1 / 8
1話「体の長いお友達」
しおりを挟む
「おはよう今日も来てくれたのね、ゆで卵で良かったら食べる?」
私の部屋には時折お客さんが来る。
そのお客さんは手足が無くて細長い体をしている。
ゆで卵が大好きでいつもペロリと食べてしまう。
「君はおとなしいね。どこかで飼われているのかな」
一週間に一度来るそのお客さんは私が頭をなでると、嬉しそうに舌を伸ばした。
「お姉さまいつまで遊んでるの!
洗濯や掃除が終わってないでしょ!」
ノックもなしに腹違いの妹のウナが部屋に行ってきた。
「やだ蛇じゃない! 気持ち悪い!」
室内にいた私のお客さんを見てウナが悲鳴を上げる。
「どこから入ってきたのよ!
お姉様さっさと蛇を追い出してよ」
ウナはハンガーやコップなど、その辺にあるものを私のお友達に向かって投げつけた。
「止めてウナ! あの子は私の大事なお客様の!」
花瓶を投げようとしていたウナの腕を掴む。
「蛇さん今のうちに逃げて!」
蛇さんは窓から逃げて行った。
窓を開けておいてよかったわ。
でもこんなことがあったらもう私の部屋に来てくれないかもしれないわね。
蛇さんは私の唯一のお友達だったのに……。
「何を騒いでるんだい騒々しいね!」
騒ぎを聞きつけお義母様が部屋に入ってきた。
「お母様聞いてよ!
お姉様ったら酷いのよ!
いきなり私に掴みかかってきたの!」
ウナが騒ぎ立てる。
「お義母様が違うんです。ウナが私のお友達に酷いことをしようとするから……」
「お姉様のお友達って蛇でしょう?
蛇が友達だなんて気持ち悪い!
蛇なんて餌付けしないでよね!
私が噛まれたらどうするのよ!」
「ウナの言う通りだよ!
蛇なんかと遊んでる暇があったら、さっさと薪割りに風呂掃除、洗濯に食器洗いを済ませな!
それが終わったら夕食の買い物と夕食の支度だよ!」
「はい……お義母様」
ウナは私にあっかんべーをしながら部屋から出て行った。
薪割りに風呂掃除、洗濯に食器洗い、夕食の買い物に夕食の支度、皆の食事が済んだら夕食の片付け。
私はウナやお義母様と一緒に食卓に付くことは許されていない。
いつもキッチンの隅で簡単に食事を済ませている。
仕事を終え食堂を後にする頃には、すっかり日が暮れていた。
部屋の前まできたとき、中から明かりがもれていた。
不審に思いながら扉を開けると、私の部屋にウナがいた。
ウナの手には引き裂かれボロボロになった私のドレスが……!
「ウナ何をしているの!」
私の存在に気づいたウナが振り返る。
「あらお姉様戻ってきていたの?
明日のパーティーで着る私のドレスがちょっと地味なのよね。
フリルやリボンを付けたら素敵だなと思って、お姉様のドレスから拝借していたところよ」
ウナは悪びれもせずに言った。
「このドレスはお母様の形見なのに!」
「たかがドレスでしょう? 大げさに騒がないでよ」
「たかがじゃないわ! お母様との大切な思い出があるの!」
ドレスを返してと迫るがウナがなかなかドレスを離してくれない。
なんとかドレスを取り返すことに成功したが、誤ってウナを突き飛ばしてしまった。
突き飛ばされたウナが床に尻餅をつく。
「何の騒ぎだい!」
そのとき騒ぎを聞きつけてお義母様が部屋に入ってきた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
同時期に投稿した下記の作品もよろしくお願いします!
「魔女のレンタルショップハイル~助けた蛇は魔女様の眷属でした。えっ? 私をいじめていた家族に復讐してくれるんですか?」異世界恋愛もの
【BL】「ラピスラズリ荘の同居人~寮の管理人さんに恋しちゃいました」ボーイズロマンス
「レンタル彼女を頼んだら、待ち合わせ場所に義妹が来たんだが!?」現代ラブコメ
「今日から私は好きに生きます! 殿下、美しくなった私を見て婚約破棄したことを後悔しても遅いですよ!」
「幼馴染を敬愛する婚約者様、そんなに幼馴染を優先したいならお好きにどうぞ。ただし私との婚約を解消してからにして下さいね」
「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」
→タイトル変更「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」
「侯爵令息は婚約破棄されてもアホのままでした」
全作品最終話まで予約投稿済みです。よろしくお願いします。
私の部屋には時折お客さんが来る。
そのお客さんは手足が無くて細長い体をしている。
ゆで卵が大好きでいつもペロリと食べてしまう。
「君はおとなしいね。どこかで飼われているのかな」
一週間に一度来るそのお客さんは私が頭をなでると、嬉しそうに舌を伸ばした。
「お姉さまいつまで遊んでるの!
