エロゲの豚野郎に転生してなるべく怒りを買わないようにしたらヒロインたちの好感度がカンストした

竜頭蛇

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増える教会アンチ

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 損壊した精霊鎧を同属性の魔法を浴びると回復するという精霊鎧の性質を使い、普通ならば一週間かかるところ近衛騎士総員で魔法をかけ続け3日に短縮すると、長距離兵器──救聖砲を破壊する準備が整った。

「もうすでにデストン侯爵の手によって王都から外への通信は寸断してあります。これで報復に動く魔族の動きを抑えているラウンズがこちらに戻ってくることはありません。私たちが王都各地で教会の建物を襲撃し騒ぎを起こします。教会本部から聖騎士が出払って手薄になった教会本部をイクスとローゼリンデの少数精鋭で急襲して救聖砲を破壊しなさい」

「わかった。おそらくスランと互角に戦った敵──聖騎士長が一人残るはずだが救世主と聖女二人がかりでなかおつ俺の『黒鉄』があれば勝算は高い。早く奴を地獄に送ってあの長距離兵器を葬り去る」

「お任せ下さい。この命にかけて人々に牙を向く大量破壊兵器を壊して見せます」

「我々スラン様親衛隊も亡きスラン様の為にもお力添えします!」

 シアの作戦説明にイクスとローゼリンデが返事をすると、モブ娘ことメイベルを筆頭した豚野郎親衛隊が姿を現した。
 スラン様親衛隊と名乗る彼女らがどうして事態を知ってここに馳せ参じているのかシアにはわからなかった。

「すまない。自らの長が死んだのにそれを知らぬのはあまりにもと思い、こいつらにスランの死を伝えたら『仇討ちをしたい』と騒ぎ始めて連れてきてしまった」

 シアが彼女らのことについて疑問に思っていると親衛隊の構成員をかき分けてリリアンが出てきて説明する。
 信用のおけるリリアンと亡きスランの知り合いであり、仇討ちという戦うべき理由あるため士気も高く、何よりもこれからの教会との総力戦を考えれば戦える人員が多ければ多いほどいい。
 要素を加味して吟味するとシアは彼らを同志として迎え入れることを決めた。

「いえ、何も負い目に思うことはありません。私たちはこれから教会と事を構えるのです。人は多ければ多いほどいいでしょう。親衛隊も教会の建物の襲撃に参加し、私の手足となって動きなさい」

「「「かしこまりました!」」」

「あの私たちもいいですか」

「あなたたち。ついて来ていたのですか……」

 親衛隊たちの参加が決定すると、エーデたち──ヒロインたちが現れた。

「ええ、あの後私たちも塞ぎ込んでても駄目だと思って。急いでこっちに来たんです」

 理由を説明する彼女たちの顔を見て悲哀だけではなく確かな覚悟を感じたシアは彼女たちの参加も認めることにした。
 人手が必要なこともあるが、各々が武芸に秀でた有力貴族の親族であり本人たちの他にも強力な追加戦力が期待できたからだ。
 若干自分達と同じ悲しみの元、動こうとしている彼女たちに絆されていることも少しあるが。

「いいでしょう。作戦中は私とともに行動なさい」

「「「わかりました!」」」

 シアは追加で来た人間に役割を振っていくと、協力を申し出て作戦ミーティングに村の一画を貸してくれた村長に感謝の言葉を伝えるために村長の元に向かう。

「村長、ご協力感謝します。私たち村に招き入れていただいて」

「姫様、感謝されることはありません。わしらは武器も何も持たないというのに急襲してきた魔族の鎧から身を挺して守ってくださったスラン様の信じたお方の役に立ちたいのだけなのですから」

「スラン様にまた助けられたようですね。全てが終わった暁には像でも建ててあげた方がいいかもしれません」

「ほほほ、その時は是非ともわしらの村においてくだされ」

 村長の言葉からスランの生きた間に起こした影響の大きさを感じ、自分とどちらが真の王に相応しい人間だったのだろうと、もしかしたら彼こそが求めた真の王だったのかもしれないと今さら思い苦笑するとシアは全員の元に戻りついに作戦開始の合図をした。

「各々作戦行動に移りなさい! 巨悪の象徴を打ち倒す時が今訪れました!」

「「「「は!」」」」

 志を同じくしたものが散り、各々の目的を果たすために動き出した。


 ──

 各地で教会施設の襲撃が行われ、聖騎士が本部から大量に放出されたことを確認するとイクスとローゼリンデは教会にある長距離兵器──救聖砲の破壊に向かう。

『王都外の聖騎士と連絡は取れない上、王都の各地で教会施設が襲撃されて大変な事態になってしまってね。今本部は私一人に任されてしまっているんだよ。元救世主と元聖女の君たちは何か知っているかね?』

 聖騎士舎を抜け、極光の発生位置から救聖砲があると目される大聖堂にたどり着くと憎悪を隠しもしない憎々しげなファラスの声とともに、教会の量産型鎧『白影』がイクスとローゼリンデの前に姿を現した。


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