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一章

2話「空を飛ぶ……」

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「おじさんごめん、父ちゃんが迷惑かけて」

日が傾いた頃、ようやくネフくんが家に帰ってきた。

ネフくんにケンちゃんの介抱を任せ、俺は家路につく。

「あ、そうだこれ。ネフくんに」

僕は木彫りの鳥をネフくんにプレゼントした。

「えっ! いいの?! 貰っても!?」

「先月、誕生日だっただろ?」

「ありがとう、おじさん!
 かっこいいな!
 今にも飛び立ちそうだね!
 おれもいつか人間が乗れるほどの大きな鳥を掴まえて、空を飛んでみたいな!」



【上手に作るのね、本物みたい。
 今にも空に飛んで行きそう。
 ねぇ知ってる?
 私の世界では羽がなくても乗り物に乗れば空を自由に飛べたのよ。
 その乗り物の名前はね……】 



「おじさんどうしたの?
 泣きそうな顔をしてるよ?」

「いや、なんでもないよ。
 日が完全に落ちる前に家に帰るよ」

「うん、バイバイ!
 またね!」

村を出て山道を急ぐ。

背中に背負った食料の入った袋は重いが、行きに入っていた木彫りの置物ほどではない。

日はどんどんと傾いていく。

ふと空を見上げれば烏が群れをなして、飛んでいた。

烏を見ると、烏の濡れ羽色の髪をしたあの人を思い出す。

【ねぇ知ってる?
 私の世界では羽がなくても乗り物に乗れば空を自由に飛べたのよ。
 その乗り物の名前はね……】

「飛行機……何百人もの人を乗せて、山を越え海を越え人や荷物を運ぶ魔法の乗り物」







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「夫婦にはなれないけど、家族にはなれると思っていた」
https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/233694097


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「私が彼から離れた七つの理由」 https://www.alphapolis.co.jp/novel/749914798/37699061



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