洗濯や掃除が終わってないでしょ!」
ノックもなしに腹違いの妹のウナが部屋に行ってきた。
「やだ蛇じゃない! 気持ち悪い!」
室内にいた私のお客さんを見てウナが悲鳴を上げる。
「どこから入ってきたのよ!
お姉様さっさと蛇を追い出してよ」
ウナはハンガーやコップなど、その辺にあるものを私のお友達に向かって投げつけた。
「止めてウナ! あの子は私の大事なお客様の!」
花瓶を投げようとしていたウナの腕を掴む。
「蛇さん今のうちに逃げて!」
蛇さんは窓から逃げて行った。
窓を開けておいてよかったわ。
でもこんなことがあったらもう私の部屋に来てくれないかもしれないわね。
蛇さんは私の唯一のお友達だったのに……。
「何を騒いでるんだい騒々しいね!」
騒ぎを聞きつけお義母様が部屋に入ってきた。
「お母様聞いてよ!
お姉様ったら酷いのよ!
いきなり私に掴みかかってきたの!」
ウナが騒ぎ立てる。
「お義母様が違うんです。ウナが私のお友達に酷いことをしようとするから……」
「お姉様のお友達って蛇でしょう?
蛇が友達だなんて気持ち悪い!
蛇なんて餌付けしないでよね!
私が噛まれたらどうするのよ!」
「ウナの言う通りだよ!
蛇なんかと遊んでる暇があったら、さっさと薪割りに風呂掃除、洗濯に食器洗いを済ませな!
それが終わったら夕食の買い物と夕食の支度だよ!」
「はい……お義母様」
ウナは私にあっかんべーをしながら部屋から出て行った。
薪割りに風呂掃除、洗濯に食器洗い、夕食の買い物に夕食の支度、皆の食事が済んだら夕食の片付け。
私はウナやお義母様と一緒に食卓に付くことは許されていない。
いつもキッチンの隅で簡単に食事を済ませている。
仕事を終え食堂を後にする頃には、すっかり日が暮れていた。
部屋の前まできたとき、中から明かりがもれていた。
不審に思いながら扉を開けると、私の部屋にウナがいた。
ウナの手には引き裂かれボロボロになった私のドレスが……!
「ウナ何をしているの!」
私の存在に気づいたウナが振り返る。
「あらお姉様戻ってきていたの?
明日のパーティーで着る私のドレスがちょっと地味なのよね。
フリルやリボンを付けたら素敵だなと思って、お姉様のドレスから拝借していたところよ」
ウナは悪びれもせずに言った。
「このドレスはお母様の形見なのに!」
「たかがドレスでしょう? 大げさに騒がないでよ」
「たかがじゃないわ! お母様との大切な思い出があるの!」
ドレスを返してと迫るがウナがなかなかドレスを離してくれない。
なんとかドレスを取り返すことに成功したが、誤ってウナを突き飛ばしてしまった。
突き飛ばされたウナが床に尻餅をつく。
「何の騒ぎだい!」
そのとき騒ぎを聞きつけてお義母様が部屋に入ってきた。
☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆☆
同時期に投稿した下記の作品もよろしくお願いします!
