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第13話 記憶の欠如
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脳腫瘍になった浩平は、一度回復したものの半年もしないうちに再発。それでも懸命なリハビリを経て、半身不随ではあるが杖があれば歩ける状態になっていた。
「元気そうで良かった」
「せめて歩ける状態にしたかったしさ」
雅也が直接浩平と会うのは約2年ぶりだった。手術と抗がん剤治療のため、頭は坊主になっていたが、仕事に対する情熱は消えていない。久しぶりに再会した雅也たちは、共に通った学校近くの街を歩き、近くの飲食店で食事をした。
それから1年近く経ったある日、雅也は浩平から紹介された仕事のため、車で浩平の地元へ向かうことになった。雅也の自宅から車で約2時間、浩平の地元へ赴いた雅也は、その日無事に仕事を終えた。
せっかく来たし、仕事を紹介してくれたお礼も言いたい、と思った雅也は浩平にLINEを送った。
『今仕事終わった。この後、時間あったら一緒にご飯でも行かない?』
『おお、良いぜ』
すぐに浩平から返信が来た。
雅也は浩平の自宅まで向かった。玄関から、杖を突いた浩平が出てきた。運転席から体を伸ばして、助手席のドアを雅也は開けた。
近くの喫茶店でお茶をして、小一時間してから晩御飯を食べるため、雅也と浩平は回転寿司店に行った。
「覚えてる? 学生時代に回転寿司に行ったこと」
雅也が尋ねると、浩平は、
「ああ、そんなようなことあったっけ。あんまり覚えてないけど」
雅也は返す言葉が見つからなかった。
「病気のせいかな。学生時代のこと、思い出せないことがちょくちょくあるんだよ」
部分的に記憶が欠如している浩平は苦笑して話を続けた。
もしかして、このまま自分と過ごした記憶も忘れてしまうのではないか、と雅也は不安に駆られた。
浩平曰く、
「部分的で全ての記憶を失うわけじゃないから」
少し安堵した雅也だったが、それでも記憶の一部を失っているということは、あの3年間の学生生活の何気ない日常の一部も忘れてしまっているのでは感じ、何ともやり切れない気持ちになっていた。
食事が終わり、雅也は浩平を自宅まで届ける。
「今日はありがとう。またな」
「うん、じゃあね」
別れの言葉を交わし、浩平が家の中に入るのを見届けると、雅也は車を出発させた。
「元気そうで良かった」
「せめて歩ける状態にしたかったしさ」
雅也が直接浩平と会うのは約2年ぶりだった。手術と抗がん剤治療のため、頭は坊主になっていたが、仕事に対する情熱は消えていない。久しぶりに再会した雅也たちは、共に通った学校近くの街を歩き、近くの飲食店で食事をした。
それから1年近く経ったある日、雅也は浩平から紹介された仕事のため、車で浩平の地元へ向かうことになった。雅也の自宅から車で約2時間、浩平の地元へ赴いた雅也は、その日無事に仕事を終えた。
せっかく来たし、仕事を紹介してくれたお礼も言いたい、と思った雅也は浩平にLINEを送った。
『今仕事終わった。この後、時間あったら一緒にご飯でも行かない?』
『おお、良いぜ』
すぐに浩平から返信が来た。
雅也は浩平の自宅まで向かった。玄関から、杖を突いた浩平が出てきた。運転席から体を伸ばして、助手席のドアを雅也は開けた。
近くの喫茶店でお茶をして、小一時間してから晩御飯を食べるため、雅也と浩平は回転寿司店に行った。
「覚えてる? 学生時代に回転寿司に行ったこと」
雅也が尋ねると、浩平は、
「ああ、そんなようなことあったっけ。あんまり覚えてないけど」
雅也は返す言葉が見つからなかった。
「病気のせいかな。学生時代のこと、思い出せないことがちょくちょくあるんだよ」
部分的に記憶が欠如している浩平は苦笑して話を続けた。
もしかして、このまま自分と過ごした記憶も忘れてしまうのではないか、と雅也は不安に駆られた。
浩平曰く、
「部分的で全ての記憶を失うわけじゃないから」
少し安堵した雅也だったが、それでも記憶の一部を失っているということは、あの3年間の学生生活の何気ない日常の一部も忘れてしまっているのでは感じ、何ともやり切れない気持ちになっていた。
食事が終わり、雅也は浩平を自宅まで届ける。
「今日はありがとう。またな」
「うん、じゃあね」
別れの言葉を交わし、浩平が家の中に入るのを見届けると、雅也は車を出発させた。
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