凹凸コンビ~8年の青春日記~

壽倉雅

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第9話 見送られて

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3年生になり、周囲の友人たちが内定をもらい始めていた中、雅也は年末になると、千葉県在住の映画プロデューサーに会う機会を得た。何日も前から、雅也はプロデューサーに渡すための資料作り追われていた。
運良く講師の都合で授業が休講になったため、せっかくの機会だからと雅也は4日間の関東滞在を決めた。雅也の母方の従兄の大学院生が東京に住んでいたことと、雅也と浩平と親交のある友人の一人がインターンで神奈川に住んでいたため、宿泊代を抑えることができた。

4日分の荷物をスーツケースに入れた雅也は、いつも通り学校に登校した。
「どうしたんだよ、その荷物?」
学校の廊下で驚いたように浩平が言った。
「今晩から東京。そのまま夜行バスに乗るから、荷物全部持ってきた」
「そっか。ついに今日からか」
「うん」
「良い仕事、決まると良いな」
夜行バスが出発する大きな駅は、普段浩平が乗り換えで使っている駅だったので、その日雅也は浩平と共に駅まで向かった。駅に向かうまでの道で、浩平がスーツケースを運んでくれた。学校から駅までの約30分、12月の冷たい風を受けながら、雅也は浩平と駅まで歩いた。
「そういえば、こっちの駅まで一緒に帰るの初めてかもしれないね」
「ああ、言われてみればそうだな」
他愛もない話をすると、やがて2人は駅に到着した。
「スーツケース運んでくれて、ありがとう」
「いってらっしゃい、頑張ってこい」
浩平に背中を押された雅也は、夜行バスに乗り込んだ。

1本逃すと30分後の電車まで待たなければいけない地元とは違い、3分や5分後に次の電車がやってくる。それにホームの数も10本以上。スーツケース片手にキョロキョロしている絵に描いたような田舎者だったが、雅也は千葉まで赴き、プロデューサーとの話し合いの末、脚本としてのデビューが決まった。
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