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鬼女と小金の胡麻団子
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夏も盛りとなり燦々と降り注ぐ日がじりじりと地面を焼く。幸いに日陰に位置する山中の花橘はなんとか耐えられる気温だ。しかし来月には炎天下となり、生活するのも辛いだろう、と橘に言ったところ、「そのときはクーラーをつければいい」と当然のように言われてしまった。
いつものことながら花橘のローテクノロジーとハイテクノロジーの混在するあり方にいちいち衝撃を受けてしまう。客のほとんどが人外であり、妖や神やが跋扈しているのにしれっと冷蔵庫やクーラーは完備されている。見るからに世捨て人と言った風体の妖と見紛う橘が懐からスマートフォンを出したときなど一瞬思考がフリーズした。確かに橘は人外に近い身なりをしているが一応人間だ。それもどちらかと言えば店が開けるくらいにはまともな。飲食店を開いているということは管轄の保健所に届けは出しているし、電気やガスのライフラインが通っているということは近くのコンビニや銀行で振り込みをしているし、住民税や固定資産税も支払っているし、なんなら確定申告もしているのだろう。世捨て人風だが、なんだかんだしっかりした社会人だ。
格子窓から入り込む風が心地いい。涼しい廊下に立つ私は壁の上まで本やらなにやらが詰められた本棚と向き合っていた。見るからに古そうなものが多く、背表紙はどれもどこか黄ばんでいる。何より古そうなものは背表紙だけでも漢字がずらりと並んでいて視線が滑る。一番上の段に置いてあった『黄帝内経』を手に取って開くも、レ点も何もついてない白文が一面に広がりクラリとした。読めるはずもなくそっと本棚に戻す。『神農本草経』『傷寒雑病論』『養生訓』どれもこれも簡単には読めそうにない。
「ベニちゃんどうしたの? 本読みたいの?」
「まあ、うん。私も少しくらい勉強した方がいいんじゃないかなって思ってさ」
いつも間にか隣にいた飛梅に一瞬心臓が止まった気がしたが何とか平静を装ってみせる。
この薬膳茶寮・花橘に来て3か月が経とうとしている。相変わらず私はここで掃除や生薬の採集の手伝いをしている。けれどいろんな草花やお客たちを見ていると自分の無知さを痛感してしまう。記憶喪失とかそれ以前の問題として、物事を知らなさ過ぎた。
ただの高校生なら薬膳や漢方について大して知らないだろう。けれどどんな食べ物が今旬だとか、調理の仕方だとか、お客にまつわる話だとか、きっと知っている人なら多少は知っている内容ですら、私は知らなかった。歴史も言語も料理も、一般常識すらないに等しい。自己嫌悪してしまうまでに単純な勉強不足だった。
特にこの前に雪天の件だ。橘は雪天の姿を見ただけで何者なのかを見抜いた。見抜いた材料は特殊なものじゃなくて、一般常識的なもの。私は蚕が絹を作るために飼育されていたことは知っていたけど退化して飛べないことも、ものを食べることができないことも知らなかった。
「私ってさ、生薬の採集にしても全部橘さんの言われるがままやってきてて、自分で調べたり橘さんに詳しく聞いたりもしてこなかったんだよね」
何をとっても受動的で、自分から行動してこなかった。自分が知らなくても問題ない、何となくできていればいい、だなんて甘えていた。自分で記憶を取り戻す努力もせず、この世話になってる花橘の役に立てるよう尽力もしてこなかった。
「これからはさ、少しでも役に立てるように勉強していきたいの。いつまでここにいられるかわからないけど、それまで、花橘の従業員として仕事をしたいから」
「ずっと一緒にいればいいのに。ベニちゃんがいなくなったら、私もロゼンも寂しいよ」
最初は私を驚かす以外ではそばに寄ってこなかったのに、可愛いことを言ってくれるようになった。触り心地のいいおかっぱ頭を撫で繰り回す。
「飛梅はともかく橘さんはどうかな」
「寂しいよ。ここはずっと寂しかったんだもん」
飛梅は本棚の下段から数冊本を引っ張り出した。
「簡単で分かりやすいのはね、下の方にある。上にあるのはロゼンも読めないの」
手渡された本には『新・漢方薬の基礎』『薬草の見分け方』『からだを整える薬膳』と書かれている。開いてみると図や写真が多く見やすい。これなら何とか読み進められるだろう。
「ありがとう、飛梅。頑張るよ」
