地獄タクシー Ⅱ

コノミナ

文字の大きさ
上 下
12 / 53
3章 煙鬼

鬼の正体

しおりを挟む
「TUTAYAにいるよ」
「じゃあそこの2階の喫茶店で」
「おお」

「五人の資料持ってきましたよ。はい、これが死んだ男の経歴です」
「うん」
そう言って礼司はリストを受け取った
「共通点は?」
「ないですね」
「そうね、年齢が20代。職業も学生とフリーター」
「魔美他に感じないか?」
「まさか不良じゃないよね」

「うん、渋谷は歩行禁煙少なくともそのルールを守っていないな」
「そうか、確かに駅前の喫煙所でタバコを吸っている
人たちが死んでもおかしくないですよね」
「死んだ男たちの服装は」
「スーツだったり、Gパンだったり」
「小物は?」
「時計は違うし」
「ブレスも違う」
「何も無いよ」
「そうだな」

「共通なのは同じタバコを持っていますね」
「うん、マルボロ・ライト・メンソール・ボックス」
「メンソールか男には悪いな」
「やっぱり駄目なんですか?あれ」
「なにそれ、男に悪いタバコあるの?」
「いや何でも無い、あはは」
魔美は横目で礼司を見た

「何か何か共通の部分があるんだよ、頭にひっかかる物が」
礼司が下を見ると一人の女性が礼司の目に止まった
「彼女だ」
「なんですか」
「さっき死んだ少年の母親だ」

「解かるんですか?」
「うん」
「浜田さんさっきからそればかりね」
「俺ちょっと声をかけてくるわ、待っていてくれ」
「ええ?」


礼司は階段をおりて地下道の入り口に立っている女性に
声をかけた。その女性は20代半ばで必死の形相で交差点を
渡ってくる人たちを見ていた

「すみません」
礼司は声をかけた
女性は無言で目を動かしていた
信号が赤になり車が何台も通り抜けると
「すみません、息子さんの事で」礼司が話すと
女性は礼司の顔を見た

「息子さんここで亡くなったんですね」
「はい」女性は目に涙を浮かべていた
「息子さんどうして?」
「喘息の発作です」
「そうですか、今何を?」
「息子を殺した犯人を捜しているんです」

「えっ?発作じゃ」
「息子が発作を起こしたのはタバコの
煙なんです、この混雑した所を
歩きながら吸っていた男を捜しているんです」
「あっ、ちょっと待っていてください」
礼司は2階へ駆け上がり

「浜田ちょっと下へ降りてくれ」
「は、はい」
三人が下へ降りると
「お母さん、犯人の男の顔を覚えているんですか?」
「はい、間違いなく」母親は鋭い目で答えた
「解かりました」
「浜田死んだ五人の写真を」
「はい」
礼司が写真を手に持って母親に見せた

「この中に犯人の男がいますか?」
母親は写真を見みて
「ここにはいません」

「ねね、じゃあまた母親の生霊が鬼を呼び起こしたの?」
「わからん」
「おかあさん、犯人をどんな特徴で捜しているんですか?」
「服装とタバコ吸っているかどうかです」
「そ、そんな」あまりのレベルの低さに浜田が驚いた
「お母さんゆっくり話をしましょう」
浜田と礼司たちは駅前の交番に母親を連れて行った

「浜田、できるだけるの事をしよう、
煙鬼を退治できる手がかりがあるかも知れない」
「はい、似顔絵をかける者を呼びます」
「ありがとう、あっそれとこれを取り寄せてくれ」
礼司は浜田にメモを渡した

「ええ、二硫化炭素とアンモニアですか?」
「ああ、二硫化炭素は手に入れにくいが何とか頼む」
「はい、同級生に製薬会社の研究所に勤めているのいます」
「頼むよ、俺一応毒物劇物取扱責任者の免許持っているから大丈夫だよ」
礼司は胸を叩いた。

「はい」
「じゃあ今度こそ武器買ってくるから」
「では、母親に事情を聞いておきます」
浜田は母親に事情を聞くことにした。・。…
「うん、助かるよ」


礼司と魔美はハンズへ向かった
「何を買うの?」
「相手がガス人間だからジッポーとオイル」
「刀にオイルをつけて煙鬼を切るの?」
「ありゃばれた?」
「そんな詰まんない、ネタに詰まったりして」
「げげ、ばれたか。ちょっとまて何か考えるから」
二人がハンズへ歩いていく途中突然左の小さな店に入った

「夜野さんどこに入るの?そこ香水屋さんよ」
「ああ、知っている」
「もう、女の子ばかりだよ」
「それも知っている」
礼司はフレグランスのサンプルの臭いを嗅いでいた
「どうしたの急に」
「ああ、そろそろ加齢臭がきになったりして」
「本当だ。匂うかも」
「やめてくれよ、気になる」

「魔美、メンズの香水もあるのか」
「もちろん、渋谷の若者の100%近くがつけているよ」
「おい、そんなにか?」
「うん」
礼司はブルガリアのオーデコロンのサンプルを嗅ぐと
「おお、この臭い」
「いいでしょ、今流行っているのよアクア」
「今日俺ともめた男の臭いだ」

「いい香りでしょ」
「いや、プンプン臭くて、この真丸のボトル見覚えがあるぞ」
「ええっ?」
「ほらさっきの死んだ男達が持っていたやつだ」
「ほんとう?」
カバンから書類を見ると

「本当だ、二人が持っている」
「ひょっとして、五人ともつけていたとしたら」
「煙鬼はこの臭いの男を狙っていたかもしれないな」
「うん」
「お母さんに聞いてみよう」
礼司はオーデコロンを買って交番に向かった

「ああ、何回センター街往復するんだろう」
「まったくだ、計画性が無い」
二人は早足で駅に向かった
交番に着くと奥の部屋では男と母親が話をしていた
「浜田警部補は?」
しおりを挟む

処理中です...