帝国特務隊 : クビになった帝国軍人と道具扱いの第四皇女

とうもろこし

文字の大きさ
17 / 42
1章

16 侯爵家アポ無し訪問 2

しおりを挟む

 玄関を突破して屋敷の中に入ったロイドは奥を目指す。

 オーソー侯爵の屋敷は上空から見ると凹型といったような形だ。敷地の奥側へと左右の廊下が伸びている形であり、へこんでいる部分は中庭になっている造りだった。

 建物の中央に玄関ホールがあって、2階に続く階段がある。恐らく2階は客間や寝室があるのだろう。

 今回のようなトラブルが発生した場合、貴族はセーフルームに逃げ込むか私兵団と共に脱出するかの2択となるのがベター。

 2階に逃げても高さが外に脱出する際の障害になるし、セーフルームを作るのであれば1階か地下というのが相場だ。

 故に2階は除外できるだろう。

 1階は中央の玄関ホールから左右に分かれているが、どちらに進むかは一目瞭然だった。

 右側の廊下に続くドアが蹴り破られているからだ。

 更に先行しているビッグマンを止めようとしているのか屋敷の奥では銃声が鳴り響く。

 聞こえて来る方向は、やはり屋敷の右側。ロイドは右側の廊下へ向かった。

 廊下は真っ直ぐ一直線になっていて、左手側は一番奥までガラス張り。屋敷の中庭に咲き誇る季節の花達を廊下から見て楽しめるといったオシャレな造りだ。

 貴族の女性が喜びそうな屋敷の造りであるが、今は花を観賞している場合じゃない。

 右側には応接室や食堂など各部屋に続くドアが並んでいるようだが、どれもビッグマンが中を確認したのかドアが蹴破られて開いていた。

 加えて、ビッグマンがここにいた証拠として廊下のいたるところにオーソー侯爵が雇っていた私兵が倒れている。

 倒れている一部の者達からは呻き声が聞こえるので全員が死んでいるわけじゃなさそうだが。

「どこに行ったんだ?」

 問題はビッグマンの行方である。

 先ほどまで戦闘を繰り広げていた私兵達が転がっているものの、ビッグマンの姿はない。右手側にある各部屋のドアが開けっ放しになっているので、部屋の中にいるのだろうか。

 魔導拳銃を構えたロイドは私兵達の襲撃に備えながらゆっくりと廊下を進み始めた。

 開けっ放しになっているドアの中を1つ1つ確認しつつ、進んでいると廊下の奥に揃いの青い制服を着た私兵の集団が現れた。

 どうやら左側の廊下から中庭を通過して右側の廊下へやって来たようだ。

 手前のガラスは引き戸になっていないので外に出る為の引き戸は左右の奥にだけ配置されているのだろう。

「貴様ッ! 侵入者の仲間かッ!」

 ロイドが彼等に気付いたように、相手もロイドに気付いた。

「おいおい。見て分からねえのか? 俺は軍人だぞ? 騒ぎを聞きつけて来たんだ」

 息を吐くように嘘をつくロイド。魔導拳銃を構えながらも、着ている軍服を見ろとばかりに言った。

 彼の言葉に一瞬だけ固まって顔を見合わせる私兵達だったが、彼等は持っていた魔導長銃の銃口をロイドに向ける。

「黙れ! 屋敷に入った者は容赦するなと命令されている!」

 オーソー侯爵は屋敷の中によっぽど見られたくない物があるのだろう。仮にロイドの言葉が本当で、彼が善良な軍人であったとしても殺すつもりのようだ。

 向けられた魔導長銃の数は10。前列の5人が膝立ちになり、後列の者は立ったまま構えるという基本的な陣形を廊下で作った。

「おいおいおい、マジかよ!」

 私兵のリーダーによる合図で一斉に発射される魔導弾。ロイドはすぐ隣にあった部屋の中に飛び込んで弾を躱す。

「テメェら貴族のワガママに付き合いすぎて頭イカれたのか! 軍の施設でカウンセリングが受けられるぞ! 毎週火曜日の昼と夕方! 2回!」

