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第二部
熱心な若人①
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「さて、駄目で元々、行ってみよう」
ヴラドは白い便箋の異国人推薦状を右手に掲げてひらひらと振りながら王城の門番に輝くような笑顔で近づいていった。
「やぁ、僕はグリューフェルト伯爵。テオドール殿下にお会いしたい」
門番は二人が頑丈で優美な装飾が施された門の前に、右手には門番の詰め所があるようで、そちらからも二人程顔を覗かせている。交代要員または緊急時のために多く配置されているのだろう。
門番二人はヴラドの名乗りに疑問が顔に浮かんでいた。伯爵の地位にある人物が直接門番に声かけをし、馬車にも乗らずに徒歩で来て、後ろには貴族のお付きには見えない黒ずくめの男と狼連れた筋肉男に小娘。どんな集団だと疑問にも感じるだろう。
しかしヴラドが持つ白い便箋に気がつくと疑問が一つ解消されたようで若干態度が軟化した。
「伯爵閣下は異国の方ですかな?」
「うん、そうだよ。だからほら、推薦状も職務に真面目な騎士殿にもらってここに」
「確かに。はるばるようこそおいで下さいました」
「いやいや、殿下にお会いできるなら些事ですよ。ですが順番待ちをしなければいけないのでしたね… いかほど僕の前に待っているのでしょう?」
「申し訳ありませんが伯爵の前には50組はお待ちです…」
「50…」
「いすぎだ」
わたしとガエルが嘆き、正攻法はそれこそいつ順番が回ってくるのかわからないから駄目そうだ。
「急ぎの用件なのだけれどどうにかならないかい?」
「申し訳ありませんが順番は守っていただきたい」
「君は今お金に困ってたりしな…もがっ」
「今のはしょっ引かれかねないからやめておけ?」
「よく聞こえなかったが今なんと言ったんだ?」
「昨日深酒しすぎてまだこの男は酔っているのでおかしなことを口走ったようだ。すまんな」
酔っ払いがグレーな交渉を公僕に朝から人目のあるところで堂々とやりそうだったのをガエルがかろうじて防いだ。首に腕を回し口を手のひらでしっかり押さえているのだけれど、ヴラドがガエルの首に回した腕を叩いている。もしかしてキマっているのだろうか?
それはともかくヴラドに交渉させるのが不安になってきた。
「しかし困った。急ぎでかつ重要な話をしたいのだがな」
ガエルがヴラドの口をまだしっかり押さえながら心底困った感を出していると門番二人は顔を見合わせ含みのある顔をした。なにかあるのだろうか。もしかして重要だと言ったから本人にお伺いを立ててくれたり特別なルートとかーーー
「実はテオドール殿下、朝日が登ってすぐ出かけていていないのだ。会わせてやりたくとも無理だ」
「朝早っ」
「ニワトリより早く起きているのではないか?」
ヴラドは白い便箋の異国人推薦状を右手に掲げてひらひらと振りながら王城の門番に輝くような笑顔で近づいていった。
「やぁ、僕はグリューフェルト伯爵。テオドール殿下にお会いしたい」
門番は二人が頑丈で優美な装飾が施された門の前に、右手には門番の詰め所があるようで、そちらからも二人程顔を覗かせている。交代要員または緊急時のために多く配置されているのだろう。
門番二人はヴラドの名乗りに疑問が顔に浮かんでいた。伯爵の地位にある人物が直接門番に声かけをし、馬車にも乗らずに徒歩で来て、後ろには貴族のお付きには見えない黒ずくめの男と狼連れた筋肉男に小娘。どんな集団だと疑問にも感じるだろう。
しかしヴラドが持つ白い便箋に気がつくと疑問が一つ解消されたようで若干態度が軟化した。
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「確かに。はるばるようこそおいで下さいました」
「いやいや、殿下にお会いできるなら些事ですよ。ですが順番待ちをしなければいけないのでしたね… いかほど僕の前に待っているのでしょう?」
「申し訳ありませんが伯爵の前には50組はお待ちです…」
「50…」
「いすぎだ」
わたしとガエルが嘆き、正攻法はそれこそいつ順番が回ってくるのかわからないから駄目そうだ。
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「申し訳ありませんが順番は守っていただきたい」
「君は今お金に困ってたりしな…もがっ」
「今のはしょっ引かれかねないからやめておけ?」
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「昨日深酒しすぎてまだこの男は酔っているのでおかしなことを口走ったようだ。すまんな」
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