魔王城での聖女生活~異世界に聖女として呼ばれましたが実は世界を守ってた魔王を聖女の力で助けます~

四乃

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第二部

天に帰る数多の魂たち②

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やがて細い糸だったものは巨大な光の柱となり、ゆっくりとカースドラゴンを飲み込んだ。
光の向こうでカースドラゴンの形が崩れていく。


"あたたかい"
"やっと解放される"
"もう痛くない…"


安堵したようなやわらかい雰囲気の声が聞こえてきた。あの人たちが浄化されて魂を閉じ込める牢獄から解放されようとしている。


"悪い夢を見ていたみたいだ。頭がすっきりしている"
"やあね、とっくに体なんて無くしているのよわたしたち"
"あぁ、そうだったね。やっと終われるんだ俺たちは"
"あの人は先にいったのかしら…"

"リディア、俺はここにいる"


声が後ろから聞こえた。
振り返ると見たことのない若い精悍な男性が立っていた。でも声は聞き覚えがあった。


"バート! あなたどこに居たの? もう先に向こうに旅立ったのだと…"

「あ…」


過去の幻視で見たオーガにされたバートという剣士だ。柱の中からは一つ光の珠が出てきた。もしかしてリディアさんという人の魂だろうか。


"オーガ仲間数人で逃げ出して助けを呼びにいったんだが途中で自我を失って完全にオーガになってしまったみたいでな。さっき眼帯少年にぶっ殺されるまでずっと人間だったことも忘れて森を彷徨っていたんだ。間抜けだよなぁ"


そうか、さっき旧道で倒したのがバートたちだったのか。倒されてもすぐ天国に行かずにわたしたちに付いてきたのは、もしかしてこの女性や他の魔物化した人たちが心配で?
バートが光の柱の方に歩き出した。そうして歩きながら振り返りわたしに話しかけてきた。


"聖女様にお願いがある。逃げた森の中に連中が後生大事にしていた箱を埋めたんだ。俺たちは中身は知らないが何か役に立つかもしれない。命懸けで持ち出したものだ。活用してくれたら嬉しい"


「…はい、必ず見つけます」


"頼む。…これで心残りはもうない。一緒に行こうリディア"


彼は人の姿を失い光の珠となってもう一つの光の珠と共に光の柱へと入っていった。

そしてカースドラゴンを飲み込んでいた光の柱は鮮烈に光を放ち消えた。
そこにカースドラゴンの姿はなく、その場所には数百はあるだろう光の珠が浮かんでいて、順にふわりふわりとわたしへと近づいてきた。
わたしの周囲をくるりと周り終えるとこれまた順に空へ向かい消えていく。
きっと捉えられていた魂がお礼を言ってくれているのだと思った。異様な光景なはずなのに全然怖くなくて、むしろ感動して涙ぐみながら彼らを見送り、全員が空へと帰って行くのを見届けた。
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