魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

調査開始①

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「魔王支配領域内では魔物が発生しやすいが、中でも強い魔物が発生している地域を確認したい」
「強力な魔物って?」
「それは遭遇してのお楽しみだ。まぁ手こずったりはしない程度だが」
「それ誰の基準?」
「俺だが」
「いや、世の中の基準より遥かに強い人が語っても説得力ないから」
「ガエルだって同意するはずだ」
「あの人も基準を語っていい人ではない」


魔王城を発ったわたしたちは、まずは魔王城に近い場所から確認して回ることにした。
ツヴァイ手製の地図を広げると魔王が一点を指差す。


「この場所だ」


地図には複数箇所に赤い点で印を書き込んである。
みんなで確認する場所の意見を出してピンで刺したところを赤いインクで塗ったのだ。これで持ち運びやすくなって出先で広げられる。
それから魔物が発生しやすかったり、強力な魔物が出現しやすい場所は前々から把握していて、定期的に排除していたらしい。

以前ガエルが魔獣たちと『間引き』しているといっていたのがこの仕事だそうだ。ケルベロス級の魔物相手に大変だなと思ったけど、ガエルとお供の魔獣グリフォンだけで渡り合えそう。魔王に聞けば「ガエル一派にかかればお遊び」とのこと。敵じゃなくて良かった。


「魔物の発生の仕組みははっきりとはわかっていません。しかし瘴気が濃い地周辺で生まれているようだとはわかっていたのです」
「動物が瘴気取り込んで魔物になるのだから、動物を駆除すれば魔物も生まれないんじゃない?」
「理屈で考えればそのはずです。しかしそれが成立していなかったのです。この魔王支配領域は動物は新たに生まれる環境ではありません。瘴気が蔓延しているために草花は生えず木は枯れて虫さえいない。動物もいるはずがない。それなのに魔物は発生しています」
「動物が魔物化してるわけじゃない?」
「わたしはそう考えました。しかし物証がなく手詰まりでした。それが原因が地脈の可能性が高いとわかった。この魔物発生の理論は大いに検証しがいがあります」


ツヴァイは研究者魂に火がついたようで一緒に調査に行きたがった。しかし魔王が「書庫の本を読破してからなら許可してやろう」といつ終わるとも知れない命令を出した。たぶん熱意ありまくりなツヴァイがついてきたらウザイから連れて行きたくなかったんじゃないかな。彼は「調査記録を楽しみにお待ちしています」とガエルを引き摺るようにして書庫に向かった。
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