たとえ、そばに居なくても

watti

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ばいばい

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 命は、いつか絶える。
 美しさも、いつか枯れる。
 幸せは、消えてなくなる。
 いつの日か私にも、苦しい別れは訪れた。
 そう、それは突然に
「るな、それじゃあまた明日な!」
「うん。」
 私の名前は月崎瑠奈。◯◯中学校の2年生だ。
 今、目の前にいるのは小学生からの同級生、光アキラ。
 明日の土曜日、一緒に出掛ける予定かある。
 (楽しみだなぁ)
 私はいつからかアキラに恋心を抱くようになっていた。
 無邪気でポジティブ、そして、私の世界を変えた人。


 ー次の日ー
「ふぁ、、もう朝か」
 ベッドの枕元は、部屋の窓から差し込む、暖かい日差しに照らされていた。
「るな、やっと起きたのね?もう10時だけど、、」
 そこにはエプロン姿で包丁を持ったままの母がいた(怖、、
「え??」
 私は驚いて、ベッド脇の時計を見た。10時3分。約束は9時半、大遅刻だ
 急いで部屋から飛び出し、昨日のうちに準備しておいた服に袖を通す。
「行ってきます!」
 大きな声で母にそう言い、勢いよくドアを開けた。
 近くの駅まで全速力で走り、鞄から地下鉄のカードを取り出す(ころばないでね
 (ああ、昨日まであんなに楽しみにしてたのに、こんなに遅刻しちゃった)

 待ち合わせの場所に着くと、すでに11時を越えていた。
 辺りを見回し、アキラの姿を探す。
 さっきまで晴れていた空は、急に曇りだし、次第に雨が降り始めた。
 ザーザー(雨の音です
「アキラ!アキラ!どこ?」
 雨の中叫び続けても、中々姿が見当たらない。
 (帰っちゃったのかな?)
 少し不安になった私は叫ぶのをやめた
 雨はより一層強まった
 ザーザーザーザー
「るな!」
 突然、雨の向こうから声が聞こえてきた
「アキラ?そこにいるの?」
 恐る恐る、声に向かって一歩踏み出す
「遅刻してごめんね!ところでアキラは…」
「るな、ごめんな、、今度のテスト頑張れよ!」
「アキラ!!」
 その一言を限りに、《アキラらしき人》はいなくなってしまった
 (もう、なにが起こってるの?いたずら?)

 五分後、雨はきれいに止み、近くの橋に人だかりができていた。
 気になった私は、そこにいってみた

 行かなければ良かった

「可哀想にね、まだ若いのに」ざわ
「仕方ないさ川に流されてしまっては」ざわ
「小さい子を助けようとしたのね」ざわ
 近くには、数人の警察官、それに救急車が来ていた。
「ちょっといいですか?」
 大勢の人の中をくぐり抜け、橋の柵まで来た。
 身を乗り出して川をのぞく
「え、、、」
 私は、あまりにも信じられないものをみた
 そこには、アキラの靴が片方、それと…
「私があげたキーホルダー」
 アキラの誕生日、プレゼントに送った熊のキーホルダーが
 そこに落ちていた

 記憶を振り返る
 誰かが溺れた
 若い人
 救急車の中
 アキラ


「嘘でしょ?」
 救急車の中を見ると、そこには力尽きた







 アキラがいた
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