地獄タクシー Ⅱ

コノミナ

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4章 武鬼

十字架

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時計が12時を回った。すると首なし武者が
目の前から消えてしまった
「魔美、消えたぞ!」

「タイムオーバーよ」
「やばい、戸田さんの自宅が危ない」
「うん」
二人は車に飛び乗って東山に向かった


その頃、木屋町の川沿いに悲鳴が聞こえた
三人の男が三人の首なし武者に追われていた
「な、なんだよ。この化け物」
「なんかのイベントだよ、首が無いのに歩けるわけ無いだろう。
あの胸の辺りに目があるんだよ。あはは」
男の一人が武者の前でおどけていた

「でも、本気でその刀切れそうだぞ」
「まさか、こんな大勢の前で幽霊がでるわけが無いだろう」
首なし武者は刀を振り回し、時々上から振り下ろし
三人はそれを避けながら走った

「おい、智也お前の事を追いかけているぞ」
「な、何でだよ」
「工事現場から盗んだ十字架じゃないか」
「そんな事無いだろう」
川沿いを飲んで歩いていた多くの若者達も悲鳴を上げて逃げ
交番の方へ向かって走っていた

「だから、さっさと売ってしまえば良かったんだよ」
「そう言われたって」
男は石につまずいて転んだ
すると、おどけていた男が首なし武者に囲まれると
金髪に染めた髪を首なし武者が手に持って
刀を首に当てた

「ま、まさか冗談だろう」
首に着けた刀を引くとそこから血がポタポタと落ちた
「十字架返します」

男が渡そうとすると
「ぎゃー」
という声が聞こえて
血しぶきが飛び散ちり首と胴体が離れた首なし
武者の一人は首にぶら下げた十字架をはずした
右手に男の首を持ち、左手に十
字架をもって数歩歩くとその姿が消えた

礼司は戸田邸の前に着くと
車から降りた
魔美は戸田邸の呼び鈴を鳴らした
「はい」
佐々が玄関の扉を開けた

「あっ、佐々さん。今からこっちへ
鬼が来ます。逃げてください」
「鬼?で・す・か?」
「はい、工事現場で五人を殺した奴です」
「どうして?鬼にここが狙われるのですか」
「何か、現場から持ち帰った物は?」
礼司が後ろから尋ねた

「あっ、夜野さん十字架が四つです」
「四つ、五つじゃなくて?」
「はい」

「ではそれを取りに来るはずです」
「じゃあ、返しましょう」
戸田肇が四つの十字架を持ってきた
「あっ、もう手遅れみたいだ。魔美きたぞ!」
礼司は十字架を受け取って玄関から出た
「玄関開けないでくださいね」
魔美はそう言って扉を閉めた

「人間の世界で鬼と戦うのは初めてだ」
「うん、奴らはもっと強くなっているはずよ」
「ああ、覚悟しているよ」
礼司はベレッタを魔美に渡した

「今日は手伝ってもらうよ」
「OK」
すると道路の闇の中から2.5m程の武鬼が
ゆっくりと歩いて近づいてきた

「でかい!また人間でも食ったのか?」
「そ、みたい」
礼司はシルクに巻いた則国を手に取り
十字架を4つ首にぶら下げた
 
そこへ、真ん中に立っていた武鬼が
礼司に向かって大上段から刀を振るった
礼司はそれをうけると、
体がつぶれるほどの力が体にかかった。

「重い、手首が折れそうだ」
「大丈夫?」
「自信ない」
礼司は体を右に返し武鬼の左肩を切った
しかし、何の反応も無かった

「切れない」
「パワーが足らないの?」
「どうもそのようで」
礼司は左右に避けながら3つの刃を受けていた
魔美が礼司の首からぶら下げている十字架が
青白く光るのに気がついた

「夜野さん、十字架をこっちへ」
「ああ」
礼司は4つの十字架を魔美に投げた
魔美はそれを受け取るとシルクに巻いた
そこへ1体の武鬼が魔美に向かって襲い掛かってきた
「危ない!」

礼司は後ろから武鬼に切りかかると
則国が金色に光った
すると、武鬼は腰のところまで真っ二つに切れた
「おお」
礼司は一体の武鬼に向かった
そして、その一体が戸田邸の玄関に向かった

「夜野さん、鬼が戸田さんの家に」
礼司は武鬼と戦いながら
「解かっている、こっちが終わるまで耐えてくれ」
鬼は玄関の前に立つと刀を振り下ろした
すると、扉が斜めに切れそれを鬼は蹴り体を入れた
「ちくしょう」
魔美はベレッタを撃った
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