王妃の子は誰の子

彩乃

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2.少女リータは洗濯をしながら思考を巡らす【リータ】

【1】少女ふたりの噂話

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 「リータ、聞いた?王妃様の噂」

 親友のアリスが私の顔をのぞき込みながら尋ねてくる。

 「あぁ、あの、赤ちゃんの瞳の色がどうのってやつ」
 「そう」

 私はたらいの水に浸かった洗濯物をきつく絞ると、アリスに手渡す。彼女はそれをパンッと広げると、物干し竿に干していく。空は快晴。今日は早く仕事が終わりそうだなぁ――。


 裏庭で黙々と洗濯に励む私たちは、この宮廷の使用人。洗濯や掃除、庭の手入れなど、いわゆる「雑用」と呼ばれる仕事をこなしている。
 いちばん楽しいのは厨房でのお仕事。専門のコックさんがいるから、あんまりお手伝いに呼ばれることはないんだけどね。次に楽なのは掃除。広い宮廷中を回るのは簡単じゃないけど、今日みたいなカンカン照りの日は室内にいられるだけでも幸せ。
 最悪なのが、庭仕事とか、今やっている洗濯みたいな野外での仕事。重労働だし、汚れるし、天気に左右されるしで外での仕事は大変。だけど、量も多くて人手も足りていないから、こうしてせっせと仕事に励んでいるってわけ(まぁ、人気の仕事はベテランさんが担当しがちだから、私たちみたいな若者はこういう仕事をするしかないんだけどね)。

 「リータ、手が止まってる」
 「ああ、ごめんごめん」

 干すものがなくなり手持ち無沙汰になったアリスがせかしてくる。私は慌てて洗濯物をすすぐと、彼女に手渡した。私は物干し竿を見る。始めの方に干した洗濯物は乾き初めているのに、たらいには大量の洗濯物。

 「今日は洗濯物が多いね。アリスも干してばかりじゃなくて洗うのも手伝ってよ」

 親友の背中に援助を求める。

 「仕方ないよ、王妃様のお産があったから。それに、王妃様に付きっきりの使用人がいるせいで、仕事が上手く回ってないの」

 アリスが私の横に座った。たらいに手を伸ばすと、カーテンのシミを洗い始めた。苦戦する彼女に石けんを手放す。
 「王妃様、まだ良くならないのね」

 私はそうつぶやくと、王妃の部屋の窓を見上げた。裏庭に面したカーテンは丸一日以上閉ざされたままだ。

 「それがね、調 んじゃなくて  だけなんじゃないかって噂なのよ」
 「えっ?」

 アリスは薄い唇を私の耳元に近づけた。
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