魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

魔王城での初日の終わり①

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「すまんな、つい楽しくなって聖女殿をこれほど疲弊させてしまった」
「わたしも調査に気をとられてしまい申し訳ありませんでした」
「ううん、謝らないで。わたしも調子に乗っちゃったんで…」


執務室のソファーに寝かせられているわたしを囲んで申し訳なさそうにしている2人に謝罪された。


「でも限界は知れたからよかったじゃない?」
「確かにな。魔導書の魔物と戦ったことを加味するにオルトロス20体分倒せる魔力量がありそうだ」
「凄いではないか! 歴代の聖女とくらべて多いのではないか?」
「1000年前の初代に並びつつあるな。お前の魔力量は以前より増えているようだ」
「そうなのか?」
「うん、力を使うたびに増えていってるみたい。旅をはじめたころはスライム3匹で限界だった」
「それは少なすぎです。しかしこちらの世界に来てから一年足らずの間にずいぶんと急成長されていますね」


そうなのだ。
聖女の力を使えば使うほどその魔力量も魔法の威力も増えていっている。
半年ちょっとでここまで増えたのはひとえに恐怖に負けずに魔物と戦い続けたからだ。自分で自分を褒めてもいいと思う。


「ここで毎日浄化をたくさんしていればぐんぐん増えて強くなっていくんじゃないかな」
「1年後にはオルトロス50体はいけるようになるな!」
「そんな単純計算ではないでしょう」


1年後……か。そんな先に魔王城というかこの世界にいるかはわからないけど案外倒せるようになるかもしれない。


「しかしこれ程の力があるのだ。我らに協力してくれるとなるとどれほどのことができるのかと高揚してくるな!」
「それは同意します。常に我々は邪神による滅亡の危機に対し防戦一方でしたが、リンカ様のおかげでようやく攻勢に出られそうです」


ずっと弱まった封印を維持して問題の解決を先送りするしかなかったものね。なんとかしたくても聖女や勇者が協力しないとどうしようもなかったろう。


「どういう手順とか方法で瘴気を浄化したいとか、邪神の封印に手をつけたいとか、ある?」
「あるな。だがやるとしても明日だな。今日はもう力を使うのは禁止だ」
「はい… おとなしく従います」
「では夕食までゆっくり休んでください」
「あ、じゃあ手紙を書く道具をください。いまから書くんで」
「わかりました。少々お待ちください」
「では俺様もいくとしよう。うちのやつらをブラッシングしておきたい」


魔獣もブラッシングするのか。豆知識が増えた。
ガエルとツヴァイが部屋を出ていき部屋には魔王とふたりきりとなった。


「本当に眠らなくていいのか? 魔力が枯渇して体が辛かろう?」
「いや、大丈夫。ちょっと休めばすぐ回復するよ」


魔王は軽くため息をつくとソファーから離れた。


「手紙を書くなら他に誰かいると気が散るだろう。俺は隣の部屋にいるからなにかあったら声をかけろ」


視線を向けた先には隣室につながる内扉があり、私室と行き来できるらしい。
しかしながら魔王が部屋で何をするのか気になる。


「部屋でなにするの?」
「執務だ」
「執務?」
「支配地域での魔物の分布を確認し、強力な奴が増えているようなら排除を指示する。ほかにも部下の魔族たちに指示をすることが多々ある」
「魔物の駆除してるの意外…  魔族もいっぱいいるの?」
「数十人いる。この城にいるもの以外は各地に散って情報収集や魔物の排除を人に紛れてしている。ほかにも邪神教徒の根城を潰したり、邪神に対抗する手段を探ったり、物資調達をしたりだ」
「密かにいろいろ動いてるんだ」
「ああ、他に人間の協力者探しもしているがそれは芳しくない。魔族と明かすだけで人間は逃げるし話を聞かなくてな」
「怖がられて埒があかないね…」
「お前くらいなものだ。魔王の俺に啖呵切ってきた肝の座った奴は」
「う…」
「とりあえずゆっくりしていろ。初日からへばるなよ」
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