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第一章
六話
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中華ってどうして食べすぎてしまうんだろう。
こうなったら頑張って歩いて、カロリー消費をするしかない。
いや……いっそのこと山下公園の中をずっとランニングでも……すると、確実に脇腹が痛くなるな。
うー……お腹が重い。
「なぁ栞里、あの止まってる船さ……」
「えっ?」
一人で考え事をしながら歩いていたら、真宵くんが遠目に見える大きな停泊船を指差しながら口を開いた。
彼もけっこう食べていたはずなのに、真宵くんは随分と涼しい顔をしている。
(この細い体のいったいどこに食べ物たちが入っていくのだろう……不思議)
「あれ、すごいデカい船だよな」
「うん……氷川丸だね。中は博物館船になってるんだよ」
「へぇ……」
真宵くん、そういえば船とか昔から好きだったっけ。
なんか氷川丸にかなり興味深々なようだけど……。
「ちょっと寄ってみる?」
「いや、あまり時間ないから今日はいいや。赤レンガ倉庫はこの先なんだっけ?」
「うん。位置的には山下公園を抜けて、日本大通り駅と馬車道駅の間くらいかな……」
「なるほど」
二人でしばらくみなとみらいの道を歩いていると、遠くの方に趣のある赤いレンガの建物が見えてきた。
今度はそこを目指して、私たちは早足で進む。
そして目的地まで到達すると、私は思わず感嘆の声をあげた。
赤レンガの倉庫周りはやはり秋っぽい感じでハロウィンの装飾がなされていて、予想以上に綺麗だったからだ。
「名前のとおり赤いレンガでできてるんだな、この建物」
「うん、なんか味があって素敵だよね。それに今は周りでイベントやってるみたいだわ。んー……ビール祭りとお酒のフェスだってさ」
楽しそうだけど、さすがに今ビールは……。
「栞里、飲む?」
「んーいやいや。お腹いっぱい過ぎて無理よ」
それに私はあまりお酒強くないしね。
せっかく遊びに来てるのに、変に飲んで体調悪くなっても困るし。
真宵くんは未成年だから、どっちにしろ飲めないけど。
「……ん? この建物って中には入れないの?」
真宵くんはそう言って、建物の外に表記されているお知らせを見た。
「え? 本当だ……改装で休館中だって。12月初めに再開みたいだよ。えぇ……知らなかった。せっかく来たのに」
もっと時間があれば下調べしたんだけど、今日いきなりここに来ることが決まったからなぁ。
スマホでサイトだけでもチェックすれば良かったかしら。
真宵くんはそっかぁと一言呟いたあと、急にニヤリと笑った。
「なら、クリスマスの時にまた一緒に来よう? 栞里のスケジュールに俺との予約入れといて」
「え、予約って……私とクリスマスにまたここへ?」
「うん……ダメかな?」
別にダメじゃないけど、わざわざ私と来なくても今度は同年代の友達と来ればいいのに。
その方が真宵くんにとっても楽しいんじゃないかなぁ?
「栞里はクリスマスに俺とここへ来るの嫌? それともすでに誰かと約束でもあるの?」
「な、ないよ。ないない……それに嫌じゃないし」
「良かった……なら栞里のクリスマスは俺に使わせてくれる?」
真宵くんはそう言いながら、こちらの目を見て優しそうな顔で笑った。
なんかこの一瞬ちょっとドキッとしてしまったというか、年下の幼馴染み相手にカッコいいとか思ってしまったのだけど……私ったら変ね。
どうしたのかしら。
もしかして、昨日の夜ふかしの影響が今になって出てきたとか?
うーん、ならもっと気を引き締めなきゃね……寝不足なんかに負けていられないぞ。
「ま、まぁ真宵くんが私相手で良いなら……」
「栞里とがいい。一緒にまた来よう?」
「う、うん……」
真宵くんは「じゃあ決まり!」と言って、私の片手を取った。
そしてそのまま観覧車の見えるコスモワールドの方へと、私の手を引いて歩いて行く。
彼と手を繋ぐのなんて、いったい何年ぶりのことだろうか……。
(な、なんかこの年になると妙に照れるわね。子供の頃は当たり前のようにやってたのに……)
それだけ自分達が大人になってきたということだろうか?
こんな私たちでも周りから見れば、やはりデート中のカップルとかに思われているのかな?
うーん……すごく色々と誤認されてそう。
「……せっかくだし遊園地にも行こうか。日が暮れる前にはちゃんと栞里の家まで送って行くからさ、心配はいらないよ」
「え、別に現地解散でいいのに……」
「ダメ。こんなところで栞里を一人にさせるなんてあり得ない。それに俺が最後まで送りたいの」
そう言う時の真宵くんは、かなり真面目な顔をしている。
でもなんか彼と一緒にいると私も落ち着くというか、あまり気を遣わなくて自然体でいられるというか……これぞ幼馴染みという間柄の力か?
