魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

瘴気の血管②

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わたしはあの森こと、女神ウララの森にかけた魔法を放った。
あの時は祭壇のあった土地からこんこんと湧き出る瘴気を浄化するべく、それ土地に向けて浄化魔法を使った。デュラハンが延々と湧き出てくるのは地面からだ。ならあの時と同じく土地に行き渡らせたら解決出来るかもしれない。
光の雨が収まると、辺りの土地は浄化され瘴気はなくなっていてデュラハンは出なくなった。
これでもう大丈夫かな?
周辺を感知してみるとやはり魔法を使った範囲はきちんと浄化されている。ほっとした。でもそれは束の間だけだった。
浄化した一帯が、紙に水が浸透していくようにじわじわとまた瘴気に汚染されていくのが感じとれた。


「瘴気が…」
「浄化したばかりだというのに元に戻っていく?」


そんな速さで瘴気がまた広がってしまうなんてどうして? 今まではこんなことにならなかった。


「もう一度やってみる!」


わたしはもう一度ホーリーレインを使った。
今度はさっきより魔力を込めたつもりだ。
地面に視線を向けるとさっきよりより広範囲が浄化されている。よく目をこらして感知能力の感度を上げより細かく観察する。なにか手がかりがあるはず。
目の奥が痛み、軽く頭痛がして顔をしかめた。


「どうした、痛むのか? やめろリンカ」


魔王に肩を掴まれ静止されるも続けた。
この謎を解かないと浄化はきっといつか行き詰まる気がする。だから今、原因のカケラだけでも掴みたかった。
表面を細かくみたけれどなにも変わったところは見つからない。
ならばと原因を地下に定めて深く深く、潜った。
全ての意識を感知に向ける。
深く深く、その一帯の地下へ地下へと潜っていく。そうしていくつも地層を抜けて、深い深いその場所で黒い影ーー瘴気が感知に引っかかった。
逃してなるものかと引っかかった地点を起点にして感知範囲を広げた。
瘴気は線状に繋がって、血管のように枝分かれしているのがわかった。流れもあるようだ。本当に血管のようでそれなら心臓部はあるのだろうかと辿っていく。


「ねえ、わたしを抱えて飛んで連れてってくれる?」
「ああ、もちろんだ。どこへ向かえばいい?」


わたしは魔王に抱えられながら、上空から瘴気の線を辿った。血管のように伸びるそれをたどり、より太い線にたどり着き、さらにそれを太い方へと辿っていく。
どれだけの距離を移動したのかわからない。山をいくつも越え、長い時間空中を移動した。そしてその枝の心臓部らしき場所を見つけた。一つの地点を中心にして線が放射状に広がっている。


「あれが、瘴気の線の中心だよ…」
「あの場所は…」


血管のように枝分かれした線の中心、その心臓部には魔王城が建っていた。
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