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2章 あなたと共に過ごす日々
23 ショッピングに行こう!・3
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うん、わかる。わかってたよ。
私のイメージじゃないって。
どういう系って言ったら、きっとロリ系。
白、ピンク、ベージュを筆頭に、店内を淡く優しいパステルカラーが包んでいる。
リボンとフリルがいっぱいついた少女趣味全開の服は、弘瀬さんとか……会ったこと無いけどミナみたいな。
小柄で可愛いらしい女の子が似合う。
店の中央でマネキンが着ている小花柄のワンピースの隣に雅の姿を想像すると凄くしっくりきた。
そうそう、そんな感じの女の子と手なんか繋いで、きゃっきゃってはしゃいじゃってさ。
雅の彼女のイメージって、私の中でこんな感じなんだよなぁ……。
フラフラとワンピースに吸い寄せられる。
袖から覗いていた値札を見て、フッと鼻で笑い飛ばしてしまった。
色々な意味で無理だった。
いつの間にか私の横に立っていた涼子が言いづらそうに口を開いた。
「……美亜は身長あるし。正直、もっと……こう。姉系の服の方が似合うよ」
「……ん、うん……でも、ほら。なんか、化粧するとただでさえ実年齢より上に見えちゃうし」
「大人っぽくていいじゃん。綺麗になる上で、素材を上手に生かすのは大事だよ」
「…………」
開きかけた口を閉じる。
わかっていたことだけど、着てみたい服と似合う服は、違うんだ。
どんな顔をしていたのかは定かではないけど、私の表情を見た涼子は「あ、で、でも!」と必死にフォローを続けた。
「美亜のバイト服姿も見てるしさ、ああいうのもきっと似合わなくはないよ? でも今までのシンプルな服から一転して急にあそこに行っちゃうのは……なんというか……上手く言えないんだけどぉ~……」
じたばたしながら頭を抱える涼子に代わって、千夏が言葉を次いだ。
「美亜が何着も服を持っていて、その中に取り入れるなら良いと思うけど。可愛くてもインパクトの強い服って難しいよ。印象に残る分、そればっかり着られないし。最初は着回しがきく服から始めてみたらいいと思うんだけど」
着回しがきく。それは私が服を選ぶ時の基本的な考え方だ。
でも、だからこそシンプルに偏ってしまった訳で……。
ふたりのアドバイスは適確だと思ったけど、具体的にどうすればいいかさっぱりわからない。
更に何店舗か巡り、千夏と涼子は私に漠然とした質問をするのをやめた。
2着に絞ってどっちの服が好きかを聞いたり、私の好む服の傾向をより具体的に探り出そうとしてくれた。
最終的に「ここは、ここは~?」と涼子に腕を引っ張られながら連れて行かれた先は、最初の店ほど『可愛い』を全面に押し出している感じではないけど、アンティークな雰囲気が好ましいお店だった。
「こういう感じの服は?」
そう言って涼子が私の元に持ってきたのは素朴で可愛いアンサンブルのワンピース。
薄い黄色の布地にアジアンテイストの花の刺繍がしてあり、前あきボタンと裾を彩るレースは鮮やかなグリーン。レースのペチコートワンピースとロングカーディガンがセットになっている。
季節は夏に向かっていることもあり、値札には7割引きの赤札が付いていて非常にお買い得だった。
私の反応がまんざらではないと察したのか、涼子は更に背中を押した。
「このワンピにベルトしたり、ボタン外してベストっぽく来たらカジュアルだし、中にレースの服を着たらフェミニンになるよ。これなら上着や中に着るものを変えて色んな着こなし方ができるよー、きっと」
にこにこと私の胸に服をあててくる涼子に、千夏も「いいんじゃない」と頷いている。
なるほど。
確かにちょっと工夫すれば、今までの服にプラスしても可愛く着こなせるかもしれない。
ばらして着れば、オールシーズン着られそうだ。けど。
「やっぱり私には似合わないんじゃないかな……」
可愛い=似合わない、という図式が頭をよぎって、私は少し弱気になる。
「だから、そんなことないってば。ついでに髪型もちょっと変えてみれば? 雰囲気変わるよ? パーマ、まではいかなくとも、ゆるくヘアアイロンで巻いてルーズな感じにしてみるとかさ」
「あ、それなら今からうちにくる? ヘアアイロンなら私の家に使ってないのあるからあげるよー」
