当たり前の幸せを

紅蓮の焔

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一章 泡沫の夢に

2話 『仲』

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「どうです?」
「え? えと、うん! コウさんやネネさん、レイカちゃんも面白くて優しいよ! あと、えっと、えと……!」
「焦らなくても良いです。レイくんが幸せになれたですから」
「うん……! うんっ! 本当にありがとう! 僕にこんな幸せ勿体無いほどだよ!」

 僕がここに来れたのはミズキさんのお陰で、病院で入院していた僕にここを紹介してくれたから。これからが楽しみで、とても楽しみで、嬉しい。こんなに嬉しく思ったのは小学四年生以来だから。

「良かったです。私も、レイくんの彼女としてとても嬉しいです。……良かったです」
「うん。ミズキさんは凄く優しくて、とても神々しく見えて、僕なんかと釣り合うのかな。って思う」
「私は、レイくんが好きです。釣り合うか釣り合わないかで言えば、合わないです」

 その言葉がグサリとレイの心に突き刺さった

「レイくんは小さい頃から苦労してたと思うです。私は、あまり苦労してないです。私は容姿で釣り合うとかは思わないです。その人が何を歩いて来て、何を得て来たのか、それが重要だと思うです。だから、私はレイくんが凄くカッコよく見えたです。カッコわるくもです。人のために自分の命を投げ出す! ああっ! なんて、カッコいいんです!? 私はレイくんの事が好きで好きで堪らないです。ゾクゾクしちゃうです。でも、レイくんの言葉遣いが気になります。わざとです? 気になるです。無理して丁寧に言おうとしてるレイくんは可愛いです。でも、キライです。反吐がでるです。何かを遠ざけようとしているみたいで、とてもイヤです」
「ごめんね、分かった。頑張ります」
「良かったです。そうなれば私も頑張るです。レイくんの嫌なモノ、怖いモノ、全部私が取ってあげるです」

 ガチャリと、ドアが開く。そっと顔を出して「入っていい?」と聞いたのはレイカだ

「まあ今日は良いです。今日はお互いの事を知ってもらおうとしただけです」
「何~? あ! 人生ゲームでもやる~? わたし部屋から持ってくるよ~?」
「それはあとでやるです。先ずは二人にこれを見て欲しいです」

 肩から掛けているカバンから謎のスクラップブックを取り出して「あ、レイくんの隣に座って欲しいです」と見せる

 スクラップブックの表紙には『ふたり』と書かれている

「では一ページ目です」

 ペラリと捲ったそのページには一枚の写真が貼られていた

「これ……」
「ッ! レイくん見ちゃダメぇぇええ!」と叫びながらレイの目を涙目で塞ぐ
「いいえ。見るです。このレイカちゃんを。私とコウロギさんとネネさんと一緒にホラー映画を見た時に部屋の隅でネネさんが震えている間にテレビの前でおもらしした写真です」
「そっ、それは……その、プライベートな問題だから、ダメ、じゃないかな?」
「なら次行くです。今度はレイくんです。レイくんはこれです」

 今度のページには一枚のディスクが入っていた

「ディスク? ミッちゃん、なんなのそれ~?」
「レイくんディスクです。私と出逢ってからのレイくんを映したディスク。因みにこれは動画音声アリです」

 ディスクをカバンから取り出したカメラに納めて起動させる

 レイカちゃんの時は……おもらしだったから、僕のはなんだろ?

 画面が明るくなった。何故か音楽まで流れている。聞いていてホッとするような、そんな音楽が

「ブっ!」

 突然レイカが鼻血を垂らして片手で鼻を押さえた。その顔は火照っている

「どうしたの?」
「えっ!? えと、ちょ! ヤバいから見ないでぇ~!」
「ねえミズキさん、それ、どんな動画なんですか?」
「こんなです」

 レイカの手をどけてカメラの画面をドアップで見せ付ける

「こっ、ここ、これって……」
「です。レイくんの×××に少し音楽を付け加えただけです」
「そ、それっ、は……その……」

 凄い、恥ずかしくて、ちょっと、見れない……。

「お互いの事、少しは分かってもらえたです?」
「わ、分かったから! ちょ、ティッシュ詰めてくる!」
「わ、分かりました。けど、それって……その、恥ずかしい、と思います……」
「う~ん……ちょっと失敗したです?」
「え? それって、何がですか?」
「レイくん、少しおかしいです。なるほどです。この男にも原因はあるみたいです。じゃあ、人生ゲームするです。少し長いからジュースお願いして来るです」
「う、うん。わ、わかった。よ」

 ……。気付いていなかった。僕の言葉は変におかしくに聞こえているのだとしたら、僕は、努力してこれを治す。

 それが、僕に出来る彼女への恩返しなのかもしれない。

「はいはいはいは~い! レイカちゃんが来たよ~。人生ゲームするからちょっとスペース開けてね~!」
「は、はいっ!」
「あ、後さ──」としゃがんで自分とレイの唇に指を当てて「さっきのは秘密ね。わっ、私も、さっきのは、その、忘れるように、努力する、から」
「はい。分かりました」
「じゃあ私赤いのね! レイくんは緑のでミッちゃんは黄色の!」
「何勝手に決めてるです? 私が赤です」
「私が赤!」
「私です」

 結局二人はジャンケンで勝敗を決めた。……赤はミズキさんのモノになり、一位にはレイカちゃんが輝いた。僕は最後まで最下位のまま人生ゲームは終了してしまった。
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