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第三章
二十三話
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あれからしばらく経って戻ってきたリオと一緒に、私は騎士団長の元へと尋ねた。
「リオ様、ソア様、いかがされた?」
会話の相手……おそらく30歳はとうに超えているのだろうが、ぱっと見の印象はとても若く見える。
しかし、年齢の貫禄からか落ち着いた雰囲気もあり、彼が部下から慕われている様子も多く感じられた。
騎士団長とは、シャームの街にて、王都へ連絡とる時にも一度会っているが、こうやって面と向かって話しをするのは初めてである。
「騎士団長様、さっきの猿さ……魔物をどうされるおつもりですか?」
「ソア様……実は騎士団には、あれほど巨大な動物を保管しておく場所がなくてね。それに、今はリオ様の魔法で気絶している状態だが、またいつ暴れ出すかも分からない。しかも、そうなった時に騎士団だけの力で抑えられるかも不明だ。なので、今後の魔物の管理を決めかねているところなんだよ」
騎士団長はそう言って、深いため息をついた。
この変異猿さんの対応にとても困っている様子だ。
「最悪、ここで処分することも検討している」
「それなら……私にこの猿の対処を任せてもらえないでしょうか?」
「ソア様? それは一体どういう……」
「実は、ソアはナターリアからある使命を受けていてな。こういった魔物に遭遇したら、魔素を取り出して、できる限り元の動物の姿に戻すという能力を、女神から授けられているんだ」
この辺りはリオの口からの出まかせだが、あながち間違ってもいない。
リオの魔力暴走のせいで変異した動物を、暴走の原因となった妻の私が還元する。
実際に出来るかどうかは別として、これは責ある私たち夫婦の……一応、共同作業ってことになるのかな。
「もし、そんなことが可能ならば……ぜひ、お願いしたいところだ」
騎士団長はそう言って、すぐに了承してくれた。
私はリオに目配せをした後、確認のために黙って頷く。
「では……さっそく魔素の回収にかかりますね」
私はそう言って、光のロープに拘束され、地面に伏せた状態の変異猿さんのそばへと駆け寄った。
そしてその場で膝をつき、猿さんの手を掴む。
リオから力を抜き取った時の感覚を思い出しながら、吸収の方に体を集中させた。
(……入ってくる。お猿さんの中の魔素、さっきリオから抜き取った時のあの、気持ちいい感覚と全く同じだ)
私が魔素を吸収していると、猿の姿に少しずつ変化が現れた。
凶暴な顔つきは消え、体の方も徐々に小さくなってきている。
(お猿さんに入ってるリオの魔力量……やっぱり多い。連続で力を使っていると、少しクラクラするわね)
私の背後で黙って様子を見ていたリオだったが、私の体がふらつきそうになるとすぐに駆け寄り、後ろから肩を支えてくれた。
「リオ、ありがとう」
「いや。それより、猿の見た目がだいぶ変わってきてる。その調子だと言いてぇところだけど、あんま無理はすんなよ」
「うん」
私は休憩を挟みながら魔素吸収を続けて、20分ほどで、なんとか元のお猿さんの姿に戻すことに成功する。
元々、あの島で出会ったお猿さんは、子犬ほどの大きさしかなかった。
こんな小柄な猿が、あそこまで巨大な魔物の姿になってしまうなんて……と、騎士団の人たちはとても驚いていたが、実際のリオの力はこんな規模ではないのだ。
(なんせ、一歩間違うと世界を破滅に導くほどの力なんですよね……ナターリアの言葉曰く)
「いや、正直驚いたよ。リオ様とソア様の評判は聞いていたけど、お二人の力がここまでとは……」
「いえいえ、お役に立てたようで良かったです」
「あー……まぁ、後は任せてもいいか?」
騎士団長さんは頷くと、リオと私の手を取り感謝の言葉を述べた。
