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未知の声
しおりを挟むテレビを見ていた時だった。とてつもなく大きな声が聞こえた。それは獣のような、形容しがたい声だった。声の主は大量の空気を吸い、吐き出しているようだ。お気に入りの道具がそいつの息に煽られてコロコロと転がる。この場所は安全だと思っていたのに、これは一体どういうことだ。ここは安全ではないのか?俺は使用人を呼ぶが、返事はない。
再び、あの大きなおぞましい声が聞こえた。何なんだこれは。恐怖が胸をせり上がって来る。いつもは呼べばすぐに来る使用人が来ないことも恐怖を増幅させた。俺は恐怖をかき消すように叫ぶ。誰かに届くように何度も何度も何度も。すると、声が届いたのか使用人がやって来た。その手には不思議なものを持っていた。あれは何だろう。俺が見つめていると、それは大きな音を立てて動き出した。そうか、声の主は此奴だったのか。正体が分かったものの、得体の知れないものには変わりない。俺は声を上げる。そうだ。俺の方が大きい声だ。決して怖くはない。怖くなんてないんだ。
掃除を終えた女がリビングのソファーに腰かける。女は隣の男に笑みを浮かべて話しかけた。
「ねえあなた、この子ったら掃除機をかけると大声を出すのよ」
Fin.
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