「うん、ベニちゃんさ。記憶が戻ってもここにいてよ。ここで勉強してさ、ロゼンの右腕みたいになるの。ここはいいところだよ。みんなやさしくて、お腹もいっぱい。辛いことも怖いことも、あんまりないよ」
黒い瞳が私のことを見上げたけれど、私は曖昧に笑って頭を撫でるしかできなかった。記憶が戻ってからのことは、今の私では何の約束もできない。記憶を失う前の私が、どんな考え方をしていて、どんな人間だったのか。私にはそれがわからない。わからない以上、記憶の戻った私がどんな判断をするのか、想像もつかなかった。
飛梅の言葉はとてもうれしい。けれどだからこそ、安請け合いはできなかった。
空がかすかに橙色に変わり始めたころ、テーブルを拭いていると橘に声をかけられた。そして手渡される風呂敷包み。
「お使いですか?」
「ああ、この山と北の山との谷間に神社がある。今そこで祭りの準備をしてんだ。そこの神社の宮司が知り合いでな。それは差し入れだ。最終日に向けて今は奉納やら神輿やらをやってる」
ふと思い返すと今日は朝から花火のような音が聞こえていた。遠かったため空耳か何かかと思っていたが、きっとそこの祭りで打ち上げた花火なのだろう。ここからではまだ祭囃子も人の声も聞こえない。けれどなんだかワクワクした。
「お祭り!? 私も行く! ロゼンお小遣い!」
「今やらん。祭りの当日まで待て」
「ケチー」
ちょうだい、やらんの応酬を横目にちらりと風呂敷の中を覗く。一つの風呂敷の中には黒い重箱。もう一つの風呂敷には大きな瓶が入っていた。例のごとく瓶のラベルは読むことができない。まるでミミズがのたくったような、いや達筆すぎる字だ。
「ごめんくださぁい」
「いらっしゃいませ!」
入り口からかけられた声にひとまず風呂敷を机に置き出迎える。
暖簾をくぐって現れたのは淡い朝顔の描かれた着物を着た美しい女性だった。私が花橘に来てからは初めてのお客さんだ。
女性は数回目を瞬かせ、そうしてつかつかと私に歩み寄った。
「あら、あらあらあらぁ? なあに、可愛い子がいるじゃない炉善くん。この娘だあれ? 可愛いあなた、お名前はなんていうのぉ?」
身体のわりに大きな両手が私の両頬を包み込む。その手の爪長く、鋭いぞわぞわと悪寒が身体を走り抜けるが、ぐっとお腹に力を入れて耐えた。
「初めまして。今年の春からこちらでお世話になっているベニと申します」
「あらやだお行儀がいいわねぇ。まだ幼いのに立派ねえ。でもどうかそんなに緊張なさらないで。わたし、あなたと仲良くしたいだけなの」
震えそうになる声を何とか飲み込み、接客業、これは接客業だと心の中で唱え続け、かろうじて笑顔をキープする。女性の笑顔が聖女か何かのように穏やかで美しくても、白い額から生えた二本の細い角と小さな口から覗く鋭い牙が私に危機感を与える。先程橘の名前を気安く呼んだ彼女はきっとここの常連なのだろう。ここに出入りできる妖ならその見た目が恐ろしかろうと、話もできず襲い掛かってくるタイプではないはずだ。
「梓乃、手ぇ放せ。怯えてるだろ」
「炉善くんたらまるで私のことを悪者みたいに言うわねえ。それに最初はびっくりしちゃうかもしれないけど、すきんしっぷっていうのはだんだん慣れていくものよお?」
「そうかい。なんにせよ、こいつは子供じゃない。うちの従業員だ。誑かすのも取って食うのも遠慮してもらおうか」
後ろから伸びてきた手が梓乃と呼ばれた彼女の両手を叩き落とした。これ幸いと女性の相手を橘に丸投げし、改め目の前で橘と話す女性を見る。
初見は伊地知と同じようにただの人間だ。けれど白磁のような額から伸びる二本のつのは決して人間にはないものだ。慈愛を載せて細められた目はぞっとするほど赤く、瞳孔は蛇のように割れている。
けれど不思議なことに見れば見るほど、彼女のことが怖くなくなってくる。確かに見た目は恐ろしい。あの牙で噛みつかれてしまえば、私なんてあっという間にバラバラに引き裂かれてしまうだろう。だが彼女自身から、恐ろしさを感じないのだ。力んでいた身体が緩やかに弛緩していく。初めてこの山に来た夜に受けた視線たちとは違う。優しい眼差しだ。
「いやだわ、まるで人を獣か何かみたいに言うなんて。私はただ可愛い子を愛してあげるだけなのに」
「……ベニ、こいつは梓乃。北の山の風越峠に住む鬼女だ」
「きじょ」
耳慣れない単語だ。けれど彼女を見れば自ずと思い浮かぶ。
「鬼、なんですね」
