王妃の子は誰の子

彩乃

文字の大きさ
5 / 23
2.少女リータは洗濯をしながら思考を巡らす【リータ】

【1】少女ふたりの噂話

しおりを挟む
 「リータ、聞いた?王妃様の噂」

 親友のアリスが私の顔をのぞき込みながら尋ねてくる。

 「あぁ、あの、赤ちゃんの瞳の色がどうのってやつ」
 「そう」

 私はたらいの水に浸かった洗濯物をきつく絞ると、アリスに手渡す。彼女はそれをパンッと広げると、物干し竿に干していく。空は快晴。今日は早く仕事が終わりそうだなぁ――。


 裏庭で黙々と洗濯に励む私たちは、この宮廷の使用人。洗濯や掃除、庭の手入れなど、いわゆる「雑用」と呼ばれる仕事をこなしている。
 いちばん楽しいのは厨房でのお仕事。専門のコックさんがいるから、あんまりお手伝いに呼ばれることはないんだけどね。次に楽なのは掃除。広い宮廷中を回るのは簡単じゃないけど、今日みたいなカンカン照りの日は室内にいられるだけでも幸せ。
 最悪なのが、庭仕事とか、今やっている洗濯みたいな野外での仕事。重労働だし、汚れるし、天気に左右されるしで外での仕事は大変。だけど、量も多くて人手も足りていないから、こうしてせっせと仕事に励んでいるってわけ(まぁ、人気の仕事はベテランさんが担当しがちだから、私たちみたいな若者はこういう仕事をするしかないんだけどね)。

 「リータ、手が止まってる」
 「ああ、ごめんごめん」

 干すものがなくなり手持ち無沙汰になったアリスがせかしてくる。私は慌てて洗濯物をすすぐと、彼女に手渡した。私は物干し竿を見る。始めの方に干した洗濯物は乾き初めているのに、たらいには大量の洗濯物。

 「今日は洗濯物が多いね。アリスも干してばかりじゃなくて洗うのも手伝ってよ」

 親友の背中に援助を求める。

 「仕方ないよ、王妃様のお産があったから。それに、王妃様に付きっきりの使用人がいるせいで、仕事が上手く回ってないの」

 アリスが私の横に座った。たらいに手を伸ばすと、カーテンのシミを洗い始めた。苦戦する彼女に石けんを手放す。
 「王妃様、まだ良くならないのね」

 私はそうつぶやくと、王妃の部屋の窓を見上げた。裏庭に面したカーテンは丸一日以上閉ざされたままだ。

 「それがね、調 んじゃなくて  だけなんじゃないかって噂なのよ」
 「えっ?」

 アリスは薄い唇を私の耳元に近づけた。
しおりを挟む
感想 2

あなたにおすすめの小説

主人公の恋敵として夫に処刑される王妃として転生した私は夫になる男との結婚を阻止します

白雪の雫
ファンタジー
突然ですが質問です。 あなたは【真実の愛】を信じますか? そう聞かれたら私は『いいえ!』『No!』と答える。 だって・・・そうでしょ? ジュリアーノ王太子の(名目上の)父親である若かりし頃の陛下曰く「私と彼女は真実の愛で結ばれている」という何が何だか訳の分からない理屈で、婚約者だった大臣の姫ではなく平民の女を妃にしたのよ!? それだけではない。 何と平民から王妃になった女は庭師と不倫して不義の子を儲け、その不義の子ことジュリアーノは陛下が側室にも成れない身分の低い女が産んだ息子のユーリアを後宮に入れて妃のように扱っているのよーーーっ!!! 私とジュリアーノの結婚は王太子の後見になって欲しいと陛下から土下座をされてまで請われたもの。 それなのに・・・ジュリアーノは私を後宮の片隅に追いやりユーリアと毎晩「アッー!」をしている。 しかも! ジュリアーノはユーリアと「アッー!」をするにしてもベルフィーネという存在が邪魔という理由だけで、正式な王太子妃である私を車裂きの刑にしやがるのよ!!! マジかーーーっ!!! 前世は腐女子であるが会社では働く女性向けの商品開発に携わっていた私は【夢色の恋人達】というBLゲームの、悪役と位置づけられている王太子妃のベルフィーネに転生していたのよーーーっ!!! 思い付きで書いたので、ガバガバ設定+矛盾がある+ご都合主義。 世界観、建築物や衣装等は古代ギリシャ・ローマ神話、古代バビロニアをベースにしたファンタジー、ベルフィーネの一人称は『私』と書いて『わたくし』です。