「魔女のレンタルショップハイル~助けた蛇は魔女様の眷属でした。えっ? 私をいじめていた家族に復讐してくれるんですか?」異世界恋愛もの
【BL】「ラピスラズリ荘の同居人~寮の管理人さんに恋しちゃいました」ボーイズロマンス
「レンタル彼女を頼んだら、待ち合わせ場所に義妹が来たんだが!?」現代ラブコメ
「今日から私は好きに生きます! 殿下、美しくなった私を見て婚約破棄したことを後悔しても遅いですよ!」
「幼馴染を敬愛する婚約者様、そんなに幼馴染を優先したいならお好きにどうぞ。ただし私との婚約を解消してからにして下さいね」
「父に殺されタイムリープしたので『お父様は悪くないの!お父様は愛する人と一緒になりたくてお母様の食事に毒をもっただけなの!』と叫んでみた」
→タイトル変更「父に毒殺され母の葬儀までタイムリープしたので、親戚の集まる前で父にやり返してやった」
「侯爵令息は婚約破棄されてもアホのままでした」
全作品最終話まで予約投稿済みです。よろしくお願いします。
15
あなたにおすすめの小説
身代わり令嬢、恋した公爵に真実を伝えて去ろうとしたら、絡めとられる(ごめんなさぁぁぁぁい!あなたの本当の婚約者は、私の姉です)
柳葉うら
恋愛
(ごめんなさぁぁぁぁい!)
辺境伯令嬢のウィルマは心の中で土下座した。
結婚が嫌で家出した姉の身代わりをして、誰もが羨むような素敵な公爵様の婚約者として会ったのだが、公爵あまりにも良い人すぎて、申し訳なくて仕方がないのだ。
正直者で面食いな身代わり令嬢と、そんな令嬢のことが実は昔から好きだった策士なヒーローがドタバタとするお話です。
さくっと読んでいただけるかと思います。
悪役令嬢、記憶をなくして辺境でカフェを開きます〜お忍びで通ってくる元婚約者の王子様、私はあなたのことなど知りません〜
咲月ねむと
恋愛
王子の婚約者だった公爵令嬢セレスティーナは、断罪イベントの最中、興奮のあまり階段から転げ落ち、頭を打ってしまう。目覚めた彼女は、なんと「悪役令嬢として生きてきた数年間」の記憶をすっぽりと失い、動物を愛する心優しくおっとりした本来の性格に戻っていた。
もはや王宮に居場所はないと、自ら婚約破棄を申し出て辺境の領地へ。そこで動物たちに異常に好かれる体質を活かし、もふもふの聖獣たちが集まるカフェを開店し、穏やかな日々を送り始める。
一方、セレスティーナの豹変ぶりが気になって仕方ない元婚約者の王子・アルフレッドは、身分を隠してお忍びでカフェを訪れる。別人になったかのような彼女に戸惑いながらも、次第に本当の彼女に惹かれていくが、セレスティーナは彼のことを全く覚えておらず…?
※これはかなり人を選ぶ作品です。
感想欄にもある通り、私自身も再度読み返してみて、皆様のおっしゃる通りもう少しプロットをしっかりしてればと。
それでも大丈夫って方は、ぜひ。
白い結婚に、猶予を。――冷徹公爵と選び続ける夫婦の話
鷹 綾
恋愛
婚約者である王子から「有能すぎる」と切り捨てられた令嬢エテルナ。
彼女が選んだ新たな居場所は、冷徹と噂される公爵セーブルとの白い結婚だった。
干渉しない。触れない。期待しない。
それは、互いを守るための合理的な選択だったはずなのに――
静かな日常の中で、二人は少しずつ「選び続けている関係」へと変わっていく。
越えない一線に名前を付け、それを“猶予”と呼ぶ二人。
壊すより、急ぐより、今日も隣にいることを選ぶ。
これは、激情ではなく、
確かな意思で育つ夫婦の物語。
追放された悪役令嬢はシングルマザー
ララ
恋愛
神様の手違いで死んでしまった主人公。第二の人生を幸せに生きてほしいと言われ転生するも何と転生先は悪役令嬢。
断罪回避に奮闘するも失敗。
国外追放先で国王の子を孕んでいることに気がつく。
この子は私の子よ!守ってみせるわ。
1人、子を育てる決心をする。
そんな彼女を暖かく見守る人たち。彼女を愛するもの。
さまざまな思惑が蠢く中彼女の掴み取る未来はいかに‥‥
ーーーー
完結確約 9話完結です。
短編のくくりですが10000字ちょっとで少し短いです。
「醜い」と婚約破棄された銀鱗の令嬢、氷の悪竜辺境伯に嫁いだら、呪いを癒やす聖女として溺愛されました
黒崎隼人
恋愛
「醜い銀の鱗を持つ呪われた女など、王妃にはふさわしくない!」
衆人環視の夜会で、婚約者の王太子にそう罵られ、アナベルは捨てられた。
実家である公爵家からも疎まれ、孤独に生きてきた彼女に下されたのは、「氷の悪竜」と恐れられる辺境伯・レオニールのもとへ嫁げという非情な王命だった。
彼の体に触れた者は黒い呪いに蝕まれ、死に至るという。それは事実上の死刑宣告。
全てを諦め、死に場所を求めて辺境の地へと赴いたアナベルだったが、そこで待っていたのは冷徹な魔王――ではなく、不器用で誠実な、ひとりの青年だった。
さらに、アナベルが忌み嫌っていた「銀の鱗」には、レオニールの呪いを癒やす聖なる力が秘められていて……?
