悪魔と久美の契約関係

七海 夕梨

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契約内容001

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お持ち帰りして数時間後、猫様は目を覚まされた。私は事のいきさつを説明したのだが。

「──と、いうわけで手当してあげたのよ。だから踏んだりした『あれやこれや』はなかったことにしてよ」


 助けてあげたのに猫様は、ご機嫌ななめだ。猫になったからか、蛇の時のような幼子独特の拙さがなくなり、少年のような声で「なかったことにするもんか」と怒っている。

 ふふ……猫様てば、怒っても可愛いんだから。

「そもそも手当だと? 包帯など、ゆるゆるではないかっ。しかも腹がっ、血がぁぁぁ!! とまってないィィ~~」

 猫様は慌てて包帯を巻きなおそうとしたが、肉球に阻まれて苦戦していらっしゃる。その肉球が愛しくてたまらない。

「ごめんなさい。獣医に診せたかったんだけど、夜間だし血も青いし……」
「じゅ……獣医だと? 貴様っ、このワタシは獣ではない。くそっ、元に戻ったらその体、犯してやる」

「え!!! お、犯す。そ、そんな。じゃあ私も揉みつくしたあげく、におっていい?」

 その肉球を。

「ひっ!! おまえは変態か!!」

 ええ変態よ。(ただし猫にかぎる)

 だって猫様なんだから仕方がない。おまけに美猫だ。ブルーサファイアの眼なんて宝石のようだし。ちょっと血が青いけど、肉球の前では些細なことだ。

「ところで貴様、このワタシを召喚した男を知らないか? 周囲に誰かいたはずだ」


 周囲? 誰かいたかしら? あそこは夜の公園で、人影などなかったし、私も婚活相手と別れてから自宅に帰るまで『人』とは会っていない。



「誰も見かけなかったけれど?」

「そうか。まったく誰なんだ? 召喚儀式に必要な生贄を『食紅と玩具の人形』などとふざけおって。説教したのち魂を喰らってやろうと思ったのに。くそっ、儀式中に『ハウラス』めが、「勝負だー」と火炎を投げつけさえしなければ。おかげで死にかけで召喚されるわ、説教は出来ぬわ、貴様には踏みつけられるわで、てんやわんやだったのだ!」

 ながいわね。半分あたりから寝そうになったわ。

「つまり儀式前にボコボコにされ、死にかけの状態で召喚されたと」

「ワタシの偉大さが微塵も感じぬ省略はやめろ。あと、貴様に『踏まれた』が抜けておる!」



 何気に根にもっているわね。まぁ一部潰れてたし仕方がない。


「ごめんなさい。そのかわり怪我が治るまで面倒を見てあげるわ」

 もちろんその間、なでまくり、肉球を堪能させていただくけれど。ぐふふふ。

「よかろう、ならば貴様、ワタシに何か契約を持ち掛けろ」
「契約?」
「魔界に帰りたいが今のワタシでは無理だ。おまけに人間界では回復もできん。たのむっ、腹なんてぱっくり割れてもう、いつ死んでもおかしくないのだ。あと潰されたところが痛くて痛くて、死ぬ。いいのか! 貴様の可愛いにゃんこが死ぬのだぞ」


 猫様……大公爵とか言ってたくせに、プライドを捨てたわね。猫だけに助けてあげたいけれど。

「でも契約って対価が必要ではないの?」

 漫画では、そういうパターンが多かったし。

「よく知っているな。だが安心しろ、魂までよこせとは言わぬ。苦しめたり、いたぶることもしないと誓おう。だが対価は必要だしな……ふむ、お前は女だ。『快楽』でいいだろう。偉大で美しいこのワタシとなら不満などあるまい。どうだ? ここまで譲歩して契約をしてやるのは、生まれて初めてだぞ。素直に「はい」と言え」



 愛らしい肉球の手をピッと上げながら、どうだとばかりに猫様が言う。

 やばい。キュンとしてしまった。

 腹から血がでててもかわいい。でも猫で『快楽』ってアレよね? いいの? 本当に? ぐふふっふっふふふ。

「いいわね、契約するわ」
「──軽いな。しかも笑っていうな。ワタシより悪魔顔じゃないか。もっと恐れて「そんなっ、怖いわ」ぐらい言え! シチュエーションが台無しでだぞ」
「だって別に怖くないし。むしろどんとこい」
「ど……どんとって。26歳、男性経験なしの処女が。男慣れしすぎだろう」

 うっ、嫌なことを暴露する猫様ね。なぜ知ってるの。

「慣れてなんてないわ。婚活してるぐらいだもの。おまけに今回も失敗したし」

 あぁ……猫好きのお金持ちがどこかに転がっていないだろうか。私は早く結婚したいだけなのに。

 私が婚活する理由。それは親の決めた相手と結婚したくないからだ。『奴』とだけは、絶対に結婚したくない。

「失敗か。たしかにお前は揉むとか匂うとか……発言に心配なところがあるが」

「う……。貴方こそ『対価』なのに、私を快楽に溺れさせていいの? いっぱいやりまくるわよ」

「ヒィ!! 貴様っ、余裕がないとか言っておきながら、よくもそんな。だからと負けるワタシではない。何度でも付き合ってやる……って、なんだ、その期待に満ちた目は。ちょっと背筋がひゅーっと来たかやらやめろ。もういい! さっさと貴様の要求を言え!」