小さくなったお猿さんの今後の対処は騎士団に任せ、兄にも別れの挨拶した私たちは、そのまま二人で森を抜けることにした。
◇ ◇ ◇
「……うまくいったな、ソア」
「うん、良かったよ」
ひとまず森の外まで出てきた私たちは、周りに誰もいないことを確認し、会話を始めた。
「体は大丈夫か? 相当な量を体に入れてただろ」
リオはそう言って、私の顔を真顔で覗き込む。
「だ、大丈夫。その……リオの魔力の吸収は、なんだか気持ち良くて、体に嫌な感じはしないの」
その時の感覚を思い出したら、私の頬は自然と赤くなった。
そして居た堪れなくなった私は、思わずリオから顔を背ける。
(魔素が体に入ると、まるでリオが私を抱きしめてくれている時みたいに心地が良かった。こんなこと……恥ずかしくて、本人には絶対に言えないよ)
落ち着きない私の態度に、リオは少し不満そうな顔をしていたが、それよりも他に気になることがあるのか、それ以上追求したりはしなかった。
「ふ~ん……ならいいけど。俺さ、ずっと考えてたんだけど、これからあの島に行って、生き物の様子を見てこようと思ってる。もしも変異したヤツがまだ残っていたら、住人たちが危険だからな。そんで、できればソアにもついてきてほしいんだが……」
変異した猿が元の姿に戻っていくところを見て、リオはそう決心したようである。
「うん……そうだね。もちろん、私も一緒にいくよ」
「ありがてぇ……助かるわ。とりあえずルルムに急いで帰ったら、まずは船を用意しねぇとな」
あぁ、そうか船……。
島へは、そう簡単にパッと飛んでは行けないものねぇ……。
……ん?
飛んで……?
「あっ! リオ、私のドラゴンくんが、背中に乗せて島まで飛んでくれるかもしれない! 今からルルムの港に戻って船を用意するよりは、その方がずっと時間短縮になるとは思うし……」
「あぁ、その手があったか……よし、それでいこう」
次の行き先と手段が決まった私たちは、ドラゴンが呼び寄せられそうな場所まで移動することにした。
「リオ様、ソア様、いかがされた?」
会話の相手……おそらく30歳はとうに超えているのだろうが、ぱっと見の印象はとても若く見える。
しかし、年齢の貫禄からか落ち着いた雰囲気もあり、彼が部下から慕われている様子も多く感じられた。
騎士団長とは、シャームの街にて、王都へ連絡とる時にも一度会っているが、こうやって面と向かって話しをするのは初めてである。
「騎士団長様、さっきの猿さ……魔物をどうされるおつもりですか?」
「ソア様……実は騎士団には、あれほど巨大な動物を保管しておく場所がなくてね。それに、今はリオ様の魔法で気絶している状態だが、またいつ暴れ出すかも分からない。しかも、そうなった時に騎士団だけの力で抑えられるかも不明だ。なので、今後の魔物の管理を決めかねているところなんだよ」
騎士団長はそう言って、深いため息をついた。
この変異猿さんの対応にとても困っている様子だ。
「最悪、ここで処分することも検討している」
「それなら……私にこの猿の対処を任せてもらえないでしょうか?」
「ソア様? それは一体どういう……」
「実は、ソアはナターリアからある使命を受けていてな。こういった魔物に遭遇したら、魔素を取り出して、できる限り元の動物の姿に戻すという能力を、女神から授けられているんだ」
この辺りはリオの口からの出まかせだが、あながち間違ってもいない。
リオの魔力暴走のせいで変異した動物を、暴走の原因となった妻の私が還元する。
実際に出来るかどうかは別として、これは責ある私たち夫婦の……一応、共同作業ってことになるのかな。
「もし、そんなことが可能ならば……ぜひ、お願いしたいところだ」
騎士団長はそう言って、すぐに了承してくれた。
私はリオに目配せをした後、確認のために黙って頷く。
「では……さっそく魔素の回収にかかりますね」
