魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

封印の修復②

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「これが漏れる原因かな?」
「もう何かわかったのか? どれだ」


魔王、ツヴァイ、ガエルが結界に顔を近づけて覗き込んできた。


「ほらここ、小さなヒビが入ってて瘴気が内側から漏れてる」
「うん? 俺には見えんがヒビがあるのか?」
「あれ、見えないの? ツヴァイとガエルは?」
「見えません」
「さっぱりだな」
「お前にしか見えていないのではないか?」


これは聖女スキル的な力によってわたしだけに見えているのかな。
しかし見えたけどこれ塞がないとだよね。
どうやって塞ごう?
わたしの魔法で塞がるかな?
うーん、わからない。


「ものは試しで魔法使ってみるね」
「ああ、まかせた」


任せたなんて言ってくれちゃって。
失敗したらどうしようと思いながら初級の魔法をヒビ割れ部分にかけてみる。


「ホーリードロップ」


光の雫がヒビ割れに落ちて輝いた。
そこから金色の光が放たれ、波紋のように結界全体へと広がっていく。初めてみる魔法の動きだ。
そして10秒ほどで光は収まった。
ーーーヒビは塞がっていた。


「あっ 塞がった!」
「本当か!?」
「嘘でしょう!?」
「なにーーーーー!?」


魔王が、ツヴァイが、ガエルが仰天している。
結界のヒビのあった部分をさわっても引っかかりはなにもなく、それどころか表面はすべすべしていて修復前より明らかに滑らかになっていた。


「瘴気の漏れも、止まったみたい」
「瘴気も…」
「こんなに短時間で…!」
「なにーーーーー!?」


3人とも目を見開いて微動だにしなくなった。
数十秒、沈黙が続いた。


「本当に、もう瘴気は漏れていないんだな?」
「うん」


その沈黙を破ったのは魔王だった。
わたしが肯定すると何を思ったか彼はわたしの目の前にひざまずいた。
わたしは突然の想定外な事態に身動きできなくなりただただ彼を目で追うことしかできない。
魔王はわたしの右手のひらに手を伸ばすと自らの額まで持ち上げた。


「感謝する、リンカ」


とても、深い深い万感の想いが込められた言葉を送られた。


「は、はは、ははははははははっ!! 長年の課題がひとつ解決したぞ!!」


ガエルが笑い出し、ツヴァイが我に帰ったように息を吐き、謁見の間は歓喜に包まれた。
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