サレ妻の娘なので、母の敵にざまぁします

二階堂まりい
大衆娯楽
大衆娯楽部門最高記録1位! ※この物語はフィクションです 流行のサレ妻ものを眺めていて、私ならどうする? と思ったので、短編でしたためてみました。 当方未婚なので、妻目線ではなく娘目線で失礼します。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

貴方なんて大嫌い

ララ愛
恋愛
婚約をして5年目でそろそろ結婚の準備の予定だったのに貴方は最近どこかの令嬢と いつも一緒で私の存在はなんだろう・・・2人はむつまじく愛し合っているとみんなが言っている それなら私はもういいです・・・貴方なんて大嫌い

無能妃候補は辞退したい

水綴(ミツヅリ)
ファンタジー
貴族の嗜み・教養がとにかく身に付かず、社交会にも出してもらえない無能侯爵令嬢メイヴィス・ラングラーは、死んだ姉の代わりに15歳で王太子妃候補として王宮へ迎え入れられる。 しかし王太子サイラスには周囲から正妃最有力候補と囁かれる公爵令嬢クリスタがおり、王太子妃候補とは名ばかりの茶番レース。 帰る場所のないメイヴィスは、サイラスとクリスタが正式に婚約を発表する3年後までひっそりと王宮で過ごすことに。 誰もが不出来な自分を見下す中、誰とも関わりたくないメイヴィスはサイラスとも他の王太子妃候補たちとも距離を取るが……。 果たしてメイヴィスは王宮を出られるのか? 誰にも愛されないひとりぼっちの無気力令嬢が愛を得るまでの話。 この作品は「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。

私が行方不明の皇女です~生死を彷徨って帰国したら信じていた初恋の従者は婚約していました~

marumi
恋愛
「あら アルヴェイン公爵がドゥーカス令嬢をエスコートされていますわ」 「ご婚約されたと噂を聞きましたが、まさか本当だとは!」 私は五年前までこの国の皇女エリシアだった。 暗殺事件に巻き込まれ、幼なじみで初恋の相手だった従者――アルヴェイン公子と共に命からがら隣国、エルダールへ亡命した。 彼の「必ず迎えに来る」その言葉を信じて、隣国の地で彼を待ち続けた……。 それなのに……。 やっとの思いで帰国した帝国の華やかなパーティー会場で、一際目立っているのは、彼と、社交界の華と言われる令嬢だった――。 ※校正にAIを使用していますが、自身で考案したオリジナル小説です。 ※イメージが伝わればと思い、表紙画像をAI生成してみました。

屈辱と愛情

守 秀斗
恋愛
最近、夫の態度がおかしいと思っている妻の名和志穂。25才。仕事で疲れているのかとそっとしておいたのだが、一か月もベッドで抱いてくれない。思い切って、夫に聞いてみると意外な事を言われてしまうのだが……。

白椿の咲く日~遠い日の約束

紫さゆり
恋愛
結婚を控えた真由子は、久しぶりに姉の稚子(わかこ)と会う。真由子の母、雪江は妻を亡くした水上実之(みなかみさねゆき)の後添いとして水上家に嫁いだ。実之には俊之、稚子、靖之の三人の子がいた。 稚子が話す庭の白椿のことを聞くうちに、真由子は雪江と白椿に何か関係があることに気がつき…… 大人の恋物語です。

処理中です...