《完結》聖夜の恋はツリーの中で

すずり

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それぞれの聖夜

#3

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 一星が性急な手つきで互いの前を寛げ、兜合わせで一緒くたにペニスを擦る。

「あっ、は、気持ち、い……」
「ユキ。可愛い、ユキ」

 五指から伝わる皮膚の感触と、激しく立てる水音が二人の興奮を引き立てた。
 ぎりぎりまで近づいたことによって互いの胸元に差した氷の薔薇が擦れ合う。体が揺れるたびに、淫らな水音と荒い吐息の中でキンと涼やかな摩擦音を奏でた。その音色が二人に背徳感のスパイスに落とす。

 突然一星が雪雄の薔薇を抜きとり自らの胸ポケットに差すと、雪雄のコートごとトップスを持ち上げた。
 窺うように見ると、欲に濡れた眼差しで昏く笑われる。その野性的な一星の顔つきに、雪雄の胸が急激に高まった。

「顎で押さえて」

 言う通りにすると、骨ばった指が雪雄の乳首をいじめ始めた。
 きゅう、とつねられると腰がまた熱く痺れてしまう。上下から来る二点同時の快感に震え、顎の力が呆気なく解けた。コートとトップスが一星の肘まで落ちたが、その指は止まらない。
 服の下に隠れた手は、先端を転がすように弄ったかと思うと、時折強く押し込まれる。
 いつ来るか分からない強い刺激に、ンッンッと喉から甘えた音が漏れた。

「押さえててって言ったのに」

 息荒く責めていても、その声はまるで嬉しげで険がなかった。
 強引ながらも優しさを残す一星の手つきに、雪雄の全身がグズグズに崩れていく。

 唇の端から唾液が流れ、一星の舌にねっとり舐めとられた。そのまま深く口づけられ、自分を喰らう狼の首に手を回す。
 このままこの男と繋がりたい。溶けて一つになってしまいたい。
 そんな雪雄の気持ちに応えるかのように一星のが下へ下へと下がっていく。隠れたあわいに辿りついた指が触れると、柔らかいそれは指の皮膚を受け止め、一星を引きずり込もうと誘いをかける。

 男らしい眉尻をぴくりとさせた一星がじっと見つめてきて、雪雄はある種の後ろめたさに笑いで誤魔化した。

「確かに俺は童貞だが、流石にこれは分かるぞ」
「いやだって……クリスマスだし?」

 恋人と過ごす予定だったので勿論、後ろの準備は整えている。
 瞬時にして嫉妬で燃えた眼差しが雪雄を射貫いた。無防備な唇に食らいつき、下着ごとパンツを引きずり落とされる。外気に触れた肌が戦慄く暇なく足を掴み上げられ、あわいに濡れた舌先が押し込まれた。

「ひうっ!」

 温かい舌先が表面を滑るたび、スニーカーの爪先が快感にびくびくと痙攣した。ぬめりを伴う遠慮のない動きで更に息が乱れていく。
 ぴちゃぴちゃと普通以上に音が鳴るのは一星がわざと立てているのだと分かって、唇を噛み締めた。
 仰向けの状態で剥き出しになった足の間に、一星の形のいい頭が蠢いている。視界の暴力は雪雄の首まで赤く染め上げた。

「冬野、も……いい。落ち着け、ってえ……」
「一星」

 一星と呼んでくれ、と熱い吐息をかけられ、その刺激でまたびくびくと反応してしまう。

「い……一星」

 乱れた息でなんとか言いきり視線を合わせると、ぎらぎらとした欲望に溢れた瞳を向けられ、どきりとした。

「ユキ、ユキ、ユキ!」

 獣が襲いかかるように身を乗り出され、咄嗟に一星の腹辺りを手で押さえてしまう。服越しに伝わる腹筋の存在に息を呑むのと、あわいに熱い先端が押し入るのは同時だった。

「んああぁぁあぁっ!!」

 逞しい刀身が突き込まれ、衝撃で全身が大きく跳ねる。
 ぱぁん、と甲高い打擲音と共に前立腺を内側から押し込まれ、気づいた時には射精した後だった。

「あ、は……きもち、い……」

 ぴゅるぴゅると腹に精液が溜まるのを見ながら、射精後の快感に打ち震える。
 突き入れられただけで射精してしまった放心状態で頭が動かない。
 ゆるく笑顔を浮かべて陶酔に浸る雪雄を、息を荒げながらも極上の締まりに耐えきった一星は許さなかった。
 ゆるゆると動き、絡みつく肉を楽しみ始めた逞しい腰に、自然と甘えるような声が漏れ出てしまう。

「ん、あぁ……いい……一星、いっせい……」
「ユキ、可愛い、ユキ……好きだ……」
「ん、俺……も」

 腰から染みわたるような甘い快感は、次第に激しく互いを貪るものに変わっていく。徐々に強くなっていく腰使いが、喘ぎを悲鳴に似たもの変えた。


「あっ、あっ! いっせ、はげ、し……」
「ユキ、俺のだ、ユキ!」

 ぱんっぱんっと硬さの増した睾丸が雪雄の尻を激しく叩く。
 頭から爪の先まで食い尽くすように我が物顔で押し入る一星に、雪雄の身体は涙を流して悦んだ。
 全身が性感帯になったような感覚に支配されていく。
 雪雄のいい所を見つけるや、一心不乱にそこを突き込んでくる一星に愛おしさが湧いてくる。
 ご褒美をあげるように意識して締め上げてやると、うっと男前の顔が快感に歪んだ。
 経験が少ないゆえの可愛さに、くすくすとした笑いが零れる。けれど余裕は一時だけだった。

「今のはユキが悪い」
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