私はそう言って、光のロープに拘束され、地面に伏せた状態の変異猿さんのそばへと駆け寄った。
そしてその場で膝をつき、猿さんの手を掴む。
リオから力を抜き取った時の感覚を思い出しながら、吸収の方に体を集中させた。
(……入ってくる。お猿さんの中の魔素、さっきリオから抜き取った時のあの、気持ちいい感覚と全く同じだ)
私が魔素を吸収していると、猿の姿に少しずつ変化が現れた。
凶暴な顔つきは消え、体の方も徐々に小さくなってきている。
(お猿さんに入ってるリオの魔力量……やっぱり多い。連続で力を使っていると、少しクラクラするわね)
私の背後で黙って様子を見ていたリオだったが、私の体がふらつきそうになるとすぐに駆け寄り、後ろから肩を支えてくれた。
「リオ、ありがとう」
「いや。それより、猿の見た目がだいぶ変わってきてる。その調子だと言いてぇところだけど、あんま無理はすんなよ」
「うん」
私は休憩を挟みながら魔素吸収を続けて、20分ほどで、なんとか元のお猿さんの姿に戻すことに成功する。
元々、あの島で出会ったお猿さんは、子犬ほどの大きさしかなかった。
こんな小柄な猿が、あそこまで巨大な魔物の姿になってしまうなんて……と、騎士団の人たちはとても驚いていたが、実際のリオの力はこんな規模ではないのだ。
(なんせ、一歩間違うと世界を破滅に導くほどの力なんですよね……ナターリアの言葉曰く)
「いや、正直驚いたよ。リオ様とソア様の評判は聞いていたけど、お二人の力がここまでとは……」
「いえいえ、お役に立てたようで良かったです」
「あー……まぁ、後は任せてもいいか?」
騎士団長さんは頷くと、リオと私の手を取り感謝の言葉を述べた。
小さくなったお猿さんの今後の対処は騎士団に任せ、兄にも別れの挨拶した私たちは、そのまま二人で森を抜けることにした。
◇ ◇ ◇
「……うまくいったな、ソア」
「うん、良かったよ」
ひとまず森の外まで出てきた私たちは、周りに誰もいないことを確認し、会話を始めた。
「体は大丈夫か? 相当な量を体に入れてただろ」
リオはそう言って、私の顔を真顔で覗き込む。
「だ、大丈夫。その……リオの魔力の吸収は、なんだか気持ち良くて、体に嫌な感じはしないの」
その時の感覚を思い出したら、私の頬は自然と赤くなった。
そして居た堪れなくなった私は、思わずリオから顔を背ける。
(魔素が体に入ると、まるでリオが私を抱きしめてくれている時みたいに心地が良かった。こんなこと……恥ずかしくて、本人には絶対に言えないよ)
落ち着きない私の態度に、リオは少し不満そうな顔をしていたが、それよりも他に気になることがあるのか、それ以上追求したりはしなかった。
「ふ~ん……ならいいけど。俺さ、ずっと考えてたんだけど、これからあの島に行って、生き物の様子を見てこようと思ってる。もしも変異したヤツがまだ残っていたら、住人たちが危険だからな。そんで、できればソアにもついてきてほしいんだが……」
変異した猿が元の姿に戻っていくところを見て、リオはそう決心したようである。
「うん……そうだね。もちろん、私も一緒にいくよ」
「ありがてぇ……助かるわ。とりあえずルルムに急いで帰ったら、まずは船を用意しねぇとな」
あぁ、そうか船……。
島へは、そう簡単にパッと飛んでは行けないものねぇ……。
……ん?
飛んで……?
「あっ! リオ、私のドラゴンくんが、背中に乗せて島まで飛んでくれるかもしれない! 今からルルムの港に戻って船を用意するよりは、その方がずっと時間短縮になるとは思うし……」
「あぁ、その手があったか……よし、それでいこう」
次の行き先と手段が決まった私たちは、ドラゴンが呼び寄せられそうな場所まで移動することにした。
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