漫画のつくりかた

右左山桃

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本編

エピローグ

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 ぱさり、と音をたてて本棚の隙間から画用紙が落ちた。
 色褪せた画用紙に王子様とお姫様がクレヨンで描かれている。

「ああ、懐かしい」

 私はそれを拾い上げた。
 確か昔、サトちゃんが描いてくれたんだよね。

 幼い私の横で、サトちゃんはずいぶんたくさんの絵を描いてくれた。
 色々な空想話をしてくれた。
 それはとてもとても幸せな瞬間で。
 このまま時間が止まってしまえばいいと何度も思った。

 目の前に。
 大好きな人と、一枚の紙がある。

 そこは、暖かくてとても幸せな世界だった。

「日菜子ーっ! 今日は鹿乃子ちゃん達と映画に行くんでしょー! 時間大丈夫なのーっ!?」

 ドアの外から聞こえるお母さんの声で、私はハッと我に返る。

「でも、もう、行かなくちゃね」

 画用紙をそっと机に置いた。
 王子様とお姫様は、あの日からずっと変わらずに微笑んでいる。

 帰ってきたら、ここに登場人物を増やそうかな。
 たくさんの色のクレヨンで、二人の世界を彩ろう。

 そして、また、辿り着いたその先の世界で。
 大好きなあなたと手をつなぐの。
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