魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

魔導書の魔物討伐ー初級〜中級編ー②

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あとはファントムを倒さないと。
辺りを見回せば紫のフード付きローブを見に纏った中身が黒い靄のファントムは、なにやら黒い蔦状のものに締め上げられてもがいている。
幽体で物理的に触れられないはずなのにどういう状況だろう。


「400年魔族をやっていますので戦い方を研究しまして、このように魔物を濃密な魔力で圧死させ倒せるようになりました」


より蔦に締め上げられたファントムは力尽きたようにその姿を保てなくなり霧散した。
黒い蔦はツヴァイの強い魔力によるものだった。
 

「完全に魔物化したものは瘴気しかもたなくなるが、自我や理性を持ちながら魔物化した"魔族"は魔力をもったままだ。だから魔族は魔法が使える。魔力は瘴気の影響で強力になるようだ。あいつは人の身だった頃より魔導士として強くなった」

「人の身ではできなかったファントム退治が、魔族化してできるようになりました。伸び代があるのは
実に研鑽しがいがあります」


口端を上げるだけでツヴァイは笑った。

わたしはファントムのもがき苦しむという光景に遠い目になっていた。神官が神の奇跡で祓ったり、聖女あるいは勇者が浄化しないと倒せなかったファントムを倒す画期的な研修成果だけど絵面がホラーだった。


「それから先ほどのハーピーは完全に魔物化していた。ああなっては倒すしかない」
「…うん」


完全に魔物化したら理性はもう取り戻せないだろうし人にも戻らないだろう。
たくさん魔物を浄化してきてわかったことがある。
魔物は核みたいなのが存在の中心にある。あれはきっと魂なんじゃないかと思う。それがドロドロな真っ黒なモノになっている。たぶん瘴気で。
あれは浄化しても綺麗にはならなくて霧になって消えてしまう。
メデューサの女の子のはきらきら光って綺麗な核だった。あの状態ならまだ助けられたし本能的に助けられると分かった。

完全に魔物になったものを救うにはもはや倒してしまうしかないのだろう。これは割り切ってやっていくしかないかと気持ちを切り替えた。

リザードマンのギャアギャアという鳴き声によってまだ魔物がいることを思い出したわたしは、複数の光の槍を魔物の集められた氷の檻に撃ち込んだ。


「ホーリージャベリン!」


撃ち込むと同時に氷の檻が砕け散り神聖魔法の光が反射して戦いの最中だというのに美しく輝いて幻想的な光景だった。
光の合間から黒い霧が散っていく。
後には魔物はいなかった。

それにしても戦いやすかった。
ツヴァイが魔法で敵の動きをコントロールして、魔王がこぼれたのを倒し、わたしが浄化して倒す。

チームが機能するとこんなに戦いやすいのかと勇者パーティの他2人の使えなさに今更ながら気付かされた。
アイツらウィルに敵に突っ込ませてわたしを盾にして自分たちは後方から魔法撃ち込んでたけどもっと効率的な戦術あったでしょ。この2人を見習え。
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