拾った仔犬が王子様!? 未来視のせいで男性不信になった伯爵令嬢は獣耳王子に溺愛される・完結

まほりろ

文字の大きさ
5 / 18

5話「かつての婚約者候補との遭遇」

しおりを挟む



こんなのエステリアード公爵令嬢になんて伝えればいいの?

ガラティア侯爵令息は今まで見たどの男よりクズだった。

ガラティア侯爵令息って、エステリアード公爵家に婿入りするんだよね?

婿入りするのにこの態度……ある意味大物だわ。

「どうしましたの?
 もしかして悪い結果が出ましたの?」

私が額に汗を浮かべ何も話さないので、公爵令嬢は心配になったようだ。

「すみません。
 エステリアード公爵令嬢、今一度。
 今一度だけお手を握らせてください」

「ええ、それは構わないわ」

もしかしたらもっと先の未来では、ガラティア侯爵令息も反省してるかもされない。

雨降って地固まるパターンもあるかもしれない。

私は淡い期待を込めて、公爵令嬢の手を握った。


『オリビアに子供ができた!
 君の娘として育ててほしい!』
『なぜ私が愛人の子を育てなくてはいけませんの!
 その子はエステリアード公爵家の血を一滴も引いていませんわ!』
『煩い!
 女は黙って男の言う事を聞いていればいいんだ!』
『暴力は止めて!』


ガラティア侯爵令息がエステリアード公爵令嬢に暴力を振るったところで、私は彼女からパッと手を離した。

ガラティア侯爵令息は結婚しても、何も変わらなかった。

いや、結婚する前より酷くなっていた。

ことはエステリアード公爵家とガラティア侯爵家の縁組に繋がる重大な話だ。

この両家が繋がれば、強固な派閥が出来上がる。

私の一存で彼女の未来について話したくない。

家に持ち帰って両親の判断を仰ぎたい案件だ。

だけど私が何もしなければ、このあとエステリアード公爵令嬢とガラティア侯爵令息の婚約発表がされてしまう。

婚約を発表してしまったら、婚約を破棄するのは容易なことではない。

家の為にエステリアード公爵令嬢に不幸になってほしくない。

彼女の不安そうな瞳を見ていれば分かる。

彼女も婚約や結婚に希望を抱く、私と同い年の女の子なんだって!

「先程から真剣に思い悩んでいるご様子ですが、何が見えましたの?
 もしかして悪い結果ですの?」

エステリアード公爵令嬢が心配そうな顔で尋ねてきた。

「エステリアード公爵令嬢、心して聞いてください!
 実は……」

私は未来視で知ったことを、占いと誤魔化して公爵令嬢に伝えた。

結果を聞いた公爵令嬢は愕然としていた。

「私は少し恋占いが得意な女の子です。
 私の言葉にはなんの信ぴょう性も裏付けもありません。
 ただもし私の言葉を少しでも信じる気持ちがあるのなら、ガラティア侯爵令息の身辺調査をしてください。
 特に彼の女性関係を中心に洗い直してください。
 彼との婚約発表は、それからでも遅くないと思います」

