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第二部
救援、または脅威①
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炎の壁が消え、床に倒れる女神アールストゥの姿が現れた。衣に燃えた様子は見られないことから炎のダメージはなかっただろう。女神を地に臥させたのは投げ入れられた瘴気だった。
「神殿にたどり着く道に瘴気はありませんでした。シャルロッテ王女殿下に悪影響がないよう、すべて貴女が取り込んだのでしょう? ただでさえ魔法陣から地下に注がれた瘴気で弱っていたところにさぞ効いたことでしょう。そして今のがとどめとなった。もはや起き上がる余力はない。貴女の負けです」
神官クイールが嬉々とした勝利宣言をしても女神はうめき声をあげるのみで身動きができない。
シャルロッテは信じたくない光景に、恐ろしさに体が震えた。ずっと自分たち家族を、街を見守ってくれていた温かく優しい女神様が命の危機にある。消滅させられてしまう。悪しき者によって。
けれど希望はまだある。兄が必ず自分を探しに追って来てくれる。どんなに危険だろうと誰に止められようと姿を消した自分を助けに必ず来る。そういう兄だ。そして、きっと一緒にあの方、聖女のリンカ様も兄の力になってくれる。見ず知らずのわたしを助けてくれた優しい人だからきっと。
兄とリンカ様と、お仲間の方々が来てくれたらきっときっとなんとかなる。だから時間を稼ぐのが自分にできる最善で唯一の方法だ。
「さて、女神を拘束しましょうか。カサンドラ」
「ええ、けれどわたしの魔法で女神を拘束できるのかしら?」
「それはやってみないとわからないですね。あなたの腕の見せ所です」
縮こまった心を奮い立たせシャルロッテは声を上げた。
「め、女神様を神子とやらに捧げるのですか?」
一斉に視線が集まり、嘲笑しながらクイールが肯定した。
「そうですよ。神子様が手を煩わせることなく女神が取り込めるように我々が手足をもいで献上するのです」
「そのために何十年もかけてメトセラール家は功績を立て、城に上がり邪神信仰者を潜り込ませ、女神様に瘴気を送り込み、今度は神子などと僭称する者に女神様をっ…」
「神子様と我々を愚弄するか小娘!!」
「うぁっ!」
敵の注意を女神様から自分に向けさせるため、わざと煽った。しかし想像以上に逆鱗に触れてしまったようで、クイールに頬を張られ痛みが走った。
「神殿にたどり着く道に瘴気はありませんでした。シャルロッテ王女殿下に悪影響がないよう、すべて貴女が取り込んだのでしょう? ただでさえ魔法陣から地下に注がれた瘴気で弱っていたところにさぞ効いたことでしょう。そして今のがとどめとなった。もはや起き上がる余力はない。貴女の負けです」
神官クイールが嬉々とした勝利宣言をしても女神はうめき声をあげるのみで身動きができない。
シャルロッテは信じたくない光景に、恐ろしさに体が震えた。ずっと自分たち家族を、街を見守ってくれていた温かく優しい女神様が命の危機にある。消滅させられてしまう。悪しき者によって。
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兄とリンカ様と、お仲間の方々が来てくれたらきっときっとなんとかなる。だから時間を稼ぐのが自分にできる最善で唯一の方法だ。
「さて、女神を拘束しましょうか。カサンドラ」
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縮こまった心を奮い立たせシャルロッテは声を上げた。
「め、女神様を神子とやらに捧げるのですか?」
一斉に視線が集まり、嘲笑しながらクイールが肯定した。
「そうですよ。神子様が手を煩わせることなく女神が取り込めるように我々が手足をもいで献上するのです」
「そのために何十年もかけてメトセラール家は功績を立て、城に上がり邪神信仰者を潜り込ませ、女神様に瘴気を送り込み、今度は神子などと僭称する者に女神様をっ…」
「神子様と我々を愚弄するか小娘!!」
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