婚約者様、勝手に婚約破棄させていただきますが、妹とお幸せにどうぞ?

青杉春香

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本編-1ヶ月前-

1-4

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馬車で移動しはじめてから、しばらく経った。

生憎、時計は持ち合わせてはいないけれど、所有しているかなり広い領地の外に出たということはそれなりに進んだということだ。

緑が鮮やかに生い茂る森の中からレンガ造りの住宅街へと景色も変わった。

「街にも着いたようだし、移動しながらでいいから少しお話をしませんかアルゴ」

いつもより少し声を張って、彼女に問いかける。

「アマンダ様が今日は珍しく静かでしたもんね。何かあったのですか?」

「それは遠回しにうるさいと言っているのかしら?」

「まさか、そんなことはないとは言い切れませんけれど……」

アルゴはこのとおり、正直者だ。

故に、失礼な発言をすることもあるけれど、それは私たちの関係が良好という印でもある。

あくまでアルゴの担当はチェルシーだけれども、私とも仲が良い。

もっとも、うちの使用人たちは私たち姉妹とも他の使用人たちとも、皆仲が良い。

「アルゴは、知ってるかしら? ライダ様の件について」

「ライダ様に何か?」

「チェルシーから何も聞いていないのかしら?」

「そうですね。ライダ様に関係することは何一つ」

チェルシーは本当に私にしか、あの秘密を言ってなかったようだ。

それか、チェルシーがアルゴに口止めをさせているのか。

「最近、チェルシーの様子でおかしなところはなかったかしら?」

「確かになんだか悩んでおられるように見えました。どこか落ち着かない様子で、話をしていても上の空というべきか……チェルシー様とライダ様に何かあったのです?」

アルゴはやや馬車の速度を緩める。

「いいえ、特には。ただ、私からみてもチェルシーの様子がおかしかったから気になっただけよ」

「そうですか……では、今ライダ様の屋敷に向かっているのも?」

流石に勘が鋭い。何かを察しているようだ。

「えぇ、そうね。何かありそうだもの」

「なるほど……。それでは私も手を貸しましょう」

「……アルゴ?」

「チェルシー様に何か危害が及ぶようなことであれば止めなければなりませんし、アマンダ様も何か言いづらいことがあるようですし」

その声はいつもよりトーンが低かった。


想像とは裏腹にチェルシーのことで引き出せた情報はなかったけれど、これは大きなチャンスになりそうな予感がした。

「アルゴ。少し速度をあげましょう」

「えぇ。アマンダ様」
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