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富豪商人婚約破棄計画
ジャルディニエ
「はじめまして。ジャルディニエと申します。あの、あなたのお名前はなんとおっしゃるのでしょうか?」
ジャルディニエが申し訳なさそうに名前を聞いてきた。
「ああ、すみませんな。そういえば、まだ名乗っていませんでした。アタシはジュスティーヌというのです。改めて、今後よろしくお願いします」
ジュスティーヌは、深々と頭を下げた。
「よろしくお願いします」
ジャルディニエも頭を下げる。
「ジャルディニエ、ヴァイオレット、お前たちはもう下がりなさい」
「はい、旦那さま。失礼します」
「失礼しまわすわね。あ、飲み終わったカップとかお皿は、そのままテーブルの上に置いとていてくださいな。あとで片付けますから」
ヴァイオレットが、テーブルの上に置かれたカップやお皿を指さすと、ジャルディニエと一緒にさっと引き払って行った。
「バカらしいでしょう?いい歳をして、25歳の使用人の男と懇ろになるなんて」
去っていく2人の背中を見送った後、リッシュ氏が自嘲気味に漏らした。
──あの人は25歳だったのか
リッシュ氏は45歳であるから、ジャルディニエとは20歳もの歳の差があることになる。
10年も交際しているとなると、出会ったときはリッシュ氏が35歳、ジャルディニエが15歳のときになる。
使用人と主人、中年と若者、老練と若輩。
2人はまるでちぐはぐだが、どこかに通じるものを感じて信頼を育み、それが進展して愛し合うことになったのだろう。
実はお互いが障害のある恋に酔っているだけで、本当は相手は誰でもよい可能性はある。
案外、障害がなくなればあっさり別れてしまうのかもしれない。
それを踏まえても、交際10年という年月はあまりにも長い。
それに、ジャルディニエはまだ若いから、身分が低くとももっといい家に仕えることもできる。
リッシュ氏だって、彼の経済力をもってすれば、愛人などいくらでも囲える。
ジャルディニエを追い払って、鞍替えすることだって、やろうと思えばできるのだ。
ジャルディニエの外見は、素朴さが過ぎて、かえって地味で野暮ったい。
もっと若く美しい恋人を得ることだってできるが、リッシュ氏はそれをしない。
それは何故か。
やはり2人の間には、しっかりした信頼関係があるからだ。
そんな仲を、ジュスティーヌはバカらしいなんて思わない。
「別によいのでは?法に反してるわけではないし、不倫でもないし。言っては難ですがね、誰が誰を好きになったところで、アタシには関係の無い話でございます。勝手に愛し合えばいいし、勝手に別れればよいのです。門外漢のアタシは、ただ頼まれたことをこなすだけですよ」
言うとジュスティーヌは、ズズズと音を立てて紅茶を啜った。
「……ジュリエット嬢が、きみを深く信頼する理由がわかった気がしたよ」
リッシュ氏はジュスティーヌの言葉に一瞬驚いたような顔をした後、優しげな笑みを浮かべた。
ジャルディニエが申し訳なさそうに名前を聞いてきた。
「ああ、すみませんな。そういえば、まだ名乗っていませんでした。アタシはジュスティーヌというのです。改めて、今後よろしくお願いします」
ジュスティーヌは、深々と頭を下げた。
「よろしくお願いします」
ジャルディニエも頭を下げる。
「ジャルディニエ、ヴァイオレット、お前たちはもう下がりなさい」
「はい、旦那さま。失礼します」
「失礼しまわすわね。あ、飲み終わったカップとかお皿は、そのままテーブルの上に置いとていてくださいな。あとで片付けますから」
ヴァイオレットが、テーブルの上に置かれたカップやお皿を指さすと、ジャルディニエと一緒にさっと引き払って行った。
「バカらしいでしょう?いい歳をして、25歳の使用人の男と懇ろになるなんて」
去っていく2人の背中を見送った後、リッシュ氏が自嘲気味に漏らした。
──あの人は25歳だったのか
リッシュ氏は45歳であるから、ジャルディニエとは20歳もの歳の差があることになる。
10年も交際しているとなると、出会ったときはリッシュ氏が35歳、ジャルディニエが15歳のときになる。
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実はお互いが障害のある恋に酔っているだけで、本当は相手は誰でもよい可能性はある。
案外、障害がなくなればあっさり別れてしまうのかもしれない。
それを踏まえても、交際10年という年月はあまりにも長い。
それに、ジャルディニエはまだ若いから、身分が低くとももっといい家に仕えることもできる。
リッシュ氏だって、彼の経済力をもってすれば、愛人などいくらでも囲える。
ジャルディニエを追い払って、鞍替えすることだって、やろうと思えばできるのだ。
ジャルディニエの外見は、素朴さが過ぎて、かえって地味で野暮ったい。
もっと若く美しい恋人を得ることだってできるが、リッシュ氏はそれをしない。
それは何故か。
やはり2人の間には、しっかりした信頼関係があるからだ。
そんな仲を、ジュスティーヌはバカらしいなんて思わない。
「別によいのでは?法に反してるわけではないし、不倫でもないし。言っては難ですがね、誰が誰を好きになったところで、アタシには関係の無い話でございます。勝手に愛し合えばいいし、勝手に別れればよいのです。門外漢のアタシは、ただ頼まれたことをこなすだけですよ」
言うとジュスティーヌは、ズズズと音を立てて紅茶を啜った。
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