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血濡れの恋人
しおりを挟む一人目は、グループ内では底辺の男だったがそれ故に狡猾な奴だった。此奴は拉致し監禁しただけで恐怖に慄き命乞いをした。芯のないふにゃふにゃした男だ。見ていて気分が悪いので心臓を一突きして殺した。ぱくぱくと口を開閉する様は魚のようだった。
二人目は片岡 翼。この男は、所謂実行役だ。グループのリーダーが命令するとすぐに実行に移す。リーダーに逆らえず少しばかりの罪悪感を抱いていたようだがそんなことで罪が軽くなると思うなよ。此奴には薬を持った。苦しそうに悶える様は滑稽だった。
三人目は足立 香奈。この女も実行役。こちらは罪悪感などかけらもなく、楽しんでいたようだ。此奴は拉致し体を拘束した上で、浴槽に放置した。蛇口から絶えず水が出続けているため身体は冷えていく。溺れないよう必死に身を捩っていたが、結局は体温を奪われ体力が無くなり溺死した。頭を掴んで何度も溺死寸前まで苦しみを与えたんだ。お前にはお似合いの最期だろう。
四人目は高津 寧音。リーダーの彼女だからか態度が女王のような女だ。本当に血の通った人間かと疑うような外道極まりないことを平気で思いつく。此奴にも同じ目にあってもらおう。人気のない夜道を歩く此奴を茂みに引き摺り込む。服を破き、無理矢理事に及んだ。その最中、首を絞めて殺した。苦しそうな顔は醜く見ていられなかった。
これで最後。日吉 勇輝。奴は外面が異常に良く頭が回る。連日の殺人事件に、次は自分であると気付いたようだ。怯え、苛立ち、ヒステリックになる様は滑稽であった。俺は高津から盗んだ鍵で日吉の家に忍び込んだ。何も知らずに帰ってきた日吉がソファーに座って寛いでいたところに、スタンガンで気を失わせた。
「だ、誰だ、お前は?!」
目覚めた日吉は俺の姿を認めて声を上げた。犬の面を被った俺が誰だか知る由もないだろう。日吉は今、首輪を着け、全裸で簡素な犬小屋に押し込められている。首輪からは鎖が繋がれており、逃げようともがくも首輪が食い込み逃げることができない。
俺は面を取った。日吉は俺をじっと見つめて、あっ、と声を上げた。
「お、お前、あいつの幼馴染か?!」
「いいや、恋人だよ」
日吉は顔を青くさせた。この連続殺人の意図が分かったのだろう。土下座し、必死に謝り始めた。
「わ、悪かった!悪かったよ!あそこまで追い詰めるつもりじゃなかったんだ!」
「ならばどういうつもりだったんだ?愛海が苦しむのを見て笑っていただろう?」
「そ、それは……っ!」
「もういい。これで全て終わる」
未だに弁解しようとする日吉の首をナイフで切り裂いた。血飛沫が上がり、辺り一面真っ赤に染まる。これでやっと、やっと成し遂げた!これで、ようやく……。
体を真っ赤に染めて、笑みを浮かべる男。大好きな恋人、陽一。彼を殺人鬼にしたのは私だ。
私は5人からいじめを受けていた。物を隠したり無視されるのはまだいい方で、トイレの手洗い場で頭を押さえられて溺死しそうになったり、上履きに画鋲が入っていたこともあった。命の危険を感じていた時、私は瀬尾と片岡に襲われた。身体が汚されて、それを他の3人に笑われて。もう陽一には会えないと思った。こんな身体で、陽一には会えない。私は屋上から身を投げた。ごめんね、陽一。そう思いながら。
気付いた時には、校庭にいた。目の前には死んだ私が倒れていた。お世辞にも綺麗とは言えない死に様に、私は目を背けた。これから、どうしよう。死んだ後のことは何にも分からなかった。途方に暮れていた私は、自然と陽一を探していた。一緒にいるだけで心安らぐ、唯一の居場所。死んでも尚私は居場所を求めて陽一を探した。
陽一はすぐに見つかった。私の死体を前に人集りができており、何の集まりかと陽一は近付いて私の死体を見てしまった。陽一はすぐに帰路を目指した。涙を隠すように俯きながら。
陽一の悲しみは怒りに変わっていった。私がいじめのことを相談していたから、あの5人に怒っているのだろう。陽一はこっそりと情報収集を始めた。念入りに策を練って、ついに成し遂げてしまった。
ごめんね、陽一。そんなつもりじゃなかったの。あなたにこんなことさせたくなかった。私は泣きながら、血で汚れた陽一を抱きしめる。けれど身体はすり抜けてしまった。もうこの身体では陽一を抱きしめることもできない。大声で泣きながら、胸にナイフを突き刺す陽一を見ていた。
Fin.
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黒輝やまとさん
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