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5.使用人リータは微笑む執事を利用する【リータ】
【5】
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「当然ですよ!パトリシオ様は使用人たちの間では有名人ですから」
両手を握り、力強く言うアリス。へぇ、そんなに有名人だったんだ。私は改めてパトリシオを見つめる。ご利益ありそうだし、よく拝んどこ……。
「?そうなのか……」
彼はアリスの言葉に多少驚きつつ、また私が突如熱い視線を注ぎだしたことに大いに困惑しつつ、そうつぶやいた。
「……色々解せぬことはあるが、俺のことは一旦置いておこう。二人のことを教えてくれ」
私達に話題が移った。私とアリスは目と目を見合わせる。
「私は、アリスです。数年前にこの宮廷にやってきたの。まぁ、見ての通り、下っ端の使用人だけど……。今日は洗濯の仕事をしていました」
まず自己紹介したのは、アリス。人懐っこい笑顔を作り、そつなく挨拶をこなす。
「そしてこっちが……」
「私はリータ。国を出てこの国に入ったあと、アリスと一緒に宮廷で働きだしました。あとはアリスと同じです。」
私はうやうやしく頭を下げた。一使用人の自己紹介など、パトリシオの記憶には残るはずもないが、こういう所作は案外記憶に残るものだ。丁寧にやらねば。
「へぇ、国外から……」
パトリシオは興味を示したように、まじまじとこちらを見つめてくる。
「別に珍しいことではありませんよ。……さ、お互いのことも分かったことだし、ちゃっちゃと選んじゃいましょ。日が暮れちゃう。」
私は無理矢理話をそらすと、足早にガーデンの中へ進んでいったのであった。
両手を握り、力強く言うアリス。へぇ、そんなに有名人だったんだ。私は改めてパトリシオを見つめる。ご利益ありそうだし、よく拝んどこ……。
「?そうなのか……」
彼はアリスの言葉に多少驚きつつ、また私が突如熱い視線を注ぎだしたことに大いに困惑しつつ、そうつぶやいた。
「……色々解せぬことはあるが、俺のことは一旦置いておこう。二人のことを教えてくれ」
私達に話題が移った。私とアリスは目と目を見合わせる。
「私は、アリスです。数年前にこの宮廷にやってきたの。まぁ、見ての通り、下っ端の使用人だけど……。今日は洗濯の仕事をしていました」
まず自己紹介したのは、アリス。人懐っこい笑顔を作り、そつなく挨拶をこなす。
「そしてこっちが……」
「私はリータ。国を出てこの国に入ったあと、アリスと一緒に宮廷で働きだしました。あとはアリスと同じです。」
私はうやうやしく頭を下げた。一使用人の自己紹介など、パトリシオの記憶には残るはずもないが、こういう所作は案外記憶に残るものだ。丁寧にやらねば。
「へぇ、国外から……」
パトリシオは興味を示したように、まじまじとこちらを見つめてくる。
「別に珍しいことではありませんよ。……さ、お互いのことも分かったことだし、ちゃっちゃと選んじゃいましょ。日が暮れちゃう。」
私は無理矢理話をそらすと、足早にガーデンの中へ進んでいったのであった。
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