まぁこの際だし、色々と二人で楽しもうと思う。
こうなったら頑張って歩いて、カロリー消費をするしかない。
いや……いっそのこと山下公園の中をずっとランニングでも……すると、確実に脇腹が痛くなるな。
うー……お腹が重い。
「なぁ栞里、あの止まってる船さ……」
「えっ?」
一人で考え事をしながら歩いていたら、真宵くんが遠目に見える大きな停泊船を指差しながら口を開いた。
彼もけっこう食べていたはずなのに、真宵くんは随分と涼しい顔をしている。
(この細い体のいったいどこに食べ物たちが入っていくのだろう……不思議)
「あれ、すごいデカい船だよな」
「うん……氷川丸だね。中は博物館船になってるんだよ」
「へぇ……」
真宵くん、そういえば船とか昔から好きだったっけ。
なんか氷川丸にかなり興味深々なようだけど……。
「ちょっと寄ってみる?」
「いや、あまり時間ないから今日はいいや。赤レンガ倉庫はこの先なんだっけ?」
「うん。位置的には山下公園を抜けて、日本大通り駅と馬車道駅の間くらいかな……」
「なるほど」
二人でしばらくみなとみらいの道を歩いていると、遠くの方に趣のある赤いレンガの建物が見えてきた。
今度はそこを目指して、私たちは早足で進む。
そして目的地まで到達すると、私は思わず感嘆の声をあげた。
赤レンガの倉庫周りはやはり秋っぽい感じでハロウィンの装飾がなされていて、予想以上に綺麗だったからだ。
「名前のとおり赤いレンガでできてるんだな、この建物」
「うん、なんか味があって素敵だよね。それに今は周りでイベントやってるみたいだわ。んー……ビール祭りとお酒のフェスだってさ」
楽しそうだけど、さすがに今ビールは……。
「栞里、飲む?」
「んーいやいや。お腹いっぱい過ぎて無理よ」
それに私はあまりお酒強くないしね。
せっかく遊びに来てるのに、変に飲んで体調悪くなっても困るし。
真宵くんは未成年だから、どっちにしろ飲めないけど。
「……ん? この建物って中には入れないの?」
真宵くんはそう言って、建物の外に表記されているお知らせを見た。
「え? 本当だ……改装で休館中だって。12月初めに再開みたいだよ。えぇ……知らなかった。せっかく来たのに」
もっと時間があれば下調べしたんだけど、今日いきなりここに来ることが決まったからなぁ。
スマホでサイトだけでもチェックすれば良かったかしら。
真宵くんはそっかぁと一言呟いたあと、急にニヤリと笑った。
「なら、クリスマスの時にまた一緒に来よう? 栞里のスケジュールに俺との予約入れといて」
「え、予約って……私とクリスマスにまたここへ?」
「うん……ダメかな?」
別にダメじゃないけど、わざわざ私と来なくても今度は同年代の友達と来ればいいのに。
その方が真宵くんにとっても楽しいんじゃないかなぁ?
「栞里はクリスマスに俺とここへ来るの嫌? それともすでに誰かと約束でもあるの?」
「な、ないよ。ないない……それに嫌じゃないし」
「良かった……なら栞里のクリスマスは俺に使わせてくれる?」
真宵くんはそう言いながら、こちらの目を見て優しそうな顔で笑った。
なんかこの一瞬ちょっとドキッとしてしまったというか、年下の幼馴染み相手にカッコいいとか思ってしまったのだけど……私ったら変ね。
どうしたのかしら。
もしかして、昨日の夜ふかしの影響が今になって出てきたとか?
うーん、ならもっと気を引き締めなきゃね……寝不足なんかに負けていられないぞ。
「ま、まぁ真宵くんが私相手で良いなら……」
「栞里とがいい。一緒にまた来よう?」
「う、うん……」
真宵くんは「じゃあ決まり!」と言って、私の片手を取った。
そしてそのまま観覧車の見えるコスモワールドの方へと、私の手を引いて歩いて行く。
彼と手を繋ぐのなんて、いったい何年ぶりのことだろうか……。
(な、なんかこの年になると妙に照れるわね。子供の頃は当たり前のようにやってたのに……)
それだけ自分達が大人になってきたということだろうか?
こんな私たちでも周りから見れば、やはりデート中のカップルとかに思われているのかな?
うーん……すごく色々と誤認されてそう。
「……せっかくだし遊園地にも行こうか。日が暮れる前にはちゃんと栞里の家まで送って行くからさ、心配はいらないよ」
「え、別に現地解散でいいのに……」
「ダメ。こんなところで栞里を一人にさせるなんてあり得ない。それに俺が最後まで送りたいの」
そう言う時の真宵くんは、かなり真面目な顔をしている。
でもなんか彼と一緒にいると私も落ち着くというか、あまり気を遣わなくて自然体でいられるというか……これぞ幼馴染みという間柄の力か?
まぁこの際だし、色々と二人で楽しもうと思う。
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