がった人間がいました。のちに初代勇者と呼ばれるアーサーという若者です」
初代勇者、ウィルのご先祖様。
そんな相手にどう立ち向かったの?
恐ろしくはなかったの?
とても勝てる見込みのない絶望的な力の差がある相手なのに。
「彼は異世界の創造神の力を借りました。異世界の創造神はアーサーに一柱の『女神』と『聖女』を授けます。その『女神エールヒルデ』は光の魔法の力をアーサーに与えました。『聖女』は異世界の創造神の力を授けられた人間の娘であり瘴気に終わりを与えて消すことができました。アーサーと聖女はその光の力で魔物を倒し瘴気も消していきました。そして賛同した仲間たちと共に邪神と戦います」
異世界とは地球のことだろう。
地球の神様がウィルのご先祖様に手を貸したのか。
ウィルのご先祖様はどんな人だったのだろう。
彼と同じく真面目でまっすぐで正義感に溢れていたのかな。
「しかし邪神はあまりに強く倒しきれません。このままでは異世界の神にまで力を借りたというのに負けてしまう。絶望感がアーサーたちを襲います。そんな中で仲間の一人、アーサーの親友の魔法剣士リュシオンが提案します。『自分に邪神を封印して自分ごと邪神を殺せ』と」
息を呑んだ。
アーサーの親友、リュシオン。
「反対するアーサーを振り切りリュシオンが自らの体に邪神を封印しました。アーサーは涙を堪えリュシオンごと邪神を剣で貫きます。聖女も魔法をリュシオンに放ちます。しかしそれでも完全に邪神を倒せません。すると『女神エールヒルデ』が全ての力を使いリュシオンごと邪神の封印を決意します。
懸命に世界のために戦っていたアーサーたちを愛した『女神エールヒルデ』は喜んで封印に力を使い果たしお隠れになりました。こうしてリュシオンと『女神エールヒルデ』により世界は救われました。アーサーは聖女と婚姻しエルグラン王国を建国しました。そして光の魔法を子孫に伝えていったのです。これが1000年前の邪神の正体とそれにまつわる戦いの顛末です」
全員がいつの間にやら足を止めてひとりの男を見ていた。
「リュシオン様は黒髪にアメジストのような紫色の瞳の凄腕の魔法剣士だったそうです」
教皇の付け足された容貌にぴったり当てはまる男、リュシオンは冷静に周囲の視線を受け止めていた。
仲の良い夫婦だったに違いない。
お嫁さんをとてもとても愛していたんだろう。
そんな世界を作った神様が狂って邪神に…
そんなの止められない。
誰も太刀打ちできない。
「ゲオルギウスが狂い邪神となり、瘴気は消せるものがいなくなりました。世界には瘴気があふれ邪神の殺戮によってさらに瘴気は膨れ上がります。他の神々がなんとかしようと手を尽くしました。ある者はやめるよう説得しますが言葉はもはや届かず、ある者は邪神と戦いますが敗れ、ある者は瘴気を封印しますが焼石に水。邪神を誰も止められない。世界は滅ぶとみな絶望しました。しかし、立ち上がった人間がいました。のちに初代勇者と呼ばれるアーサーという若者です」
初代勇者、ウィルのご先祖様。
そんな相手にどう立ち向かったの?
恐ろしくはなかったの?
とても勝てる見込みのない絶望的な力の差がある相手なのに。
「彼は異世界の創造神の力を借りました。異世界の創造神はアーサーに一柱の『女神』と『聖女』を授けます。その『女神エールヒルデ』は光の魔法の力をアーサーに与えました。『聖女』は異世界の創造神の力を授けられた人間の娘であり瘴気に終わりを与えて消すことができました。アーサーと聖女はその光の力で魔物を倒し瘴気も消していきました。そして賛同した仲間たちと共に邪神と戦います」
異世界とは地球のことだろう。
地球の神様がウィルのご先祖様に手を貸したのか。
ウィルのご先祖様はどんな人だったのだろう。
彼と同じく真面目でまっすぐで正義感に溢れていたのかな。
「しかし邪神はあまりに強く倒しきれません。このままでは異世界の神にまで力を借りたというのに負けてしまう。絶望感がアーサーたちを襲います。そんな中で仲間の一人、アーサーの親友の魔法剣士リュシオンが提案します。『自分に邪神を封印して自分ごと邪神を殺せ』と」
息を呑んだ。
アーサーの親友、リュシオン。
「反対するアーサーを振り切りリュシオンが自らの体に邪神を封印しました。アーサーは涙を堪えリュシオンごと邪神を剣で貫きます。聖女も魔法をリュシオンに放ちます。しかしそれでも完全に邪神を倒せません。すると『女神エールヒルデ』が全ての力を使いリュシオンごと邪神の封印を決意します。
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「リュシオン様は黒髪にアメジストのような紫色の瞳の凄腕の魔法剣士だったそうです」
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