国で暗殺されそうなので、公爵やめて辺境で美少女専門テイマーになります

竜頭蛇

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頭の先から足の先まで満遍なく教えこんでやるよ!

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 俺はホモまっしぐらな相手の見た目に動揺を隠せず、どもりながら尋ねる。

「そ、そんな本当にいいんですか?」

「当たり前だろ。頭の先から足の先まで全部教え込んでやるよ」

 熊男は人の好さそうな笑顔を浮かべながら、答える。
 裏でこそこそ背徳的なジーザスに浸っている奴にはとてもじゃないが見えねえ。
 サイコパスか何かかこいつは。

「何から教えてほしい?」

 熊男は親切そうな眼差しでこちらを見つめてくる。
 その柔和な顔つきは堅気にしか見えない。
 思わず親切なおっさんじゃないかと思いそうになる。

 だがここは監獄。ホモの巣窟だ。
 奴は擬態に長けたエリートホモに過ぎない。
 こうした手口で数々のノンケ囚人を落としてきたのだろう。

 このままでは罪のないノンケ囚人の俺の貞操が一夜で、ヘブンズダイバーになってしまう。
 抵抗せねば一寸先は、ハッテンジョウだ。
 とりあえずの抵抗として、言葉のジャブから始めることにしよう。

「そうですね。まずはどういったことをするのか教えてほしいですね」

「どういったことかか。……お前鋭いな。ツウィカスの言ったことが全てでないとあそこで気付いてのか。そうだ、お前の予想通り、ここではブクマ鉱石の採掘以外にも、地下闘技場「レビュー」でのデスマッチが義務付けられている」

 熊男は深刻そうな顔をして、地下闘技場――監獄公認のハッテンジョウについて説明し始める。
 聞くもおぞましい施設の存在を知り、俺の額にじっとりと汗がにじむ。
 すると壁にもたれて座っているやせぎすの中年が頬を緩める。

「安心しな、坊主。心配せずとも週に一度のデスマッチにこの部屋から出場するのは、ファーザーがやってくれてる。お前にお鉢が回って来るてことはねえよ」

 熊男の方を見ると奴はそうこちらに教えてくる。
 ハッテンジョウに行くのはこの熊男か頑丈そうな身体をしているし、確かに適任だな。
 何人相手にしてもまるで堪えなさそうだ。

「皆さんよく揉めずに決定することが出来ましたね」

「おいおい、皮肉るなよ。俺たちはこの通り、体格的に貧弱な奴が多いし、そいつがやりたいて立候補したんだ。それなのに自分がやるなんて言えるわけねえよ」

 さきほどの男とは異なり今度は寝転がった男が耳が痛いと言った顔で答えた。
 なるほど、確かに目の前のファーザー以外の男たちはたるんだ体つきの中年が多い。
 これでは確かにとてもじゃないが持ちそうにはない。
 ホモたちもいろいろと考えているようだ。

「ズターバックの言うとおりだ。闘技場には俺が出ると言って勝手にやってるだけだ。お前が気にすることじゃない」

「そうですか……」

 とりあえず奴らのやり取りのお陰でここのやつらの状態が把握できた。
 バイタリティのかつかつな中年三人とバイタリティマックスであるが、ハッテンジョウに週一で召喚されることで解消されているガチムチ。
 中年たちはもうへとへとみたいな感じで気力がないし、ガチムチは元気そうだが目に理性の光があることからしばらくは大丈夫そうだ。
 この様子なら、抵抗を試みる必要もないだろう。

「ほかに何か聞きたいことはあるか?」

「いえ、ここのことはよくわかりました。大丈夫です」

「まだいろいろとあるんだが……。流石に初めての監獄だからなお前も疲れてるてことか、何か分からないことがあったらその場で聞いてくれ。すぐに教えてやる」

 奴はどうやらその場でレ〇プする気はなくとも、ホモの真髄だけは叩きこみたいらしい。
 まあ傍に置いとくなら同族の方がいいからな。

 だがそんなものは俺は知りたくないしホモになりたくもない。
 俺は正攻法でホモの信頼を勝ち取ることにさせてもらうことにしよう。
 俺は懐から人妻ペンダントを取り出し、ファーザーに向けて差し出す。
 ペンダントから人妻の気配をかぎ取って発狂しないか気になるが流石にわかるわけないだろう。

「こ、これは。マザーからのものか! 一体なんでお前が!」

 ファーザーはいきなりハイテンションになると、俺を凝視してきた。
 どうやらよほど気に入ったらしい。
 渡せるもんは渡してみるものだ。

「いえ、ただもらっただけです。なにも気にすることはありません」

 俺が愛想笑いを浮かべてそう答えると、俺を見定めるように凝視する。

「敵ではないか。何が目的で俺とマザーに協力するんだお前は?」

 お前をよいしょするためだよ。
 思わずあけすけにそう口に出しそうになるが飲み込む。
 よいしょしてる奴が、お前をヨイショしてやってんだよ、コノヤロー!ていうのはさすがにダメだろ。
 リスペクトの精神の欠如が一瞬で丸わかりだ。

「特に目的はありません。そうしたいと思ったからそうしただけです」

 俺があいまいにそう答えるとファーザーは額に汗を浮かべて油断ならぬ奴みたいな顔で俺を見てくる。
 奴の中の評価がただのノンケから、ヨイショも出来る有能ノンケに上がったのだろう。
 なかなかいい幸先だ。
 今日はこんくらいにして、眠いし眠らせてもらおう。
 俺は他の囚人と同じ様に壁に背を預ける。

「眠いので僕は先に寝させてもらいます」

 一言ファーザーたちに言い置くと俺は目を閉じた。



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