 あたかも被害者であるかのように叫ぶロイドだが、彼自身も身分を偽っている事を忘れてはならない。

 銃撃が止むとロイドは部屋から顔を出して廊下を窺った。しかし、相手はまだ射撃態勢をとったままでロイドの顔が見えた瞬間に再び撃ち始めた。

「あーあー! 嫌だね! 人の話を聞かない輩は! どうなっても知らんぞ!」

「侯爵閣下の邪魔をする者は死ね!」

 集中砲火を喰らって部屋から出てないロイドの言葉に対しての返答は随分と忠誠心マシマシで熱狂的なセリフだった。

 指揮を執っているのはオーソー侯爵直属の部下か、もしくは関係性が近い者なのだろうか。

 銃声が止んだタイミングでロイドは廊下の状況を確認しようとしたが……。少々嫌な予感がしたのか、彼の顔に険しくなる。

 一瞬だけ顔を出してすぐに部屋の中へ引き込むフェイントを行うと、ロイドが顔を出すのを狙っていたかのように銃声が鳴った。

「チッ。ボンクラだけじゃねえのかよ」

 思わず舌打ちを鳴らすロイド。

 撃つタイミング、カートリッジの交換タイミングは全員で一斉にやらぬよう前列後列でタイミングをズラして、撃って来る箇所はロイドの頭が出るであろう場所をしっかりと推測して撃ってくる。

 更には奥で陣取る為に部屋の中から遮蔽物になる物を用意して身を隠す事も忘れない。

 対峙する私兵達は基本的な戦術は身に着けていて、ロイドの行動を待つ事も出来る。

 すぐに銃をぶっ放したがるチンピラやなんちゃって軍人である貴族の子弟とは違い、戦闘慣れしていて戦闘中であっても心に余裕がある輩のようだ。

 従軍経験者か、それとも軍で訓練を受けた者達か。どちらにせよ、玄関にいたボンボン私兵とは違う。

「さて……」

 ロイドはこの状況を打破するものはないか、と周囲を観察し始めた。

 まずは廊下。ガラス張りになっている部分を撃ち、中庭に出て銃撃戦をするか。たくさんの花が咲き、綺麗に整えられた中庭には遮蔽物が少ない。中庭へ出る案は却下だろう。

 次に目が行ったのは廊下の天井。天井にはガラスの筒のような物が天井に装着されていた。

 これは室内を明るく照らすランプだ。仕組みとしては屋敷の中に張り巡らされた魔力エネルギーパイプから魔力を供給して光る仕組みである。

「…………」

 室内灯が廊下にあるという事はどこかにスイッチがあるはず。

 今いる部屋の中には無い。では、別の部屋の中か廊下のどこかか。

 相手がカートリッジを交換するタイミングで一瞬だけ顔を出すと廊下の壁を見た。

 すると、隣の部屋に続く廊下の壁に室内灯のスイッチを入れる為に用いるレバー付きの箱――魔導機が備わっているのが見えた。

 ロイドは私兵達に魔導拳銃を撃って牽制しつつ、魔導機のある場所まで駆ける。

 魔導機とは家の壁の中に張り巡らされたエネルギーパイプの始点であり、家庭に備わった生活用魔道具を動かす為のスイッチである。

 金属製の箱の中に歯車が組み合わさった機構があり、箱の下部にあるソケットに魔石カートリッジを挿入してレバーを降ろすと、壁の中に張り巡らされたパイプを通って魔導機とパイプで接続された魔導具にエネルギーを送るといった仕組み。

 現代の帝国式住居には大なり小なり必ず備え付けられている物である。

 牽制するロイドは急いで魔導機のレバーを降ろすと、次の部屋の入り口がある位置へ向かって床に飛び込んだ。

 床に這いつくばるような姿勢のまま、真横にある部屋の中へとゴロゴロと転がって避難する。

 レバーを降ろした事で起動した魔導機は「ド、ド、ド」と鈍い音を出しつつ、上部に取り付けられた排出口から「ブシュー」と白い煙を噴出させて抽出したエネルギーをパイプに送り出す。

