上 下
24 / 33

村の英雄

しおりを挟む

 ある村に英雄がいた。英雄は、村を襲おうとする獣を追い払い、村に平和をもたらしていた。村の者は英雄を尊敬し、慕っていた。

「最近、奴らの動きが静かですね」

 村の者が言った。

「確かに、そうだな。少し、様子を見に行ってくる」

 英雄が立ち上がると、村の者は慌てて止めた。

「あの悪魔どもの巣窟に貴方自ら出向くなんて、危険です!」
「そうですよ!我々にお任せください!」

 彼らの制止を振り切り、英雄は村を出て行った。





 英雄が村を出て、変装をする。奴らにバレないように忍び込み、調査を始めた。そこで気付いたことがあった。奴らは住処の警備を厳重にしていた。それは何故か。英雄にとって恐るべき事実がそこにあった。

「魔王の誕生だ……」

 英雄は恐怖のあまり呟く。目の前には腹の膨れた悪魔が横たわっていた。その腹には魔王を宿している。我々を苦しめる存在が生まれようとしている。英雄は考えるよりも先に身体が動いていた。





「なんてことだ……!」

 王は膝から崩れ落ちた。誰か嘘だと言ってくれ。王は先程兵士からの報告を思い出していた。

「王様!大変です!」
「慌ててどうしたんじゃ?」

 顔を青くした兵士は王様に伝えた。

「魔王が現れ、勇者が殺されてしまいました……」

Fin.
しおりを挟む

処理中です...