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哀しみ
しおりを挟む「聞こえますか、しっかりして下さい」
救急隊員が夫に呼び掛ける。
だが、夫は無反応だった。
(もう、今度こそ駄目かもしれない)
私の精神状態は崩壊寸前だった。
(夫はどうなるんですか?)
どうにもならないような質問を、救急隊員にふった。
「えっと それは」
「私達にも見当もつきませんので、断定的な事は言えません」
と諭す様に私にそう言った。
(そうですよね)
(まだ分からないですよね)
私は呟くように返事をした。
(無理難題を言ってしまった)
心の中で私は後悔した。
「大丈夫ですよ、きっと」
「旦那さんは戻って来ると思いますよ」
とそう言って救急隊員が私に慰めの言葉をかけた。
思わず、その言葉に私は涙腺が緩んだ。
(なんだか申し訳ないな)
と思い、気が引けるような感覚を覚えた。
「あの、先程はまだ分からないような事をお聞きして申し訳ございませんでした」
と救急隊員に深々と私は頭を下げた。
「そんな、そんなお気持ちは痛い程理解できますので」
と言って救急隊員はそう返事をした。
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