【完結】姉は聖女? ええ、でも私は白魔導士なので支援するぐらいしか取り柄がありません。
猫屋敷 むぎ
ファンタジー
誰もが憧れる勇者と最強の騎士が恋したのは聖女。それは私ではなく、姉でした。
復活した魔王に侯爵領を奪われ没落した私たち姉妹。そして、誰からも愛される姉アリシアは神の祝福を受け聖女となり、私セレナは支援魔法しか取り柄のない白魔導士のまま。
やがてヴァルミエール国王の王命により結成された勇者パーティは、
勇者、騎士、聖女、エルフの弓使い――そして“おまけ”の私。
過去の恋、未来の恋、政略婚に揺れ動く姉を見つめながら、ようやく私の役割を自覚し始めた頃――。
魔王城へと北上する魔王討伐軍と共に歩む勇者パーティは、
四人の魔将との邂逅、秘められた真実、そしてそれぞれの試練を迎え――。
輝く三人の恋と友情を“すぐ隣で見つめるだけ”の「聖女の妹」でしかなかった私。
けれど魔王討伐の旅路の中で、“仲間を支えるとは何か”に気付き、
やがて――“本当の自分”を見つけていく――。
そんな、ちょっぴり切ない恋と友情と姉妹愛、そして私の成長の物語です。
※本作の章構成:
第一章:アカデミー&聖女覚醒編
第二章:勇者パーティ結成&魔王討伐軍北上編
第三章:帰郷&魔将・魔王決戦編
※「小説家になろう」にも掲載(異世界転生・恋愛12位)
※ アルファポリス完結ファンタジー8位。応援ありがとうございます。
『生きた骨董品』と婚約破棄されたので、世界最高の魔導ドレスでざまぁします。私を捨てた元婚約者が後悔しても、隣には天才公爵様がいますので!
aozora
恋愛
『時代遅れの飾り人形』――。
そう罵られ、公衆の面前でエリート婚約者に婚約を破棄された子爵令嬢セラフィナ。家からも見放され、全てを失った彼女には、しかし誰にも知られていない秘密の顔があった。
それは、世界の常識すら書き換える、禁断の魔導技術《エーテル織演算》を操る天才技術者としての顔。
淑女の仮面を捨て、一人の職人として再起を誓った彼女の前に現れたのは、革新派を率いる『冷徹公爵』セバスチャン。彼は、誰もが気づかなかった彼女の才能にいち早く価値を見出し、その最大の理解者となる。
古いしがらみが支配する王都で、二人は小さなアトリエから、やがて王国の流行と常識を覆す壮大な革命を巻き起こしていく。
知性と技術だけを武器に、彼女を奈落に突き落とした者たちへ、最も華麗で痛快な復讐を果たすことはできるのか。
これは、絶望の淵から這い上がった天才令嬢が、運命のパートナーと共に自らの手で輝かしい未来を掴む、愛と革命の物語。
悪役令嬢と言われ冤罪で追放されたけど、実力でざまぁしてしまった。
三谷朱花
恋愛
レナ・フルサールは元公爵令嬢。何もしていないはずなのに、気が付けば悪役令嬢と呼ばれ、公爵家を追放されるはめに。それまで高スペックと魔力の強さから王太子妃として望まれたはずなのに、スペックも低い魔力もほとんどないマリアンヌ・ゴッセ男爵令嬢が、王太子妃になることに。
何度も断罪を回避しようとしたのに!
では、こんな国など出ていきます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる