当たり前の幸せを

紅蓮の焔

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四章 進む道の先に映るもの

160話 『一人でに』

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 レイはうっすらと、朧げに目を覚ました。

 右目が周囲を見回す。それから、まつ毛に水が垂れてきた。それに目を瞑り、額に乗っていた氷袋を持ち上げると、レイは何度か瞬きをした。それを視界に収めてから、体を起こす。辺りを見回したレイは、自分がどこかに運ばれている事に気が付いた。

 近くに人影が──それは、レイの担任の先生だった。
 彼はノートパソコンを持ち込んでいたようで、レイに背中を向けながら少し離れた位置に、それで文字を打っている。その内容は見えず、レイはこんがらがっている頭の中を整理しようと額に手を当てて瞑目し、自分の身に起きた事を追憶する。

 滝本入江と問答にもならない、一方的な問いかけの最中、レイは意識を失った。そう記憶を引きずり出したレイは、ベッドから下りようと足を下ろし、ベッドが音を立てた。

「ん? 起きたか」

「……」

 黙り込み、返事をしないレイを目を細めて見ると、小さく吐息して、彼はレイに向き直ってから「平気か?」と、そう聞いた。
 レイがこくっ、と頷くと、彼は「そうか」と返し、「どうして倒れたか、覚えているか?」と眉尻を多少下げて聞いた。

 はい、とだけ答えると、彼は頷いて、「もう少しだけここで大人しくな。安静にしていれば、明日にはちゃんと班の人と校外活動、楽しめるようになるからな」と宥めるように言うと、再びパソコンの方を向いて音を立てながら文字を打ち始めた。

 それから、レイは部屋の中を見渡そうとしてふと、違和感に気が付く。
 その違和感を手繰るように耳に手を当てて、レイは息を飲んだ。
 眼帯が無い。

 左目に触れ、窪む瞼に親指が当たり、レイは周囲を見回し、自分が座るベッドをくまなく探る。しかし目的の物が見当たらず、レイはパソコンで作業をしている彼の方をちらりと見た。彼はパソコン作業に集中していて、自分には気付いていない、そう判断したレイはベッドから足を下ろし、床に付ける。靴下の下のひんやりとしたその感触にレイは小さく吐息して、先生を見る。彼はまだパソコンに集中していた。

「──すみません」

「ん?」

 そう声を出して振り向いた彼は、顔を背けて居心地悪そうに眉をひそめるレイを見て小首を傾げた。

「どうした、剣崎?」

「その……眼帯、知りませんか?」

「眼帯? ──いや、見てないぞ? 俺が来た時には着けてなかったから、向こうで落としてきたんじゃないのか?」

 そうだなぁ、と思案顔でパソコンに視線を注ぎ、それからレイの方を見て瞑目する。
 それから少しの間が空いて、彼は「よしっ」と目を開けると、椅子ごとレイの方に体の正面を向ける。

「どうしても気になるなら、そう遠くないから取りに行って構わないぞ。先生は今日の分の仕事が少しだけ残っているからしばらくここを離れられないからな」

「──ありがとうございます」

 彼の前を通り過ぎて部屋を出て行こうとした矢先、「ああ、そうだった」と彼はレイを呼び止めた。振り返れば、彼はレイの方に体を向けていて──、

「お前の家の家政婦さんや、ご家族が心配されていたぞ。あまり、無茶はするな」

「……はい」

 そう返事をして、レイはその部屋から去った。部屋を出て左に曲がり、歩きながらすぐに後悔に苛まれて大きなため息を吐いた。道を聞いておけば良かったと。──しかし、その後悔もすぐに掻き消え、レイの右側に下りる階段が現れた。
 最初にここに来た際、先生に呼び出されて来た場所に戻って来たのだ。

 後はこれまで通った道を踏襲すれば簡単に部屋に着いた。
 部屋には数人の先生がいて、その内の一人──砂糖先生がレイに気が付いて「剣崎くん!?」と驚きの声を上げた。その声に他の先生方も反応して、一同部屋の入り口に顔を向ける。

