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気づいた心
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「……っん……」
深まる口付けに来海の吐息が零れ、無意識に伸びた指先が充輝の胸元を掴んだ。
その小さな仕草一つで充輝の心は大きく揺さぶられる。
「……そんな風に掴まれたら、余計離れがたくなるんだけど?」
囁かれた言葉に来海の頬が熱を帯び、その表情を見た瞬間、充輝の腕に自然と力がこもった。
「……向坂さん……」
抑えきれないその想いによって再び重ねられたキスは更に深く激しく、互いの鼓動がはっきりと伝わるものだった。
角度を変えながら繰り返される口付けに、二人の呼吸は次第に乱れていく。
「……はぁ……」
やがて唇が離れて息を整える来海を見て、充輝は申し訳なさそうに眉を下げた。
「……ごめん。少し、強引過ぎた……」
その言葉に来海は恥ずかしそうに視線を落としながら首を小さく振る。
「……ううん。嫌じゃなかったし……嬉しかった、から」
そんな来海の一言に充輝の表情がふっと緩んだ。
「そっか……良かった」
安堵と愛しさを滲ませながら充輝は再び来海を抱き寄せる。
「これからは絶対に、不安にさせるようなことはしないから」
「うん……信じてる」
その言葉と温もりに来海の胸は静かに満たされていき、二人の距離は更に縮まっていくのだった。
充輝からはっきりと想いを告げられた週末以降、エマは意識的に二人と距離を置くようになっていた。
視線が合っても、業務以外で言葉を交わそうとはしない。
まるで初めから関わりが無かったかのようによそよそしい態度だった。
そんなエマの行動は当たり前だと充輝は理解していたため、無理に距離を詰めようとはしなかった。
ただ一人、仕事の都合でエマと行動を共にせざるを得ない来海だけが、気まずさを胸に抱えたまま日々を過ごしていた。
そうして二週間ほどが過ぎ、海外支社の社員たちが日本での研修を終えた日の夜、各部署合同で行われた送別の飲み会は賑やかに進んだものの、三人が交わす言葉はほとんどなかった。
約二時間で送別会はお開きとなり、二次会へ向かう者、帰路につく者が入り混じる解散間際のこと、
「ミツキ」
人の波が途切れかけたその時、エマは充輝の名を呼び止めた。
「話があるんだけど……少しだけ、いい?」
その言葉に、充輝の隣にいた来海は二人きりにした方がいいのだろうかと一瞬躊躇い、この場を離れようとするけれどそれを察した充輝がそっと手で制した。
「……ここに居て」
そのやり取りを間近で見ていたエマは、そのことについては特に何も言わず、話を続けていく。
「この前は……突然、飛び出して行ってごめんなさい……あれから、避けてたことも……」
エマの謝罪に充輝は首を振る。
「いや、俺の方こそ、ごめん」
互いに短く謝罪を交わすと、言葉の切れ目に微妙な沈黙が落ちた。
するとエマは一度だけ来海に視線を移してすぐに充輝を真っ直ぐ見据えると、
「私ね……本当に、ミツキのことが好きだった」
迷いのない、まっすぐな言葉を口にしたあとで、更に思ったことを包み隠さず話していく。
「あの日、ミツキからはっきり想いを聞かされて、辛かった。納得出来なくて……サキサカさんには、何かしてやりたいくらい、苛立ちが抑えきれなかった。でも、そんなことをしてもミツキの心が私に向くことはないって分かったし、何よりも、ミツキに嫌われたくはないから……今日まで話すこともしてこなかった……」
一瞬だけ唇を噛みしめ、エマは更に続けていく。
「ミツキ、今までありがとう。一緒に居た時間は、楽しかったし、私の中で、これからもずっと、大切な思い出の一つよ」
「……俺の方こそ、ありがとう。俺も、エマと過ごした日々は楽しかった。沢山助けられたし、本当に感謝してる」
充輝のその言葉に少しだけ笑みを浮かべたエマ。
「嬉しい。そこだけは、同じ気持ちだったって、分かって。ミツキ、幸せになってね」
そして視線を来海へと向け、静かに告げた。
「……ミツキを悲しませたら……絶対に許さないから」
エマの言葉に来海は深く頷いた。
「……はい」
そして充輝も真剣な眼差しでエマを見つめ、
「ありがとう。エマ……その気持ち、忘れないから。エマも、幸せになってね」
感謝と別れの言葉を口にした。
エマはそれ以上何も言わず二人に背を向けると振り返ることなく歩き出し、その背中はやがて人混みに溶けていく。
エマの姿が完全に見えなくなるまで二人はその場を動けずにいた。
やがて、来海の指先に充輝の手がそっと触れ、確かめるように絡まる。
罪悪感と感謝、そして託された想い。
