婚約者様、勝手に婚約破棄させていただきますが、妹とお幸せにどうぞ?

青杉春香

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本編-1ヶ月前-

1-6

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コンコンとドアを二度ノックすると、声が聞こえたので扉を開き部屋に足を踏み入れる。

「おぉ、アマンダか。珍しいな。わざわざこの屋敷まで来てくれたのか?」

「えぇ。こんにちはライダ様。アルゴに頼んでやって参りました。何の連絡もなしに突然の行為で大変失礼いたします」

「あぁ、いや、それは構わん。僕も今ちょうど退屈してたところだからな。ということは、二人で来たんだな」

「えぇ。二人です。それが何か?」

わざと、悔い気味に訊くと、

「チェルシーも来ればよかったのにと思ってな。その方が賑やかでよかろう」

本当にそうだろうか。

単純にチェルシーに会いたい理由が何かあるからではないだろうか。

「今からでも、チェルシーを呼びましょうか?」

「いや、わざわざそこまでは結構だ。また、後日こちらからそちらに足を運ばせてもらうことにする」

「そうですか」

言ってはみたものの、今からチェルシーを呼ぶなんてことはかなり面倒なことになるため、内心ほっと胸を撫で下ろす気分だった。

「ところでアマンダ、何用で今回は?」

ライダ様は鋭い視線をこちらに向けてくる。

何か怪しいと疑いを持っているのだろうか。

「最近、あまりライダ様と会えていませんでしたので」

「ほう。寂しかったのか。一週間も僕と会えないのが耐えれないとは……」

嘘を見抜いているのかどうかはわからない。

たしかに彼に好意こそ抱いているが、そんなに深いものでもない。あくまで婚約者同士。完全に信用しているわけではないし、現状からして今は一歩こちらが引いているくらい。だから、本当は寂しさというのはそこまでない。

「はい。ライダ様のお顔を拝見したくて」

「そうか。僕はてっきり別の理由があって来たのかと思ったんだがな?」

ライダ様はこちらを試すように訊いてくる。

「なんのことです?」

「それは嘘か真か。演技か否か。本当は知っていて聞いているのではないか? 
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