 猫様はお怒りになると、おなかからピューと血がでた。あぁ、契約を急いであげないと、本当に死んでしまう。


「私の要求……(肉球)」


 だがそれは叶っている。なのにまだ要求していいなんて。素敵な大公爵様だ。


「あなた、人の姿になれる? できれば普通がいいから……『猫耳と五芒星がない方向』でお願いしたのだけど」

「契約すれば造作もない事だ。って、さり気なくワタシのチャームポイントを馬鹿にしてないか?」



 チャームポイント……チャーム(エコー)


「イイエ、バカニハシテナイワ」
「本当か? まぁいい。それで人になってどうすればいい?」
「私、親が決めた人と結婚が決まっていて。でも相手が生理的にどうしてもダメで……」

 猫様が「ほぉ~」と言い、目を細めて悪い顔をした。

「だから、あなたが私の代わりに『その人』と結婚してくれな
「待て待て待てーーーー!! そこは「私の結婚相手になって」ではないのか! おまけに野郎と結婚させようとは……ひぃ~~なんて恐ろしい娘なのだ。悪魔かっ、貴様は悪魔だなっ」

 悪魔に悪魔といわれても。

「だって、私はあなたの体主に肉球を堪能させて貰うのに、これ以上要求するなんて悪いじゃない」

「たん……いやまて、どう考えても『野郎同士の結婚』のほうが悪いだろ!」

「まぁまぁ、今時『性別』なんて愛の前では関係ないわ。嫌なら婚姻届だけ書いて、さっと魔界とかに戻ればいいじゃない。さすがに魔界まではおっかけてこないでしょうし」

「アクドイ……悪魔以上に、悪魔だな。だがその契約は駄目だ。大公爵が結ぶ契約にしては『美悪感』がたりない」
「じゃあ、あなたの言うとおり、偽装結婚……だと悪いから偽装の婚約者ってことで」

 猫様はしてやったりとばかりに、ニヤリと笑った。猫も脳が悪魔だと人のように笑えるのね。

「婚約者か……よかろう。その分、存分に楽しませてもらうとするか。フフフフ……」
「ええ! 楽しませてね」
「なっ……ホント軽いな。ならば早速契約しようではないかっ いでよ! 我が僕しもべ! タナカよ!」


 しーーーん。

 タナカって田中? なのかしら。悪魔なのにそこは現実的なのね。

「な……なんたることだ。契約用紙を持った最下級悪魔、タナカすら呼べぬとは」

 だが猫様は真剣だ。非情に落ち込んでおられる。

「そのタナカって田中?」

「そうだが……」

「できれば他の人にしてくれない? 田中召喚を見るのはちょっと……」

「なんだ『タナカ』程度が怖いのか? 悪魔以上に破廉恥極まりないことを言い出した上、悪魔的な要求をした貴様のセリフとは思えんな。だが所詮は田中だ。100年ほど前に、この偉大なるワタシを呼び出しておきながら、要求が「美子ちゃんと両想いになりたい」とか言いおったヘタレ野郎だぞ……っといかん、個人情報は漏えい禁止だった」



 魔界でも個人情報は大事なのね。もう、ほぼ漏えいしてるけど。


「怖いんじゃなくて、私の名前、田中久美だから。いでよ田中って呼ばれると複雑というか」

「なっ……」

 私の名前を聞いて、シャムネコが目を見開く。前の契約者も田中だったから驚いているのかしら?


「貴様! 本当に貴様というやつは、なんて貴様なんだっ」


 どうしよう、わけのわかんないこと言い出した。すごく狼狽えているのはわかるけど。


「よいか? 貴様、契約を持ち掛けた悪魔に、真名を知られると一方的に魂を取られるぞ。この大公爵たるワタシとの契約を、そんなアホなことで台無しにしてどうする。もっと緊張感を持ってやれ! 」

 ドビュードビューと腹から血をだしながら、私を指さして猫様がお怒りになる。

「ごめんなさい。以後、善処するわ」
「フっ、もう遅いわ。お前に『以後』などない。貴様の魂はワタシのものだ。田中が2体になるのが美悪的ではないが。クククク……ふふふふっふはははははははははっ!! ワタシの真名を知っておれば助かったのにな、愚かな、まことに愚かよ。泣いてもダメだぞ。悪魔との契約を軽くみた貴様が悪いのだ。魂となって反省しろっ」

 猫様は大笑いし、なにか黒い煙を体から出し始めた。黒煙からは男や女の怨嗟と悲鳴が聞こえてくる。突如、ふ~と体の中心から何かが抜けていく感覚が襲い──まずい。これが魂がとられる感覚なの?