 飛び込んだ部屋に身を隠して相手の射撃を躱しながら廊下の天井を確認。等間隔で装着されたガラス筒が淡いオレンジ色の光を発しているのが確認できる。

 このガラス筒は廊下の先まで続いている。勿論、私兵達が陣取っている場所の真上にも。

 ここで少し魔導機について補足情報を語ろう。

 先ほども語った通り、魔導機は魔石カートリッジを挿入後、レバーを降ろせばオンの状態になってパイプに魔力が流れ出す。

 レバーを戻してオフの状態にしたら、数分後には魔力エネルギーは霧散して消え失せるというのが基本的な仕組みだ。

 逆に言えば、魔導機をオンにしたままだとソケットに挿入された魔石カートリッジの魔力が尽きるまで、パイプの中には抽出されたエネルギーが流れ続ける。

 この状態で……例えば複数ある室内灯の1つを外したとしよう。外した部分の接続口はどういった状態になるのか。

 答えは抽出されたエネルギーがパイプの外に漏れ出る。外した部分だけ自動的に蓋がされて、エネルギーが外に漏れ出ない……といった上等な仕組みはまだ開発されていない。

 ここでパイプから漏れ出る魔力エネルギーに対して注意せねばならぬ事が1つ。

 魔導具に搭載されている起動術式によって活性化した魔力エネルギー(魔導具の中で魔力がエネルギーとして働いている状態)を、無活性状態の魔力エネルギー(カートリッジから抽出され、パイプに流れている状態)にぶつけると『連鎖活性』という現象を引き起こす。

 活性化された魔力に触発され、無活性状態だった魔力も連鎖するように活性化されるという現象だ。

 適切な装置や安全装置内で活性化すれば問題無いが、魔力を制御する物が何もない場所で魔力を活性化させると魔力の暴走を引き起こす。簡単に言えば魔力がその場で暴れ回って爆発する、といった現象が起きる。