エステリアード公爵令嬢は何も話さなかった。

彼女の体は小刻みに震えていて、彼女が動揺しているのが伝わってきた。

エステリアード公爵令嬢は使用人に、公爵夫人を呼ぶように伝えていた。

これ以上私に出来ることはありそうにない。

「私はこれで失礼します」

私は淑女のお辞儀をして部屋を出た。

私はきっかけを与えたに過ぎない。

あとはエステリアード公爵令嬢と公爵家がどう決断をするかだ。

どうか、彼女の心を傷つけるような判断をしませんように……。

私にはエステリアード公爵令嬢の幸せを祈ることしかできなかった。

◇◇◇

その日、エステリアード公爵令嬢は体調不良を理由にパーティーに戻ることはなかった。

私は遅くまでパーティーに残っていたが、エステリアード公爵令嬢とガラティア侯爵令息の婚約が発表されることはなかった。

一か月後、エステリアード公爵令嬢が隣国への留学を発表。

それ以降、エステリアード公爵家とガラティア侯爵家の縁談の話を聞くことはなくなった。

世間はガラティア侯爵令息が振られたと噂した。

というのも、彼の女癖の悪さが露見したからである。

ガラティア侯爵令息は好みの女性をメイドとして雇い入れてから彼女達に手を出し、離れや別荘に囲っていたらしい。

他家に知られないように、メイドとして一旦雇ってから、別荘などに囲っている辺り、手口がいやらしい。

ガラティア侯爵令息の容姿に惹かれて集まっていた令嬢達は、彼の素行の悪さを知って蜘蛛の子を散らすようにいなくなった。

何にしても、クズ男の毒牙にかかる女性が減ったのは良いことだ。

私はというと、エステリアード公爵令嬢の未来を見てから、男性不信に拍車がかかっている。

お見合いもお茶会もしばらく断っている。

今まで未来予知で見た男性は、浮気はすれど浮気女相手の女性を大切にしていた。

それに暴力は振るわなかった。

ガラティア侯爵令息ほどのクズを見てしまうと……男性というより、人間不信になってしまう。

当分、家族以外の誰とも会いたくないわ。

◇◇◇◇

そんなわけで、私は心身の療養をかねて森林公園を訪れていた。

外を貴族令嬢が一人で出歩くのは危険なので、伯爵家で雇った護衛付きだ。

そこで見知った顔に声をかけられた。

「モンフォート伯爵令嬢。
 覚えていませんか?
 以前あなたとお見合いしたベオウルフです」

「バルトクライ伯爵令息、お久しぶりですね」

思いがけずかつての婚約者候補に遭遇した。

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

英雄の可愛い幼馴染は、彼の真っ黒な本性を知らない

百門一新
恋愛
男の子の恰好で走り回る元気な平民の少女、ティーゼには、見目麗しい完璧な幼馴染がいる。彼は幼少の頃、ティーゼが女の子だと知らず、怪我をしてしまった事で責任を感じている優しすぎる少し年上の幼馴染だ――と、ティーゼ自身はずっと思っていた。 幼馴染が半魔族の王を倒して、英雄として戻って来た。彼が旅に出て戻って来た目的も知らぬまま、ティーゼは心配症な幼馴染離れをしようと考えていたのだが、……ついでとばかりに引き受けた仕事の先で、彼女は、恋に悩む優しい魔王と、ちっとも優しくないその宰相に巻き込まれました。 ※「小説家になろう」「ベリーズカフェ」「ノベマ!」「カクヨム」にも掲載しています。

治療係ですが、公爵令息様がものすごく懐いて困る~私、男装しているだけで、女性です!~

百門一新
恋愛
男装姿で旅をしていたエリザは、長期滞在してしまった異国の王都で【赤い魔法使い(男)】と呼ばれることに。職業は完全に誤解なのだが、そのせいで女性恐怖症の公爵令息の治療係に……!?「待って。私、女なんですけども」しかも公爵令息の騎士様、なぜかものすごい懐いてきて…!? 男装の魔法使い(職業誤解)×女性が大の苦手のはずなのに、ロックオンして攻めに転じたらぐいぐいいく騎士様!? ※小説家になろう様、ベリーズカフェ様、カクヨム様にも掲載しています。

『沈黙の聖女』と呼ばれ蔑まれる私ですが、喋れない代わりに『神々の心の声』が全部聞こえるので、そろそろ神託(と称して暴露)の時間です

白桃
恋愛
言葉を失った聖女候補、アリアンナ。神殿で「役立たず」と虐げられる彼女の唯一の慰めは、神々の(かなり俗っぽい)心の声を聞くことだった。ある日、ライバルにいじめられているところを、真面目な騎士団長ライオスに助けられる。彼もまた、内心ではアリアンナを心配し、惹かれているようで…? 声なき聖女候補と、その心の声(と神々の声)が織りなす、ちょっと不思議で心温まる恋物語が今はじまる。

