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私が本当の妹なのに!!
「ここが聖騎士教会……。兄様のいるところですか」
ステラが聖女に就任する演説が行われる当日、シドの妹であるミラはマッセ教会から馬車に乗ってやって来た。
家に居ては見ることもない鎧が立ち並び、鎧が動いてるのを見て驚きつつも兄であるシドを探す。
「兄様、どこですか?」
キョロキョロしながら教会の敷地内を探していくとそれらしき人物を発見した。
「兄様ー!! 兄様ー……は!?」
「シド様は私のことをどう思われているんですか?」
「そうだな。大きな力を持ってしまった妹みたいな感じかな」
声をかけようとすると自分と年恰好の同じような金髪のシスターを兄のシドが妹と呼んでおり、ミラは驚愕する。
「私が本当の妹なのに!! なんですかあの人は!?」
本来妹の自分がいるべきはずのポジションが謎の女に占領されており、酷い理不尽を感じる。
こんなことは許されていいことではない。
「私が本物の妹です! あなたは妹じゃありません!!」
────
「反動もいいな」
『私でもこれなら使えそうです』
演説前にガンダインの協力を得ようとステラと共に工房を訪れると改良された銃を試射するように言われ、現在使い心地を確かめていた。
VRのFPSの銃と比べても使い心地は遜色ない。
銃の歴史には聡くないのではっきりしたことは言えないが今使っている改良銃──マシンガンは百年単位で開発を進めないと辿り着けなさそうな感じだというのにほぼ一週間で作り上げてしまった。
やはりというか技術力がやばいなここは。
ロボットものの研究所や開発の技術力が凄まじいことは割と鉄板であるがそれを踏まえても凄まじく感じる。
『次は弾帯で撃つデカいやつと一緒に量産化して一個小隊分の分のそいつ作ってやる。楽しみに待っとけ』
これだけ作っても銃の開発に対する意欲は衰えていないようでガンダインがそう言ってくる。
頼もしいなこのおっさん。
まあ銃開発が進むことはいいことだが今日の本題は別にあるのでそろそろそちらを切り出すか。
「ガンダイン様ありがとうございます。実は今日来たのは銃の開発の様子を見に来ただけではなくて協力をしてもらいたいことがあったからなんです」
『うん。なんだふざけたことじゃねえのなら話してみろ』
「壊れたままになったホワイトフラッシュを貸してもらいたいんです」
『あれか。別にかまやしねえが壊れて使えねえのに何に使うつもりだ?』
「今日ステラが聖女になるための演説に使うつもりなんです」
『このスクラップをか? こんな撃墜された敗北の象徴を会場に置いたら逆効果だと思うぞ』
「いえオブジェじゃなくて無機物を再生できるステラの力をアピールするのに使おうと思ってるんです」
『無機物を再生だと? にわかに信じられねえ。俺が知ってる限りそんなことができるのは一人しかいねえ』
一人いるって誰だ。
鎧回復できるって言えばステラ以外は100年前の伝説に出て来る聖女くらいのはずだが。
ああガンダインは長命種のドワーフだから100年前も普通に生きており、知り合っている可能性があるのか。
まあその聖女も100年前の時点で前魔王を封印した時点で死んでいるという話なので特に意味のない情報だが。
とりあえず納得いっていないようだし、論より証拠で実際に見てもらうか。
「実際に見てもらった方が早いか。ステラ、あそこにあるアイアンゴーレムの破片に力を使ってくれるか」
「はい」
実際に目の前で欠片からアイアンゴーレムを再生させるととガンダインの乗っている鎧の手から鍛治用ハンマーが抜け落ちた。
『……世代交代か。エリス様もしょっぺえな。おい小娘、大した負担じゃねえだろ。他のも再生させてくれ。素材は多いに越したことはねえからな。壊れた鎧は好きに持っていて構わねえ』
『わかりました。ガンダイン様、ありがとうございます』
抜け落ちたハンマーを持つとガンダインが鍛治仕事に戻っていく。
どことなく歩く姿が哀愁を帯びているように見えるな。
エルフとか寿命が長い種族だと気づいたら相対的に寿命の短い人族とかの種族が死んでたとかありがちな上、ガンダインは基本的に工房に籠ってるから新しい聖女のステラを認知した今のでやっと100年前に死んでた前代聖女の死を認知したってところか。
「終わりました」
長命種ゆえの悲しみついて考えていると一瞬で直したようでステラがそう報告してきた。
今までのように一つずつ個々に回復させたにしては早すぎるので、神鎧を解放して技が増えた時に獲得した「範囲回復」を使ったのだろう。
「天使召喚」で召喚した天使に壊れた鎧──ホワイトフラッシュを持たせており、準備万端なのでいくことにするか。
あとは外に置いてある神鎧サンクトゥスを回収して会場に持っていけば演説の下準備は完了だ。
「私を知って喜ぶ人もいれば悲しむ人もいます……。シド様は私のことをどう思われているのですか?」
外に出るとステラはそう尋ねて来た。
聖女の力使って喜ばれてたのに今回は悲しまれて、割とダメージを受けたのかもしれない。
いきなり重い質問きたな。
変に寄り添うと依存性の高いメンヘラを養殖する羽目になりそうだし、無難になんとも言えない返答をしておくか。
「そうだな。大きな力を持ってしまった妹みたいな感じかな」
ステラは好意的に受け取ったのか、妹扱いされて気恥ずかしかったのか頬を赤くすると聞き慣れた声が耳朶を打つ。
「私が本物の妹です! あなたは妹じゃありません!!」
「ミラ!?」
声の先を見ると実家にいるはずの妹がずんずんとこちらに近づいてくるのが見えた。
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