【完結】転生したら「人魚姫」でした

若目

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王子様の本性

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ジュールが教えてくれた場所に向かうと、王子様は意外と簡単に見つかった。
お城の近くの岩場で、王子様が望遠鏡を持って歩き回っているのが見えた。

婚約者の女性に近づいたときと同じように、尾ひれを海中に隠して上半身だけ海面に出した状態で、私は王子様に近づいていった。
「ねえ、何かお探しなの?」
声をかけると、王子様が私の顔を見て驚いた顔をした。
「君は…ぼくを助けてくれた娘だろう?会いにきてくれたんだろう?嬉しいよ、ずっと君を探していたんだ。さあ、こちらに来て、海から上がってくれ。君を僕のところへ迎え入れたい。この城で、ぼくと一緒に暮らそう!!」
王子様が私に向かって手を伸ばした。
王子様は私を覚えていたらしい。
忘れてくれたら良かったのに。
そしたら、万事解決だったのに。
それにしても、最後の言葉が引っかかる。
今、彼はなんて言った?
「ぼくと一緒に暮らそう」って言ったわよね?
「一緒に暮らそう…って、あなたには婚約者がいらっしゃるんでしょう?」
「ああ、だから、君はぼくの側室として、城に来て欲しいんだ。」
「側室?」
「ああ、婚約者は王女さまなんだ。王子としての義務もあるから、きみとは結婚できない。でも、側室としてなら、きみはお城に入れるんだ。来てくれるね?」
王子様は白くて並びの良い歯を見せつけて、ニカリと笑った。
「ねえ、私、婚約者の女の子を知っているわ。あなたがそんなだから、毎日泣いているそうよ。それについては、どう思っているの?側室なんて、納得すると思うの?」
「それは、マリッジブルーってヤツだよ側室を迎え入れることなんて、王族ではごく当たり前のことだ。きっとわかってくれるよ!」
私はカーッと頭に血が上るのを感じた。
何の気無しにこんなセリフを吐くような男、そりゃ婚約者も泣きたくなるわ。
側室を迎えることなんて、王族なら当たり前なのだろうけど、冗談じゃない!と思った。
どうして男というのは、「向こうは遊びで、本気で愛してるのはきみだよ!」という理屈を女が理解して受け入れてくれるものと思うのだろう?
その「遊び」を嫌がっているのだと何故わからないのだろう?
「ふざけないで!!」
私はありったけの力をこめて、思い切り尾ひれを振り、これでもかと思うほどの大量の海水を、王子様の顔面めがけて飛ばした。
「な、何をッ、って、うわっ!」
驚いた王子様は、足場の悪い岩場でバランスを崩して、海に落っこちた。
死ぬような高さでは無いし、悲鳴を聞いた誰かが助けに来るだろう。
私はさっさとその場を離れて海中へ泳いで帰っていった。
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