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間抜けな豚野郎共! 俺が今日からお前らの指揮官になったガイア様だ!
しおりを挟む無駄にキラキラしたシャンデリアが窓から入っる日の光を反射し、卓に置かれたティーカップの湖面に艶を生じさせる。
俺はその湖面を揺らして、一服口に含むと、対面に座しているセミロングの金髪にカチューシャを付けたイケメンを見つめつつ、隣に立っている長髪ブロンド美人メイドを凝視する。
「まさか、あのアニムゾン様と偶然とはいえ会えるとは、とんだ幸運もあったものですね。コロシアムで、対戦相手の心臓を破壊してから再生し、見事呪いを解除したという武勇伝はかねがね聞かせて頂いています」
誰だよ、適当なこと言ってるヤツ……。
俺が絶対心臓破壊するマンになってんじゃねえか。
とんだ風評被害だよ。
訂正したいな。でもこのイケメン、この土地を取り仕切る貴族なんだよなあ。
下手に否定入れると何やってくるかわかったもんじゃない。
基本貴族て、下々の者に容赦ないからな。
「いえいえ、そんな自分のようなものに敬語など不要です。崩した口調で十分ですよ」
「いえ、これからものを頼むというのに、そんなぞんざいな口調は使えませんよ」
イケメンは笑顔で不穏な言葉をつぶやいた。
表情と言っていることのギャップが凄くて、聞き間違いではないかと疑いたくなってくる。
「え、ものを頼む……?」
「ええ、今からここに敵国の将が攻め入って来るので、是非ともアニムゾンさんにも協力して頂きたくて……。なに、そんなに長期ではないんです。私の服のクリーニングにかかる時間くらいですよ」
このイケメン性格悪いな。
さらっと、おれが奴の服を血染めにしたことを引き合いに出してきた。
この口ぶりからすると断ったら、服弁償とか言って、べらぼうな額要求されたあげく、奴隷落としもありえるな。
この玉のようなニートボディにプリミティブな奴隷紋を入れられるのは勘弁だ。
「そうですか。僕もそちらには服を汚すことでご迷惑をかけているので、その報いとしてありがたく受けさせていただきましょう。ただし――」
「ただし?」
「僕はさきのアダルマンティーとの戦いで疲弊しているので、妹と2代目アダルマンティーが対処に回ることになります」
俺がそうイケメンに進言すると、サイドの畜生ピンクと自分のことをプリンセンスだと思っている精神異常者が同時に動いた。
「ヘルメス様。アニムゾンの言うことは間に受けないでください。こいつは冗談が大好きなフレンズなんです」
「まったく、あんたたら面白いんだから~」
クリムゾンは俺の顎を掴み、アダルマンティーは気色悪い口調で抱きつくふりをして、体を締め上げる。
「そうですか、冗談ですか。では早速ですが、ゼウス将軍が国境間近まで近づいているので最前線まで案内させていただきたいと思います」
冗談じゃないよ。俺のサイドをよく見てくれよ。
てか、相手ゼウスちゃんか。
嫌な予感しかしねえ。
―|―|―
そんなこんなで俺はエウゲン山とかいう山の近くにある、イースバルツとノースクラメルの国境付近の村ペイルズに向かった。
目のまえに広がる景色が茜色だということから考えると、あそこから国境付近まで半日で辿り着いたのだろう。
あの土地に辿り着いたのを一か月かかったことを思い出すと前回はかなり遠回りなルートを使っていたらしい。
少しげんなりするが、俺はイケメンから最前線の兵たちに舐められないように、威厳を示すような自己紹介をしろと言われたので、気合を入れる。
あらかじめ、新たな指揮官が来ると連絡が入れていたのだろう。
壇の前には、ガチムチの雄臭い兵士たちの大群が集まっている。
俺は壇の上に上がり、中央までゆっくりとした足取りで歩く。
兵士の視線がこちらに集まっているのを確認し、こちらも彼らに視線を投げ返すと、息を大きく吸う。
「俺が今日からテメエらの指揮官になったアニムゾン様だ! 覚悟しとけよ、豚野郎共ぉぉ!」
俺は迫真の自己紹介を兵士に炸裂させると、兵士たちが歓声を上げ始めた。
かなりの好感触だ。やはり、俺にも軍師の血がながれているのだろう。
笑顔で荒縄や盾を持ったガチムチどもが駆け寄って来る。
おいおい、そんなに懐くなよ。
俺は腕を大きく広げて、彼らを歓迎した。
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