魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

歳相応なところもある②

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食事が終わるとテーブルの上の食器をツヴァイがトレーに集めて転移させた。
どこにやったのか聞いたら厨房のテーブルに移したらしい。こっちから任意の場所に送ることもできるのか。本当に便利だ。


「あ、あとでレターセットと書くものとインクを貰える?」
「いいですが手紙を書くのですか?」
「うん、勇者のウィル宛に。転移の魔法で送ってもらえる? 心配してるかも知れないから無事を知らせたいの」
「ほう、勇者殿か。なんだなんだ連れ去りでもしてきたのか王よ?」
「あながち間違いでもないな。用意させよう。書いたら俺に渡せ。勇者に直接送りつけてやろう」
「ウィルの居場所、把握してるの?」
「知っている個人は魔力を感知すれば距離があってもおおよその位置はな。いまはーーーロンバルディの王都近くに複数人といる」
「そっか、無事に王宮につけそうだね。そういえば、あなたわたしの近くに現れてたけどあれも魔力感知して位置を把握してたんだね」
「それもできるがこれを使っていた。いつでもどれほど離れていても常に詳細な位置を把握できる」


魔王がテーブルの上に置いたのは見覚えのある指輪。わたしを監視するべく勇者一行の一員だった魔導士が付けていた魔導具だ。


「え、なんであなたが持ってるの?」
「預かって有効活用した。おかげで位置特定が楽で
重宝した」
「…」


それはちょっと…と思ってしまった。
発信機というかGPS機能が備わっているようなものだから、プライバシー的にそれを使うのは遠慮してもらいたい。なんか、こう、犯罪ぎりぎりなラインな感じがする。


「それ…渡してもらえる?」
「なぜだ?」
「いや…もうわたしこの城にいるわけだし必要ないでしょ?」
「なにかの時に役に立つかもしれんだろう」
「いやなにかの時とかなんの時?」
「危険な目にあうかもしれんだろう」
「いや…」


ガエルはツヴァイに近寄り声をひそめて話しかけた。


「ここに居れば危険など何もなかろうに。我ら配下はもちろん危害を加えぬし、城にいる限り魔物の脅威もない。狂信者どももここには手を出せんというに」
「同意します」
「だとすると少々過保護に感じるな。あるいは真に常に居場所を把握していたいのか。…なににも頓着せず淡々と邪神の封印のため動いてきたお方がなぁ」
「聖女という貴重な協力者だからでしょうかね」
「それだけではないのではないか? からかって遊んで楽しげだった。あんな王ははじめて見た」
「…たしかに楽しげにしていましたね」


ツヴァイのピンときてなさそうな反応に「この手の機微は難しかったか」とひとりごち、ガエルは交渉中の2人を見やった。
ガエルは童のごとき天真爛漫な気性をもちながらも、生きた年月で自然と鍛えられた洞察力をもちあわせた男だった。
変化が起きる兆しを感じ「よいことだ」としばらくそれを眺めていた。
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