「ええ、挨拶が遅れちゃってごめんなさいねえ。あなたがあんまり可愛くてつい。私は鬼女の梓乃。鬼だけど最近じゃあ悪さなんて何もしてないわぁ。私はできれば人間と仲良くしたいの。みんな可愛くて脆くて愛おしいもの。なんだかとっても守りたくなってしまうの」
いつものことながら花橘のローテクノロジーとハイテクノロジーの混在するあり方にいちいち衝撃を受けてしまう。客のほとんどが人外であり、妖や神やが跋扈しているのにしれっと冷蔵庫やクーラーは完備されている。見るからに世捨て人と言った風体の妖と見紛う橘が懐からスマートフォンを出したときなど一瞬思考がフリーズした。確かに橘は人外に近い身なりをしているが一応人間だ。それもどちらかと言えば店が開けるくらいにはまともな。飲食店を開いているということは管轄の保健所に届けは出しているし、電気やガスのライフラインが通っているということは近くのコンビニや銀行で振り込みをしているし、住民税や固定資産税も支払っているし、なんなら確定申告もしているのだろう。世捨て人風だが、なんだかんだしっかりした社会人だ。
格子窓から入り込む風が心地いい。涼しい廊下に立つ私は壁の上まで本やらなにやらが詰められた本棚と向き合っていた。見るからに古そうなものが多く、背表紙はどれもどこか黄ばんでいる。何より古そうなものは背表紙だけでも漢字がずらりと並んでいて視線が滑る。一番上の段に置いてあった『黄帝内経』を手に取って開くも、レ点も何もついてない白文が一面に広がりクラリとした。読めるはずもなくそっと本棚に戻す。『神農本草経』『傷寒雑病論』『養生訓』どれもこれも簡単には読めそうにない。
「ベニちゃんどうしたの? 本読みたいの?」
「まあ、うん。私も少しくらい勉強した方がいいんじゃないかなって思ってさ」
いつも間にか隣にいた飛梅に一瞬心臓が止まった気がしたが何とか平静を装ってみせる。
この薬膳茶寮・花橘に来て3か月が経とうとしている。相変わらず私はここで掃除や生薬の採集の手伝いをしている。けれどいろんな草花やお客たちを見ていると自分の無知さを痛感してしまう。記憶喪失とかそれ以前の問題として、物事を知らなさ過ぎた。
ただの高校生なら薬膳や漢方について大して知らないだろう。けれどどんな食べ物が今旬だとか、調理の仕方だとか、お客にまつわる話だとか、きっと知っている人なら多少は知っている内容ですら、私は知らなかった。歴史も言語も料理も、一般常識すらないに等しい。自己嫌悪してしまうまでに単純な勉強不足だった。
特にこの前に雪天の件だ。橘は雪天の姿を見ただけで何者なのかを見抜いた。見抜いた材料は特殊なものじゃなくて、一般常識的なもの。私は蚕が絹を作るために飼育されていたことは知っていたけど退化して飛べないことも、ものを食べることができないことも知らなかった。
「私ってさ、生薬の採集にしても全部橘さんの言われるがままやってきてて、自分で調べたり橘さんに詳しく聞いたりもしてこなかったんだよね」
何をとっても受動的で、自分から行動してこなかった。自分が知らなくても問題ない、何となくできていればいい、だなんて甘えていた。自分で記憶を取り戻す努力もせず、この世話になってる花橘の役に立てるよう尽力もしてこなかった。
「これからはさ、少しでも役に立てるように勉強していきたいの。いつまでここにいられるかわからないけど、それまで、花橘の従業員として仕事をしたいから」
「ずっと一緒にいればいいのに。ベニちゃんがいなくなったら、私もロゼンも寂しいよ」
最初は私を驚かす以外ではそばに寄ってこなかったのに、可愛いことを言ってくれるようになった。触り心地のいいおかっぱ頭を撫で繰り回す。
「飛梅はともかく橘さんはどうかな」
「寂しいよ。ここはずっと寂しかったんだもん」
飛梅は本棚の下段から数冊本を引っ張り出した。
「簡単で分かりやすいのはね、下の方にある。上にあるのはロゼンも読めないの」
手渡された本には『新・漢方薬の基礎』『薬草の見分け方』『からだを整える薬膳』と書かれている。開いてみると図や写真が多く見やすい。これなら何とか読み進められるだろう。
「ありがとう、飛梅。頑張るよ」
「うん、ベニちゃんさ。記憶が戻ってもここにいてよ。ここで勉強してさ、ロゼンの右腕みたいになるの。ここはいいところだよ。みんなやさしくて、お腹もいっぱい。辛いことも怖いことも、あんまりないよ」
黒い瞳が私のことを見上げたけれど、私は曖昧に笑って頭を撫でるしかできなかった。記憶が戻ってからのことは、今の私では何の約束もできない。記憶を失う前の私が、どんな考え方をしていて、どんな人間だったのか。私にはそれがわからない。わからない以上、記憶の戻った私がどんな判断をするのか、想像もつかなかった。