「剣崎くん、もう平気なんですか?」

 砂糖先生に聞かれ、レイはこくっ、と頷いて「はい、平気です」と答えた。
 それから部屋の中を見渡し、あの、と目を伏せて、レイは言う。

「ここに、眼帯、ありませんでしたか?」

 レイの言葉に反応して、先生達が互いの顔をそれぞれ見て、誰も声に出さない。それが答えだと言わんばかりに。レイは服の裾をきゅっと握り締めると、唇の端を噛んだ。

「えっと……ごめんなさい。先生達が駆け付けた時にはもう、眼帯はありませんでした。剣崎くんがそこに倒れていて、それを滝本さんに教えてもらったんです」

「──たき、もと」

「はい。滝本さんです。君と同じクラスの」

 ※※※

「うにゃららららららららららららららららぁぁあああああっ!」

「うおっ、石田さんつよっ……!」

「二人ともすごーい」

 炎を纏った飛び膝蹴りが炸裂する寸前、それを左に躱して至近距離で拳銃で数発ぶち込む。飛び膝蹴りから次の技に移るまでのタイムラグが隙を作り、弾丸が直撃。
 そのまま弾丸を撃ちながらゼロ距離まで近づき、筋骨逞しい踵落としを喰らわせその体を地面に叩きつけ跳ねて空中へ。そこへトドメのロケットランチャーが炸裂し──そのキャラクターは画面の端まで吹っ飛んで行った。

「くっ──カウンターだとっ!?」

 コントローラーを床に投げつけそうになって、レイカはそれを振りかぶった所で腕を止めた。そのまま肩を落として足元に置くと、「やったー」と力の抜けたような喜びの声が上がる。

「私の勝ちだねー。いやー、強いなぁ、石田さん」

 危なかったよ、と呟くように言うホリに、まるで自分の事のように気を良くしたしずかが「えへへー」と頬を染めてにまにまと笑いながらくねくねする。
 三人が今いる彼女の部屋は、白を基調としたシンプルな内装だ。衣装だながあり、ベッドこそ無いものの、そのスペースに中型のテレビとテーブルを配置して物足りなさを感じさせない。
 しずかはレイカに後ろから抱きつくようにもたれかかりまだ破顔している。

「でしょー。レーカちゃんはねー、このゲームでたしかー、カントー? 大会で準優勝したんだよー」

「へー、ゲームにもスポーツみたいに大会ってあるんだ」

「うん、あるよ。でも、あれは小学生の頃だったし。今度したら絶対優勝だし。あと、関東大会じゃなくて非公式ファン大会だよっ。このゲームが好きな人達が集まって一対一でするトーナメント戦! ちなみに優勝商品はその時の最新ゲーム機だったよ!」

「すごいね。なんか、私には想像もできないや」

「準優勝は何貰えたんだっけー?」

 耳元で囁くように聞くと、レイカは苦々しく目を背けて可愛らしい眉根を寄せる。
 少しの間があって、二人をそれぞれちらちらと見た。二人とも、レイカをジッと見つめていて諦めたようにため息を吐くと、渋りながらぼそっと言う。

「……旅行券」

「りょっ!?」

 目を大きく見開くホリに、即座にレイカは後ろから抱きついてくるしずかの腕を解きながら苦笑いして「でも、結局使わなくて、ご近所さんにあげちゃったけどねー」と軽めに素早く言い切る。

「欲しかったなー。ねえねえ、それってさ、どこ行きの旅行券だったの?」

「たしか……北海道?」

 首を傾げながら言ったそれに「うっそ」と呟くと、ホリは持っていたコントローラーを床に置いた。

「私も出れば良かったなぁ……」

「まあ大丈夫だよ。アレって普通年に二回あるから、今度誘ってあげる。飛び入り参加とかもオーケーで楽しいよっ」

「やったー! 旅行券とか、手に入れられたら良いなー」

「でも、大抵は優勝は賞金だった気がするけどさー」

 去年は不況だったみたいでゲーム機とかになったんだよねー、と笑いながら言った所で、ドアがノックされる。

「んー? はぁい」

「姉さん」

「どーしたのー?」

「どうせ姉さんの事だからお客さんにお茶菓子も用意してないんでしょ。持ってきてあげたよ」

「わー、ありがとー」

 そう言いながら立ち上がると、しずかはスキップするようにうきうきしながら歩いて行き、ドアを開く。ドアの前にはサイズが大きくて合わない白シャツを着ている少年がクッキーと、ジュースの注がれたコップが三つ置かれていたお盆を両手に持っている。

「ゆうくんが作ってくれたのー?」

「こんな短時間で作れるわけないよ。ジュースはりんごジュースで良かったよね?」

「うん、ありがとねー」

 にこにこしながら少年の頭に手を伸ばし、それを避けられてしずかは瞬きした。そのまま小さく吐息して、少年はしずかを見上げると「姉さんがしっかりしてないからだよ」と呆れた顔で言う。

 そんな弟を、しずかはふふふー、と笑いながら少年からお盆を受け取り、「そんなこと言ってもー」と少年の額に額をこつん、と当てる。

「ゆうくんがお姉ちゃんに優しいのは知ってるよー」

「っ!?」

 突然のことに少年は目を剥いて思いっ切り首を横に振り、「ありえない!」と叫んだ。

「そ、そんなわけないっ! もう部屋戻るから!」

「ありがとーねー、ゆうくん」

「──どーいたしまして!」

 投げやりな感じでそう言い捨てて、彼はしずかの隣の部屋に早歩きで戻って行った。

「さっきのって妹さん──だよね?」

「ううんー、弟のゆうくんだよー」

「君も騙されたのかね?」

 ふっふっふっ、と目を細めてまるで髭をすりすりと触るように顎に手を当てるレイカを見て、ホリは生温かい目線を送りながら「騙されたよー」と棒読みした。

「ゆうくんねー、すごくて優しい子なんだよー。お料理もお洗濯もできてー、たまにお掃除もしてくれるのー」

「良いなぁ、私には兄貴がいるけど優しくないし変態だし、あんまり好きじゃないなぁ」

「あー、でも私もお兄ちゃん、義理だけどいるよ。レイくんって言うんだけどさー、なんだろ、一緒にいて楽しいんだよねー」

「えー、良いなぁ。私の兄貴もそんな人だったら良かったのに」

「レイくん、って、あの人ー? レイカちゃんが勉強で分からないところ聞きに行った──」

「うん、そうだよ。てかしずかちゃんよく覚えてたね」

「えへへー。これでも記憶力は良いって言われるんだよー」

「記憶力──って事は暗記問題とか、けっこうイケる感じ?」

「うんー、暗記問題はねー、たまに間違えるけど、けっこう得意だよー」

「べ、勉強はもう良いじゃんっ。ほら、クッキーあるでしょ! 食べよ食べよ!」

「あはは、石田さん、勉強苦手そうだもんねー」

「うぐっ……。たしかに、苦手だけど……! でもさっ、勉強とか、一応毎日してるもん! テストでも、中学からは点数すごい上がったもん!」

「じゃあ、小学校の時テストどのくらい取れてたの?」

 急所を突かれ、レイカは目を背けながら笑顔でなんとかダメージを隠そうとするが、たらたらと流れる汗はそれを如実に表しながら、その中でも尊厳を死守するために息を吐くように素早く、小さく言う。

「──よ、よんじゅう、くらい」

「それで、中学校では?」

 うっ、と言葉を詰まらせ──ず、ふっふっふっ、と不敵に笑い、腕を組んで高らかにバカ笑いする。──向かいの部屋でしずかの弟が驚いて勉強中の体を震わせたのは誰も見ていない。

「ふふん、それはもうバッチリ! なんと、中間テストの『最低』点数が七十三点!」

「うおっ、すごいね。一体何があったの?」

「ちょっと勉強する機会が増えただけの事だよ。ふぉっふぉっふぉっ」

 髭を撫でるふりをするレイカの顔を見ながら、しずかはレイカのほっぺをつねった。

「痛いよしずかちゃん」

「自慢するからだよー」

「私もそのくらいかなぁ……。川田さんは?」

「私はー、ほとんど満点だよー」

「うえっ!? すごいね! どーしてそんなに点数高いの!?」

「しずかちゃん天才だからねー。普段はのびのびしててほわほわでぷにぷにででっかいけど、勉強はすごいからねー。ほんと。やばいくらい」

「なんだかよく分からないけど……今度からテスト危なくなったら川田さん頼るよ」

「どーぞどーぞー。頼ってくれていいよー」

 それから三人は何気ない会話をして時間を潰していった。
 それが終わったのは五時を回った辺りだ。しずかの部屋のテレビの右上に時刻が表示されている。五時半。それを見たホリは「私、もうすぐ門限だー」と言って立ち上がった。

「それじゃ、私はそろそろ帰るね。ありがと、楽しかったよ」

「うん、私も楽しかった、ありがとー」

「ありがとーねー」

「また明日、学校でね」

「また明日ー」

「そう言えばー、明日は学年集会だったよー。いつもより早めに学校行かなきゃねー」

「そうだったね、ありがと、川田さん」

「えっ、そうだっけ!? 私それぜんぜん知らないんだけど!?」

「レーカちゃんはー、寝てたもんねー。くすくすぅー、寝てる顔ー、可愛かったよー」

 よだれがほっぺたについててー、と話し始めたところでレイカがわーわー叫びながら必死の形相でその言葉を遮って、ホリはそれを「何それー」と笑って流した。
 ぜぇ、はぁ、と肩で息するレイカと、楽しそうなしずかを見て、ホリはきゅっと唇を引き結ぶ。しかしそれをすぐに離すと、ホリは「じゃ、明日」と言って部屋から出て行こうとした。