その全てを胸に抱きながら、二人は無言のまま同じ方向へと歩き出していった。
深まる口付けに来海の吐息が零れ、無意識に伸びた指先が充輝の胸元を掴んだ。
その小さな仕草一つで充輝の心は大きく揺さぶられる。
「……そんな風に掴まれたら、余計離れがたくなるんだけど?」
囁かれた言葉に来海の頬が熱を帯び、その表情を見た瞬間、充輝の腕に自然と力がこもった。
「……向坂さん……」
抑えきれないその想いによって再び重ねられたキスは更に深く激しく、互いの鼓動がはっきりと伝わるものだった。
角度を変えながら繰り返される口付けに、二人の呼吸は次第に乱れていく。
「……はぁ……」
やがて唇が離れて息を整える来海を見て、充輝は申し訳なさそうに眉を下げた。
「……ごめん。少し、強引過ぎた……」
その言葉に来海は恥ずかしそうに視線を落としながら首を小さく振る。
「……ううん。嫌じゃなかったし……嬉しかった、から」
そんな来海の一言に充輝の表情がふっと緩んだ。
「そっか……良かった」
安堵と愛しさを滲ませながら充輝は再び来海を抱き寄せる。
「これからは絶対に、不安にさせるようなことはしないから」
「うん……信じてる」
その言葉と温もりに来海の胸は静かに満たされていき、二人の距離は更に縮まっていくのだった。
充輝からはっきりと想いを告げられた週末以降、エマは意識的に二人と距離を置くようになっていた。
視線が合っても、業務以外で言葉を交わそうとはしない。
まるで初めから関わりが無かったかのようによそよそしい態度だった。
そんなエマの行動は当たり前だと充輝は理解していたため、無理に距離を詰めようとはしなかった。
ただ一人、仕事の都合でエマと行動を共にせざるを得ない来海だけが、気まずさを胸に抱えたまま日々を過ごしていた。
そうして二週間ほどが過ぎ、海外支社の社員たちが日本での研修を終えた日の夜、各部署合同で行われた送別の飲み会は賑やかに進んだものの、三人が交わす言葉はほとんどなかった。
約二時間で送別会はお開きとなり、二次会へ向かう者、帰路につく者が入り混じる解散間際のこと、
「ミツキ」
人の波が途切れかけたその時、エマは充輝の名を呼び止めた。
「話があるんだけど……少しだけ、いい?」
その言葉に、充輝の隣にいた来海は二人きりにした方がいいのだろうかと一瞬躊躇い、この場を離れようとするけれどそれを察した充輝がそっと手で制した。
「……ここに居て」
そのやり取りを間近で見ていたエマは、そのことについては特に何も言わず、話を続けていく。
「この前は……突然、飛び出して行ってごめんなさい……あれから、避けてたことも……」
エマの謝罪に充輝は首を振る。
「いや、俺の方こそ、ごめん」
互いに短く謝罪を交わすと、言葉の切れ目に微妙な沈黙が落ちた。
するとエマは一度だけ来海に視線を移してすぐに充輝を真っ直ぐ見据えると、
「私ね……本当に、ミツキのことが好きだった」
迷いのない、まっすぐな言葉を口にしたあとで、更に思ったことを包み隠さず話していく。
「あの日、ミツキからはっきり想いを聞かされて、辛かった。納得出来なくて……サキサカさんには、何かしてやりたいくらい、苛立ちが抑えきれなかった。でも、そんなことをしてもミツキの心が私に向くことはないって分かったし、何よりも、ミツキに嫌われたくはないから……今日まで話すこともしてこなかった……」
一瞬だけ唇を噛みしめ、エマは更に続けていく。
「ミツキ、今までありがとう。一緒に居た時間は、楽しかったし、私の中で、これからもずっと、大切な思い出の一つよ」
「……俺の方こそ、ありがとう。俺も、エマと過ごした日々は楽しかった。沢山助けられたし、本当に感謝してる」
充輝のその言葉に少しだけ笑みを浮かべたエマ。
「嬉しい。そこだけは、同じ気持ちだったって、分かって。ミツキ、幸せになってね」
そして視線を来海へと向け、静かに告げた。
「……ミツキを悲しませたら……絶対に許さないから」
エマの言葉に来海は深く頷いた。
「……はい」
そして充輝も真剣な眼差しでエマを見つめ、
「ありがとう。エマ……その気持ち、忘れないから。エマも、幸せになってね」
感謝と別れの言葉を口にした。
エマはそれ以上何も言わず二人に背を向けると振り返ることなく歩き出し、その背中はやがて人混みに溶けていく。
エマの姿が完全に見えなくなるまで二人はその場を動けずにいた。
やがて、来海の指先に充輝の手がそっと触れ、確かめるように絡まる。
罪悪感と感謝、そして託された想い。
その全てを胸に抱きながら、二人は無言のまま同じ方向へと歩き出していった。
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