「やめて……」

 だめね。声がうまく出せない。

「くくく……やったぞ。体を取り戻した!!」

 私から力を吸い取ったからだろう。シャムネコは美麗な人の姿──いや、悪魔の姿に戻っていた。腹に巻いてやった包帯はすでになく、ブルーサファイヤの瞳が冷たくこちらを見て笑っている。


「やめてだと? このワタシに命令など、どこまでも愚かな娘よ。久美、魂を奪う前に、せめてもの情けだ、純潔を奪ってやろう。快楽を感じながら、ワタシの元で眠るがよい」



 少年だった声は低くなり、鼓膜が犯されたかのように気持ちいい。意識がだんだんと遠くなるにつれ、形よい悪魔の唇が少しずつ近づいてくる。

 あぁ、『快楽』ってそういう意味だったのね。ちっ、すっかり猫の姿に騙され、いい方向に考えていたわ。肉球を堪能させてくれると思ったのに、なんて嘘つきな悪魔なの。

「やめ……て『アイム』」

「なっ!!!」

 ポン!!! と煙のような音がしたと思ったら、元の猫の姿に戻っていた。急に戻ったためか腹からドビュードビューと血が勢いよく出ている。



「な……ぜ……ワタシの真名を」

「え? 子蛇の時に言ってなかった?」

「しまったぁぁぁ。子蛇になると下級悪魔並に知性が下がってしまうのだ。ワタシがこのような手に引っかかるとは、この悪魔めぇぇぇぇ」


 いや、悪魔にそんな事言われても。

「それより沢山血がでてるわよ、アイム、大丈夫? アイムったらアイム?? あと肉球触っていい?」

「ひっ、やめろ!!!! 名を連発していうなっ。悪魔の真名はデリケートなんだぞっ。しかもさりげなく肉球を要求するな」
「なら、あだ名で呼ぶわ。アイたん、愛五郎~?」
「やめろぉぉぉぉお。私の品性が、品性がぁぁぁぁ!!!」

 アイムは苦しそうに悶えて転がった。血がドバドバとでている。後で床掃除が大変だ──の前に死んでしまうわね。

「仕方がないわね」


 私は引き出しから、大学ノートを取り出し、1枚ぺリリと切り取った。


 【田中久美とアイムの契約書】

 『アイムは田中久美の婚約者となる代わりに、アイムの肉球で快楽になる事を約束します。』


 ボールペンでさらっと書き、カッターで指をきると署名し血判を押してみた。悪魔との契約に、シャチハタはさすがにアレだろうから。

「け、契約だと? い、いいのか……?」


 ブルーサファイアの瞳をウルウルして、横たわる悪魔に契約書を渡してやる。この反応からして契約書は紙切れでもいいみたいね。
 まぁ、本心は助けてあげたい1%、肉球堪能したいが99%だけど。


「別に構わないわ」
「くくく愚か者め! ワタシの『真名』を知ったお前なら、殺すこともできたのに」


 大学ノートの紙きれを、必死に握りしめながらアイムが言う。


「そんな酷い事はしないわよ」


 私の専属肉球をみすみす手放すなどするはずがない。

「なっ……貴様っ、悪魔だぞ。殺すか使役しないのか? 願えば永遠の命や富や権力だって」
「面倒くさい」
「め……使役できる身でありながら……かいら、いや、対価まで支払うというのか?」

 じぃ~と、アイムが疑いの眼で私を見てくる。私ってそんなに信用ないのかしら。これでも純真な肉球愛者なのよ。


「早く契約を終わらせて。あなたを死なせたくないわ」


 アイムがあり得ないという顔で私を見る。酷いわね。猫様でなかったら拳が飛んでいるところよ。


「契約は日本語だけど大丈夫? 海外の悪魔だと、英語のほうがいいかしら?」
「誰に聞いている? このワタシが日本語ぐらい。え……と、アイムは たなかくみの こんやくしゃ となるかわりに アイムのにくたいに かいらくを あたえることをやくそくします……だろ?」

 アイムはどうやら日本語が苦手らしい。

「それ間違っ

「ええい! 煩い。今更、怖気づくなど許さんぞ」

 アイムは制止も聞かず、腹の血を指につけて血判……というか肉判? どっちでもいいけど、押してしまった。

「フン、これで貴様はワタシの……」

 アイムがニヤリと笑う。

「あわてんぼうね」
「使役されたら困るからな。べ、別に快楽の為ではないぞっ!」

 赤い顔をしてアイムがいう。やばい……猫様が恥じらっていらっしゃる。動画をとってSNSにあげたい。

 そんなこんなで、私とアイムの契約は成立した。


 あとになって『肉球』と『肉体』を読み間違えた事に気が付いたアイムは、泣いちゃったけど。


 それはまた別のお話。
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