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第2話 臨時のアルバイト
午前の診療が終わり、昼食時間に入る。
食事が出るのもこの職場の魅力の1つだったりする。院長の奥さんの手作りで、料理上手だから何でも美味しい。
「そういえば来週は祝日があるけど、何か予定はあるか?」
昼食の最中に院長に尋ねられた。
「いいえ、特にないですけど」
祝日は基本的にこの病院もお休みだ。
「もしよければ祝日に臨時のアルバイトをしないか?」
「かまいませんけど、何をするんですか?」
稼げるのはありがたいけど、たぶんこの病院じゃない仕事ってことだよね。
「今の王宮専属の動物治癒士は俺の師匠なんだが、高齢で引退することになってな。後任は俺の先輩に決まってるんだけど、師匠が引継ぎ用に管理台帳の更新作業をしたいそうで、祝日も作業したいから記録係が欲しいらしい。主に馬を診てまわることになるそうだ」
「えっ?それって王宮へ行くってことですか!」
一生縁がないと思ってた王宮に足を踏み入れるチャンスってことだよね
?!
長期休暇で故郷に帰ったら家族や友人にちょっと自慢できるかも。
「ああ、俺も行くから心配は要らないぞ。治療はしないだろうが、君の能力を生かす機会はあるかもしれないな」
そう。
私は動物と会話することが出来る。
魔法学院に入学して初めて知ったけど、私のように動物と会話ができるのは極めてまれらしいのだ。
「ぜひ行かせてください!」
王宮も魅力的だけど、動物治癒士としていい経験ができるかもしれない。
仕事を終えて魔法学院の寮に帰り、夕食後にお風呂に入って1日の汚れと疲れを洗い流す。
普段は髪を後頭部でひとくくりにしているけど、お風呂の後は髪を下ろしている。
コンコンコン。
「ちょっと聞いてよ!アイツったらひどいのよ!」
返事をする前に飛び込んできたのは向かいの部屋の同級生。
「あ、話の前に髪を乾かしてくれる?」
彼女は火と風の魔法が使える。頭が一瞬温かな風に包まれ、濡れた髪があっという間に乾く。
「はい、乾かしたわよ。それより聞いて!今日のことなんだけどさ…」
彼女には最近恋人が出来た。
お相手は魔法学院の先輩なのだが、彼女が言うには少々鈍感なところがある男性らしい。
恋愛とは無縁な女子力の低い私に話したところで何の役に立たないと思うのだが、なぜか友人達はこの手の話を私に持ってくる。
恋愛話に限らず昔から愚痴の聞き役になることが多いのだが、この人畜無害そうな顔が話しやすいのだろうか?
話をちゃんと聞いて、時には第三者として意見を言うこともあるけれど、解決策を提示することはほとんどない。
たいていの場合、解決策なんか持ってないというのもあるけれど、
「あ~、話したらなんかスッキリしたわ。聞いてくれてありがとう!」
と、みんな話すだけ話してあっさり帰っていくのだ。
そして翌日。
「昨日は話を聞いてくれてありがとう!彼と軽く言い合いになったりしたけど、今はもう仲直りできたわ」
友人のお相手は何度か見かけたことがあるけれど、おっとりした感じの人だったので、おそらく彼女が一方的に言いまくったのだろう。もちろんそんなことは口に出さないけど。
「あ、これ、おみやげ。今日のデートで行ったカフェの人気のクッキーよ」
「はいはい、ごちそうさま」
食事が出るのもこの職場の魅力の1つだったりする。院長の奥さんの手作りで、料理上手だから何でも美味しい。
「そういえば来週は祝日があるけど、何か予定はあるか?」
昼食の最中に院長に尋ねられた。
「いいえ、特にないですけど」
祝日は基本的にこの病院もお休みだ。
「もしよければ祝日に臨時のアルバイトをしないか?」
「かまいませんけど、何をするんですか?」
稼げるのはありがたいけど、たぶんこの病院じゃない仕事ってことだよね。
「今の王宮専属の動物治癒士は俺の師匠なんだが、高齢で引退することになってな。後任は俺の先輩に決まってるんだけど、師匠が引継ぎ用に管理台帳の更新作業をしたいそうで、祝日も作業したいから記録係が欲しいらしい。主に馬を診てまわることになるそうだ」
「えっ?それって王宮へ行くってことですか!」
一生縁がないと思ってた王宮に足を踏み入れるチャンスってことだよね
?!
長期休暇で故郷に帰ったら家族や友人にちょっと自慢できるかも。
「ああ、俺も行くから心配は要らないぞ。治療はしないだろうが、君の能力を生かす機会はあるかもしれないな」
そう。
私は動物と会話することが出来る。
魔法学院に入学して初めて知ったけど、私のように動物と会話ができるのは極めてまれらしいのだ。
「ぜひ行かせてください!」
王宮も魅力的だけど、動物治癒士としていい経験ができるかもしれない。
仕事を終えて魔法学院の寮に帰り、夕食後にお風呂に入って1日の汚れと疲れを洗い流す。
普段は髪を後頭部でひとくくりにしているけど、お風呂の後は髪を下ろしている。
コンコンコン。
「ちょっと聞いてよ!アイツったらひどいのよ!」
返事をする前に飛び込んできたのは向かいの部屋の同級生。
「あ、話の前に髪を乾かしてくれる?」
彼女は火と風の魔法が使える。頭が一瞬温かな風に包まれ、濡れた髪があっという間に乾く。
「はい、乾かしたわよ。それより聞いて!今日のことなんだけどさ…」
彼女には最近恋人が出来た。
お相手は魔法学院の先輩なのだが、彼女が言うには少々鈍感なところがある男性らしい。
恋愛とは無縁な女子力の低い私に話したところで何の役に立たないと思うのだが、なぜか友人達はこの手の話を私に持ってくる。
恋愛話に限らず昔から愚痴の聞き役になることが多いのだが、この人畜無害そうな顔が話しやすいのだろうか?
話をちゃんと聞いて、時には第三者として意見を言うこともあるけれど、解決策を提示することはほとんどない。
たいていの場合、解決策なんか持ってないというのもあるけれど、
「あ~、話したらなんかスッキリしたわ。聞いてくれてありがとう!」
と、みんな話すだけ話してあっさり帰っていくのだ。
そして翌日。
「昨日は話を聞いてくれてありがとう!彼と軽く言い合いになったりしたけど、今はもう仲直りできたわ」
友人のお相手は何度か見かけたことがあるけれど、おっとりした感じの人だったので、おそらく彼女が一方的に言いまくったのだろう。もちろんそんなことは口に出さないけど。
「あ、これ、おみやげ。今日のデートで行ったカフェの人気のクッキーよ」
「はいはい、ごちそうさま」
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