「ん? 五時半?」

 しかし、その足は突如大声を張り上げたレイカによって遮られる。

「私、ネネさんに買い出し頼まれてたんだったぁぁぁあああああああ!」

「大変だねー。あの人ー、怒ると怖いもんねー」

「やばい……、早く帰んないと! 私も帰るねしずかちゃん!」

「ネネさん?」

「ネネさんはねー、レーカちゃんのー、家政婦さんだよー」

「マジでっ? うわぁ、ちょっと興味──って、石田さん、落ち着いて。ここ二階だよ。窓から行っちゃ駄目だよ。靴も無いし」

「ホリちゃんー、大丈夫だよー。怒られそうな時はレーカちゃん、ああやって時間短縮するのー。だからいつも窓際にレイカちゃん用のサンダル用意してるんだぁ」

「あ、ほんとだ。サンダル履いて──って、そういう問題じゃなくない!?」

「あー、行っちゃったー」

 既に消えたレイカの跡を見て、ホリは驚きと呆れが入り混じったような苦笑を浮かべ、あはは、と息を吐くように漏らした。

「石田さんって、けっこうすごいね……。なんか、色々……」

 そう呟いたホリに、しずかが、んふふー、とホリの方に体を向けるようにごろりと転がり、うつ伏せの体勢になる。腕を伸ばしたまま、顔だけを彼女に向けて、しずかは楽しそうに笑いながらあのねー、と語り始めた。

「レーカちゃんはねー、運動神経が昔から良くってー、本気出したら壁とか、上手くいったら走れるんだよー」

「なんだかそこまでいくと眉唾だなぁ……」

「いつかホリちゃんも見られるといいねー。すごいよー。まるでアニメ見てるみたいだったんだぁー」

「そこまで言うんだったら、いつか見てみたいなぁ」

「レーカちゃんもきっと喜ぶよー」

「だけどまあ、そういうのって一度見ないと信じられないって言うか──って、まずい! ごめんっ、早く帰んなきゃ! 門限だ! ごめんね! それじゃ、また明日学校で!」

「はーい。バイバーイ」

「うん! バイバーイ!」

 しずかは手を振り、その背を見送りながら目を閉じた。
 それから大きなあくびをかいて、むにゃむにゃと口を動かす。

「姉さん」

「んー? ゆうくんー?」

 目を閉じたまま大きく伸びをして目を開けると、しずかの顔の前にしゃがんだ少年がいた。「姉さん、あのさ──」と、少年は玄関の方を見て、それから姉へと視線を戻して続ける。

「大丈夫?」

「何がぁー?」

 寝息を立てそうになって、しずかは目を擦りながら瞬きをして自らの弟を見上げる。

「その、さ。──新しい人、来てたから」

「ゆうくんは優しーねー」

「優しくないし」とそっぽを向いて吐き捨てたが、すぐにしずかに顔を向けて、彼女の朧げな目を見ながら「──それで、どうなの?」と怪訝そうに眉をひそめて言う。

「んー、今回は大丈夫っぽいよー」

 間延びしたその言葉にほっ、と息を吐くと、「そう、なら良かった」と立ち上がる。

「姉さん、間延びしてるからってよくイジメられてたから、そうかもしれないって思って」

「そんなことないよー。私はそれよりゆうくんの方が心配だよー。──また学校に行きたいとか、思わない?」

 聞かれたそれに、彼は首を振る。

「思わない」

 トーンが低くなった声を聞いて、しずかは、はっ、と顔を上げて、いつの間にか閉じていた目を開ける。それから頬を緩めて、やんわりと笑った。

「ならー、仕方ないねー。ゆうくん賢いから、もっと伸ばせたらいいのにね。変な人達がゆうくんにいじわるしなきゃこんな事になってないのにねー」

「仕方ないよ。──僕は、姉さんみたいにはなれないから」

「知ってるよー。でもー、ゆうくんにはぁ、ゆうくんのぉすごい、ところ、がぁ、ある、って、知って、る、からぁ──……」

「……姉さん」

 すでに寝てしまった彼女を見下ろし、少年は息を吐く。

「行けないよ、僕には……。姉さんみたいに、なりたい……」

 唇を引き結び、立ち上がった。くるりと体を回して眠っている姉に背を向けると押入れを開いてその中のタオルケットを持ち出す。それをかけてやり、すぅ、すぅ、と寝息を立てる彼女の顔を見つめて眉間にしわを寄せながら歪に笑った。

「強いよ、姉さんは……。羨ましいくらい」

 そう言いながら彼女へ手を伸ばし、少年は息を呑んで首を勢い良く横に振る。

「──戻ろう。このままじゃ、ダメだ」

 その部屋の戸が閉まる。
 テレビは消され、ゲーム機も片付けられ、お菓子の残骸も、そこにはもう無かった。





[あとがき]
 しずかちゃんの苗字が、初登場回だけ『関城』になってた……。もう直してます。
 一体何がどうしてそうなった。
 とにかくっ、次回予告!次回は一月二十九日!よろしくっ!
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