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最終話

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結果的に晩餐会は大盛況となった。通訳を介さず隣国の王や女王と話す私に、私の父もエズメの母も驚いていた。

ラウルとの仲を深めることもできた。私はエズメにない活発さ、明るさを武器にラウルと話した。ラウルも大人しい女性よりも、活発な女性の方がタイプのようで、話はとても盛り上がった。

どうやらエズメに好意を持っての交際ではなく、政治的な駆け引きの末、致し方なくエズメと交際していたらしい。

これで私の目的は達成されたように思う。

最後の問題は私に流れる農家の血だ。

これだけは如何ともし難い。ただ、突破口はある。私とラウルのカップルを民衆に認めてもらうことだ。

民衆というのは、身分違いの女が女王になるシンデレラストーリーが好きなものである。

うつ病はすぐに治るものではないし、今回の功績もあり、民衆の注目が集まる王の誕生日会には、私がラウルと参加することになっている。

マスコミはこぞって、次期王位継承者となるかもしれない男やその横にいる女を報道するだろう。そこで何としても民衆に良いイメージを与えなければいけない。

目指すはダイアナ妃のような慈愛に満ちた笑顔。ラウルには歳の離れた弟がいるようだから、彼を連れていても良い。ヘンリー王子やウィリアム王子を連れた優しいダイアナ妃を思い起こさせるかもしれない。

そこまでやるかって?何とでも言ってくれ。周りをギャフンと言わせるために私は何だってやってやるのだ。

誕生会当日、私はラウルと10歳のラウルの弟と一緒に、父の誕生会に参加した。マスコミも当然多く入っていた。いつ撮られているか分からないから、私はとにかくラウルの弟をかまった。

それに加えて、ラウルと仲の良さそうな雰囲気も見せつけた。これまでエズメといたときは表情が強張っていたラウルも、私といるときは心から楽しんでいるようだった。

案の定、その夜のニュースは私たちのこと一色だった。「次期女王はフレーズ王女か」なんて見出しを打った新聞社もあった。

その日から、ラウルは特別な行事がなくても、王室にいる私を訪ねてくるようになった。当初はそれを認めていなかった父や、エズメの母も、ラウルの生き生きとした様子に何も言えなくなったようだった。

そうこうしているうちに、私は成人した。王族の結婚はみな早いので、私も当然結婚を意識し始める。ラウルも意識しているようだった。

そんなある日、いつものように屋敷に来ていたラウルは私と一緒に、王と女王に呼び出された。ついに来たと私は思った。

部屋に入室すると、二人が待っていた。私たちが席に着くなり王が口を開く。

「次期王位継承者を君、ラウルとすることとした。それに伴い、フレーズはラウルと結婚することと決まった。これは王室全体の総意だ。」

それと同時にエズメの母が泣き崩れた。私は心の中で最大級に喜んだ。隣のラウルもこちらを向いて微笑んでくれた。

結婚式当日、私たちは民衆から盛大に祝われた。民衆に顔を見せるために、屋敷のテラスに出ると、庭に民衆が集まっていた。夢にまで見た光景が目の前にあった。

これまでの苦悩の日々なんて忘れてしまえるくらいに、ラウルと私は顔を見合わせて笑った。

私の幸せはこれからだ。
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