転生したので推し活をしていたら、推しに溺愛されました。

ラム猫
恋愛
 異世界に転生した|天音《あまね》ことアメリーは、ある日、この世界が前世で熱狂的に遊んでいた乙女ゲームの世界であることに気が付く。  『煌めく騎士と甘い夜』の攻略対象の一人、騎士団長シオン・アルカス。アメリーは、彼の大ファンだった。彼女は喜びで飛び上がり、推し活と称してこっそりと彼に贈り物をするようになる。  しかしその行為は推しの目につき、彼に興味と執着を抱かれるようになったのだった。正体がばれてからは、あろうことか美しい彼の側でお世話係のような役割を担うことになる。  彼女は推しのためならばと奮闘するが、なぜか彼は彼女に甘い言葉を囁いてくるようになり……。 ※この作品は、『小説家になろう』様『カクヨム』様にも投稿しています。

公爵令嬢になった私は、魔法学園の学園長である義兄に溺愛されているようです。

木山楽斗
恋愛
弱小貴族で、平民同然の暮らしをしていたルリアは、両親の死によって、遠縁の公爵家であるフォリシス家に引き取られることになった。位の高い貴族に引き取られることになり、怯えるルリアだったが、フォリシス家の人々はとても良くしてくれ、そんな家族をルリアは深く愛し、尊敬するようになっていた。その中でも、義兄であるリクルド・フォリシスには、特別である。気高く強い彼に、ルリアは強い憧れを抱いていくようになっていたのだ。 時は流れ、ルリアは十六歳になっていた。彼女の暮らす国では、その年で魔法学校に通うようになっている。そこで、ルリアは、兄の学園に通いたいと願っていた。しかし、リクルドはそれを認めてくれないのだ。なんとか理由を聞き、納得したルリアだったが、そこで義妹のレティが口を挟んできた。 「お兄様は、お姉様を共学の学園に通わせたくないだけです!」 「ほう?」 これは、ルリアと義理の家族の物語。 ※基本的に主人公の視点で進みますが、時々視点が変わります。視点が変わる話には、()で誰視点かを記しています。 ※同じ話を別視点でしている場合があります。

7年ぶりに私を嫌う婚約者と目が合ったら自分好みで驚いた

小本手だるふ
恋愛
真実の愛に気づいたと、7年間目も合わせない婚約者の国の第二王子ライトに言われた公爵令嬢アリシア。 7年ぶりに目を合わせたライトはアリシアのどストライクなイケメンだったが、真実の愛に憧れを抱くアリシアはライトのためにと自ら婚約解消を提案するがのだが・・・・・・。 ライトとアリシアとその友人たちのほのぼの恋愛話。 ※よくある話で設定はゆるいです。 誤字脱字色々突っ込みどころがあるかもしれませんが温かい目でご覧ください。

神の子扱いされている優しい義兄に気を遣ってたら、なんか執着されていました

下菊みこと
恋愛
突然通り魔に殺されたと思ったら望んでもないのに記憶を持ったまま転生してしまう主人公。転生したは良いが見目が怪しいと実親に捨てられて、代わりにその怪しい見た目から宗教の教徒を名乗る人たちに拾ってもらう。 そこには自分と同い年で、神の子と崇められる兄がいた。 自分ははっきりと神の子なんかじゃないと拒否したので助かったが、兄は大人たちの期待に応えようと頑張っている。 そんな兄に気を遣っていたら、いつのまにやらかなり溺愛、執着されていたお話。 小説家になろう様でも投稿しています。 勝手ながら、タイトルとあらすじなんか違うなと思ってちょっと変えました。

『異世界転生してカフェを開いたら、庭が王宮より人気になってしまいました』

ヤオサカ
恋愛
申し訳ありません、物語の内容を確認しているため、一部非公開にしています この物語は完結しました。 前世では小さな庭付きカフェを営んでいた主人公。事故により命を落とし、気がつけば異世界の貧しい村に転生していた。 「何もないなら、自分で作ればいいじゃない」 そう言って始めたのは、イングリッシュガーデン風の庭とカフェづくり。花々に囲まれた癒しの空間は次第に評判を呼び、貴族や騎士まで足を運ぶように。 そんな中、無愛想な青年が何度も訪れるようになり――?

処理中です...