婚約者様、勝手に婚約破棄させていただきますが、妹とお幸せにどうぞ？

ライダ様との出会いから現在まで

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さて、屋敷を出たはいいものの……どこへ行こう。

別に外に何か目的があるわけでもないのだ。

この際だし、彼のところにでも行ってみようかしら。

私は、敷地を出た先にある、商店街へ向かうことにした。

私に必要以上に迫ってくるライダ様とは別に、素敵な殿方がいる。

彼は別に私に好意などないかもしれないけれど、私は彼が好きだ。

私の想い人。

もっとも恋愛などにうつつを抜かすような性格ではないため、あくまでほどほど。

日中、彼のことを考えて夜も眠れないなんてことはまずない。

たまたま近くにアルゴがいたため、馬車を走らせてもらった。

「アマンダ様いいんですか？　ライダ様が来られてるのでしょう？」

「だからこそ屋敷を出るの。チェルシーのことも心配だけど、ミルージュがいるから安心はしているわ」

「正直私も、ライダ様の必要以上の接触には頭を抱えています。大方、お嬢様たちの領地目当てでしょうし」

「はぁ……アルゴも気付いていたのね。だとしても、主人にそんな発言するなんて他の家系ならクビにされてますわよ」

「私とアマンダ様の関係ですから……ね」

私たち姉妹と使用人は家族も同然だ。

そこに、ライダ様が割り込んで来たことも嫌悪感を抱いてしまう。

「そろそろ着きますよアマンダ様」

「ええ」

馬車の小窓を覗くと、そこには結構な人盛りがあった。

どうやら大盛況のようだ。

この商店街は揃わないものがないというほど、様々な品物が流通しているから休日は毎度こんな模様だ。

「さて、行くとしますか彼のもとに」

できれば彼にも味方になってもらいたいというのが本音だ。