飛梅の言葉はとてもうれしい。けれどだからこそ、安請け合いはできなかった。
空がかすかに橙色に変わり始めたころ、テーブルを拭いていると橘に声をかけられた。そして手渡される風呂敷包み。
「お使いですか?」
「ああ、この山と北の山との谷間に神社がある。今そこで祭りの準備をしてんだ。そこの神社の宮司が知り合いでな。それは差し入れだ。最終日に向けて今は奉納やら神輿やらをやってる」
ふと思い返すと今日は朝から花火のような音が聞こえていた。遠かったため空耳か何かかと思っていたが、きっとそこの祭りで打ち上げた花火なのだろう。ここからではまだ祭囃子も人の声も聞こえない。けれどなんだかワクワクした。
「お祭り!? 私も行く! ロゼンお小遣い!」
「今やらん。祭りの当日まで待て」
「ケチー」
ちょうだい、やらんの応酬を横目にちらりと風呂敷の中を覗く。一つの風呂敷の中には黒い重箱。もう一つの風呂敷には大きな瓶が入っていた。例のごとく瓶のラベルは読むことができない。まるでミミズがのたくったような、いや達筆すぎる字だ。
「ごめんくださぁい」
「いらっしゃいませ!」
入り口からかけられた声にひとまず風呂敷を机に置き出迎える。
暖簾をくぐって現れたのは淡い朝顔の描かれた着物を着た美しい女性だった。私が花橘に来てからは初めてのお客さんだ。
女性は数回目を瞬かせ、そうしてつかつかと私に歩み寄った。
「あら、あらあらあらぁ? なあに、可愛い子がいるじゃない炉善くん。この娘だあれ? 可愛いあなた、お名前はなんていうのぉ?」
身体のわりに大きな両手が私の両頬を包み込む。その手の爪長く、鋭いぞわぞわと悪寒が身体を走り抜けるが、ぐっとお腹に力を入れて耐えた。
「初めまして。今年の春からこちらでお世話になっているベニと申します」
「あらやだお行儀がいいわねぇ。まだ幼いのに立派ねえ。でもどうかそんなに緊張なさらないで。わたし、あなたと仲良くしたいだけなの」
震えそうになる声を何とか飲み込み、接客業、これは接客業だと心の中で唱え続け、かろうじて笑顔をキープする。女性の笑顔が聖女か何かのように穏やかで美しくても、白い額から生えた二本の細い角と小さな口から覗く鋭い牙が私に危機感を与える。先程橘の名前を気安く呼んだ彼女はきっとここの常連なのだろう。ここに出入りできる妖ならその見た目が恐ろしかろうと、話もできず襲い掛かってくるタイプではないはずだ。
「梓乃、手ぇ放せ。怯えてるだろ」
「炉善くんたらまるで私のことを悪者みたいに言うわねえ。それに最初はびっくりしちゃうかもしれないけど、すきんしっぷっていうのはだんだん慣れていくものよお?」
「そうかい。なんにせよ、こいつは子供じゃない。うちの従業員だ。誑かすのも取って食うのも遠慮してもらおうか」
後ろから伸びてきた手が梓乃と呼ばれた彼女の両手を叩き落とした。これ幸いと女性の相手を橘に丸投げし、改め目の前で橘と話す女性を見る。
初見は伊地知と同じようにただの人間だ。けれど白磁のような額から伸びる二本のつのは決して人間にはないものだ。慈愛を載せて細められた目はぞっとするほど赤く、瞳孔は蛇のように割れている。
けれど不思議なことに見れば見るほど、彼女のことが怖くなくなってくる。確かに見た目は恐ろしい。あの牙で噛みつかれてしまえば、私なんてあっという間にバラバラに引き裂かれてしまうだろう。だが彼女自身から、恐ろしさを感じないのだ。力んでいた身体が緩やかに弛緩していく。初めてこの山に来た夜に受けた視線たちとは違う。優しい眼差しだ。
「いやだわ、まるで人を獣か何かみたいに言うなんて。私はただ可愛い子を愛してあげるだけなのに」
「……ベニ、こいつは梓乃。北の山の風越峠に住む鬼女だ」
「きじょ」
耳慣れない単語だ。けれど彼女を見れば自ずと思い浮かぶ。
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「ええ、挨拶が遅れちゃってごめんなさいねえ。あなたがあんまり可愛くてつい。私は鬼女の梓乃。鬼だけど最近じゃあ悪さなんて何もしてないわぁ。私はできれば人間と仲良くしたいの。みんな可愛くて脆くて愛おしいもの。なんだかとっても守りたくなってしまうの」
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