 この連鎖活性を例えるならば『ガス漏れしている箇所に火を近づけたら爆発した』といった状態を想像してもらえば分かりやすいだろうか。

 ガスと違って無臭なのでこちらの方が厄介であるが。

 帝都内で起きる火災や爆発事故の原因のほとんどが連鎖活性によるものとされ、魔導具を使う際は注意するようにと注意喚起されている現象である。

 さて、補足による前置きが長くなってしまったが、ロイドの狙いはこの魔導機とエネルギーパイプの仕組みを利用する事だ。

 ロイドは私兵達の真上にある室内灯に銃口を向けてトリガーを引く。命中すると室内灯が壊れて彼等の頭上に破片が落ちた。

 2発目。魔導弾は壊れた事によって露出した室内灯の接続口目掛けて飛んでいく。

 先ほど語った説明に照らし合わせると、ロイドの撃った弾は『魔導拳銃内部機構の術式によって銃弾化した活性化済みの魔力エネルギー』である。

 2発目の弾は室内灯の接続口を貫通、接続口内部にあった無活性魔力エネルギーにぶつかって――私兵達の頭上で爆発が起きた。

「ぎゃあああッ!?」 

 頭上で爆発した衝撃と炎が私兵達を襲う。酷い者は服が燃えて火達磨になったり、爆発の衝撃でガラス戸を突き破って中庭へ吹き飛ばされたり。

 連鎖活性における大爆発を起こした張本人、ロイドもすぐに部屋の奥へと逃げて床に這いつくばると頭を手で覆った。

 パイプの接続口1つが爆発したことで、他のパイプ内に充満していた無活性魔力エネルギーも連鎖するからだ。

 廊下の天井にあった室内灯は廊下の奥から順番に爆発を起こして、天井から炎柱を立てた。

 爆発した事でガラス戸は吹き飛び、床に敷かれていた絨毯は燃え、天井の一部が壊れて崩れる箇所もあったりと廊下は酷いありさまに。

 部屋の奥に逃げたロイドは廊下から音が消えると再び動き出した。

 部屋の中から顔を出し、廊下の惨状を見て。燃える廊下を歩きながら奥に転がる私兵達に近づいていく。

 さすがに爆発を間近で浴びたのだ。ほとんどの者は死亡しているだろう。

「う、うう……」

 ただ、よほど豪運の持ち主なのかまだ生きている者もいた。

 頭から血を流し、右半身は大火傷の状態。生きているのが不思議なほどの怪我を負っていた。

「お、まえ……」

 声からしてリーダーだった男だろう。

 玄関にいたボンボン私兵とは違って、大量の血を流しながらも鋭い目付きでロイドを睨む。

「言っただろ? どうなっても知らねえってな。カウンセリングと一緒に室内戦の訓練を受けるべきだ」

 確かにこの男は忠誠心もあってボンクラ共とは違い訓練も受けていたようだが、本物にはやはり敵わない。地獄を生き延びた本物には。

 呆れるような声音で言ったロイドだったが、男の手が床に転がる銃へゆっくりと伸びようとしているのを見逃さなかった。

 足で魔導長銃を遠くに蹴飛ばし、男の望みを絶つ。

「う……」

 死ぬ前に一矢報いてやろう。そんな気持ちを絶ったせいか、男の呼吸はどんどん浅くなっていく。

 もうすぐ彼は死ぬ。損傷した体の苦痛を感じながら。

 ロイドは私兵にトドメを刺して楽にしてやるわけでもなく、ただ黙って背を向けてその場から立ち去った。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界転生日録〜生活魔法は無限大!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
☆感想の受付開始しました。 【あらすじ】   異世界に転生したルイは、5歳の高熱を境に、記憶を取り戻す。一度は言ってみたい「ステータス・オープン」で、ステータスを見れることに気付いた。スキル「生活魔法∞(無限大)」を発見。その意味を知るルイは、仄かに期待を抱いた。  それと同時に、今世の出自である農家の四男は、長男大事な両親の態度に、未来はないと確信。  家族に隠れて、ステータスにあったスキルの一つ「鑑定」を使い、村のお婆(薬師)相手に、金策を開始。  十歳の時に行われたスキル鑑定の結果を父に伝えたが、農家向きのスキルではなかったルイは「家の役には立たない」と判断され、早々に家を追い出される。   だが、追放ありがとう!とばかりに、生活魔法を知るべく、図書館がある街を目指すことにしたルイ。  最初に訪れた街・ゼントで、冒険者登録を済ませる。だがそのギルドの資料室で、前世の文字である漢字が、この世界の魔法文字だという事実を知ることになる。  この世界の魔法文字を試したルイは、魔法文字の奥深さに気づいてしまった。バレないように慎重に……と行動しているつもりのルイだが、そんな彼に奇妙な称号が増えて行く。  そして、冒険者ギルドのギルドマスターや、魔法具師のバレンと共に過ごすうちに、バレンのお師匠様の危機を知る。  そして彼に会いにいくことになったが、その目的地が、図書館がある魔法都市アルティメットだった。  旅の道中もさることながら、魔法都市についても、色々な人に巻き込まれる運命にあるルイだったが……それを知るのは、まだ先である。 ☆見切り発車のため、後日変更・追記する場合があります。体調が不安定のため、かける時に書くスタイルです。不定期更新。 ☆カクヨム様(吉野 ひな)でも先行投稿しております。