その後は早々にモールを後にし、涼子の家へと連行された。
私のイメージじゃないって。
どういう系って言ったら、きっとロリ系。
白、ピンク、ベージュを筆頭に、店内を淡く優しいパステルカラーが包んでいる。
リボンとフリルがいっぱいついた少女趣味全開の服は、弘瀬さんとか……会ったこと無いけどミナみたいな。
小柄で可愛いらしい女の子が似合う。
店の中央でマネキンが着ている小花柄のワンピースの隣に雅の姿を想像すると凄くしっくりきた。
そうそう、そんな感じの女の子と手なんか繋いで、きゃっきゃってはしゃいじゃってさ。
雅の彼女のイメージって、私の中でこんな感じなんだよなぁ……。
フラフラとワンピースに吸い寄せられる。
袖から覗いていた値札を見て、フッと鼻で笑い飛ばしてしまった。
色々な意味で無理だった。
いつの間にか私の横に立っていた涼子が言いづらそうに口を開いた。
「……美亜は身長あるし。正直、もっと……こう。姉系の服の方が似合うよ」
「……ん、うん……でも、ほら。なんか、化粧するとただでさえ実年齢より上に見えちゃうし」
「大人っぽくていいじゃん。綺麗になる上で、素材を上手に生かすのは大事だよ」
「…………」
開きかけた口を閉じる。
わかっていたことだけど、着てみたい服と似合う服は、違うんだ。
どんな顔をしていたのかは定かではないけど、私の表情を見た涼子は「あ、で、でも!」と必死にフォローを続けた。
「美亜のバイト服姿も見てるしさ、ああいうのもきっと似合わなくはないよ? でも今までのシンプルな服から一転して急にあそこに行っちゃうのは……なんというか……上手く言えないんだけどぉ~……」
じたばたしながら頭を抱える涼子に代わって、千夏が言葉を次いだ。
「美亜が何着も服を持っていて、その中に取り入れるなら良いと思うけど。可愛くてもインパクトの強い服って難しいよ。印象に残る分、そればっかり着られないし。最初は着回しがきく服から始めてみたらいいと思うんだけど」
着回しがきく。それは私が服を選ぶ時の基本的な考え方だ。
でも、だからこそシンプルに偏ってしまった訳で……。
ふたりのアドバイスは適確だと思ったけど、具体的にどうすればいいかさっぱりわからない。
更に何店舗か巡り、千夏と涼子は私に漠然とした質問をするのをやめた。
2着に絞ってどっちの服が好きかを聞いたり、私の好む服の傾向をより具体的に探り出そうとしてくれた。
最終的に「ここは、ここは~?」と涼子に腕を引っ張られながら連れて行かれた先は、最初の店ほど『可愛い』を全面に押し出している感じではないけど、アンティークな雰囲気が好ましいお店だった。
「こういう感じの服は?」
そう言って涼子が私の元に持ってきたのは素朴で可愛いアンサンブルのワンピース。
薄い黄色の布地にアジアンテイストの花の刺繍がしてあり、前あきボタンと裾を彩るレースは鮮やかなグリーン。レースのペチコートワンピースとロングカーディガンがセットになっている。
季節は夏に向かっていることもあり、値札には7割引きの赤札が付いていて非常にお買い得だった。
私の反応がまんざらではないと察したのか、涼子は更に背中を押した。
「このワンピにベルトしたり、ボタン外してベストっぽく来たらカジュアルだし、中にレースの服を着たらフェミニンになるよ。これなら上着や中に着るものを変えて色んな着こなし方ができるよー、きっと」
にこにこと私の胸に服をあててくる涼子に、千夏も「いいんじゃない」と頷いている。
なるほど。
確かにちょっと工夫すれば、今までの服にプラスしても可愛く着こなせるかもしれない。
ばらして着れば、オールシーズン着られそうだ。けど。
「やっぱり私には似合わないんじゃないかな……」
可愛い=似合わない、という図式が頭をよぎって、私は少し弱気になる。
「だから、そんなことないってば。ついでに髪型もちょっと変えてみれば? 雰囲気変わるよ? パーマ、まではいかなくとも、ゆるくヘアアイロンで巻いてルーズな感じにしてみるとかさ」
「あ、それなら今からうちにくる? ヘアアイロンなら私の家に使ってないのあるからあげるよー」
その後は早々にモールを後にし、涼子の家へと連行された。
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