王女の中身は元自衛官だったので、継母に追放されたけど思い通りになりません

きぬがやあきら
恋愛
「妻はお妃様一人とお約束されたそうですが、今でもまだ同じことが言えますか?」 「正直なところ、不安を感じている」 久方ぶりに招かれた故郷、セレンティア城の月光満ちる庭園で、アシュレイは信じ難い光景を目撃するーー 激闘の末、王座に就いたアルダシールと結ばれた、元セレンティア王国の王女アシュレイ。 アラウァリア国では、新政権を勝ち取ったアシュレイを国母と崇めてくれる国民も多い。だが、結婚から2年、未だ後継ぎに恵まれないアルダシールに側室を推す声も上がり始める。そんな頃、弟シュナイゼルから結婚式の招待が舞い込んだ。 第2幕、連載開始しました! お気に入り登録してくださった皆様、ありがとうございます! 心より御礼申し上げます。 以下、1章のあらすじです。 アシュレイは前世の記憶を持つ、セレンティア王国の皇女だった。後ろ盾もなく、継母である王妃に体よく追い出されてしまう。 表向きは外交の駒として、アラウァリア王国へ嫁ぐ形だが、国王は御年50歳で既に18人もの妃を持っている。 常に不遇の扱いを受けて、我慢の限界だったアシュレイは、大胆な計画を企てた。 それは輿入れの道中を、自ら雇った盗賊に襲撃させるもの。 サバイバルの知識もあるし、宝飾品を処分して生き抜けば、残りの人生を自由に謳歌できると踏んでいた。 しかし、輿入れ当日アシュレイを攫い出したのは、アラウァリアの第一王子・アルダシール。 盗賊団と共謀し、晴れて自由の身を望んでいたのに、アルダシールはアシュレイを手放してはくれず……。 アシュレイは自由と幸福を手に入れられるのか?

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

アリエッタ幼女、スラムからの華麗なる転身

にゃんすき
ファンタジー
冒頭からいきなり主人公のアリエッタが大きな男に攫われて、前世の記憶を思い出し、逃げる所から物語が始まります。  姉妹で力を合わせて幸せを掴み取るストーリーになる、予定です。

断罪まであと10分、私は処刑台の上で「ライブ配信」を開始した〜前世インフルエンサーの悪役令嬢、支持率100%でクズ王子を逆処刑する〜

深渡 ケイ
ファンタジー
断罪まで、あと10分。 処刑台の上で跪く悪役令嬢スカーレットは、笑っていた。 なぜなら彼女は―― 前世で“トップインフルエンサー”だったから。 処刑の瞬間、彼女が起動したのは禁忌の精霊石。 空に展開された巨大モニターが、全世界同時ライブ配信を開始する。 タイトルは―― 『断罪なう』。 王子の不貞、聖女の偽善、王家の腐敗。 すべてを“証拠付き・リアルタイム”で暴露する配信に、 国民の「いいね(=精霊力)」が集まり始める。 そして宣言される、前代未聞のルール。 支持率が上がるほど、処刑は不可能になる。 処刑台は舞台へ。 断罪はエンタメへ。 悪役令嬢は、世界をひっくり返す配信者となった。 これは、 処刑されるはずだった悪役令嬢が、 “ライブ配信”で王子と王国を公開処刑する物語。 支持率100%の先に待つのは、復讐か、革命か、 それとも――自由か。

私の息子を“愛人の子の下”にすると言った夫へ──その瞬間、正妻の役目は終わりました

放浪人
恋愛
政略結婚で伯爵家に嫁いだ侯爵令嬢リディアは、愛のない夫婦関係を「正妻の務め」と割り切り、赤字だらけの領地を立て直してきた。帳簿を整え、税の徴収を正し、交易路を広げ、収穫が不安定な年には備蓄を回す――伯爵家の体裁を保ってきたのは、いつも彼女の実務だった。 だがある日、夫オスヴァルドが屋敷に連れ帰ったのは“幼馴染”の女とその息子。 「彼女は可哀想なんだ」 「この子を跡取りにする」 そして人前で、平然と言い放つ。 ――「君の息子は、愛人の子の“下”で学べばいい」 その瞬間、リディアの中で何かが静かに終わった。怒鳴らない。泣かない。微笑みすら崩さない。 「承知しました。では――正妻の役目は終わりましたね」

『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合

鈴白理人
ファンタジー
北の辺境で雨漏りと格闘中のアーサーは、貧乏領主の長男にして未来の次期辺境伯。 国民には【スキルツリー】という加護があるけれど、鑑定料は銀貨五枚。そんな贅沢、うちには無理。 でも最近──猫が雨漏りポイントを教えてくれたり、鳥やミミズとも会話が成立してる気がする。 これってもしかして【動物スキル?】 笑って働く貧乏大家族と一緒に、雨漏り屋敷から始まる、のんびりほのぼの領地改革物語!

処理中です...