41 / 263
一章 泡沫の夢に
37話 『苦悩』
しおりを挟むトボトボと、バス停に向かっている。だけど、なんだか、いや、なんだかじゃないけど。
少し、違う。物凄く不安で堪らない。だって、あの場で押し切られたように決めてしまったから。何も、あの場で決める必要なんて無かったんだ。僕の早とちりで勝手に……。
そのせいで、また……ダメだ。こんな事を考えてちゃ。
こういう後ろ向きな事を思うから、こんな事が起きるんだ。
稲継くん。沢山の悪い人と少し先のコンビニの前に一緒に居る。座っていたり立っていたり、色々な姿勢で居る。
それも、何かを待ってるみたいに……。
稲継くんがここに居るって事は、アイカちゃんは今、安全と思う。なんだか、安心した。……だけど、少し怖い。……少しじゃ、ないよね。とても、怖い。
もう、傷は治っているみたい。もう、二週間と少し経っているから、普通だとは思うけど……。
このコンビニも、少し可哀想……。ごめんなさい、コンビニさん。その……なんて言うか……、何がごめんなさいか分からないけど、でも、なんだか悪い気がしたから……。
……遠回りになるけど、あまり近付かないようにしよう。気付かれてないみたいだし。
少し戻って右に曲がってから少し歩いて左に曲がる。あとはそのまま抜けて交差点で少しだけ左に行けば……、ほら、見えてきた。
ネネさん、は……まだ来てないみたい。
少し、待っていよう。
バス停のすぐ目の前、横? なんて言えば良いのか、分からないけど、とにかく、すぐそこに、左側に公園がある。
そこのベンチで待っておこう。まだ、院長さんから貰ったお小遣いは、まだある。あの時は、あまり、じゃない。全然使ってなかった。
自動販売機も、すぐそこにある。ジュースを買って、暫く待っていよう。たぶん、その間にレイカちゃんやネネさんも来るだろうから。
赤色のだから……えっと、どこの会社だったっけ。……うーん。思い出せない。あ、横にコーラって書いてある。『コーラ』って会社なのかな……? 聞いた事ない、けど……。
たぶん? いや、そこは関係ないけど。
「にーちゃん、買うなら早く買えよ」
「ぇっ……ぁ、ど、どうぞ……」
「ったく。おーい、早く買おーぜー!」
横に逸れたのは、良いけど……。
どうしよう。
いや、どうしようってほどでもないよね。この子達が買ってから買えばいいだけの話だから。
四人しか居ないし。ほら、もうどこかに行った。早く買ってしまおう。
……炭酸ジュースにしよう。これ。グレープサイダー。前に買ったのもそう言えばこれだった。
公園の端って言うか、自動販売機のすぐ隣にベンチがある。そこで良いよね。塀? 柵? とにかく、腰くらいまでありそうなそれの向こうにバス停も見える。ネネさんやレイカちゃんが来ても大丈夫。こっちからも、あっちからも見える。
ここで待っていよう。そうしていれば、いつか来る。
「ぅぁぁ……やっぱり喉がぁ……」
シュワシュワしていて、美味しいんだけど慣れそうにない。
これは、本当に、いつまで経っても。
「少し、良いですか?」
「えっ……、ぁ、はい……」
誰だろう。この人は。金色の髪、ハーフなのかな。隣に座ってきた。
「けんざきくん……で、良いんですよね」
「えっ……と、アナタ、は……?」
「私ですか……? そうですねぇ……けんざきくんが加入してくれたチームのリーダー。と言った所ですか」
「え、えと……それって、この、超能力者、みたいな」
「はい。しかし正確には、『超人』と、私たちは呼んでいます」
「そ、それで……どのような……」
「ああ、そうですね!」ポンッと手を叩いた。少し、びっくりした。「はい。私は自己紹介をしに来ました。私の名前は是枝さくらと言う名前です。はい」
「こ、これ? えだ、さん?」
聞いた事のない名前、これえださん。たぶん、忘れられないと思う。忘れても、何か、聞いた事のない名前と思うかもしれない。
「さて、本題に入りましょう。アナタが私たちの所に入って来てくれた事に関してはとても喜ばしく思います。が──」
何か、嫌な予感がした。やっぱり。
「残念ながら、私たちの勢力はアナタを含めて計七名しか居ないのです」
これって、選択間違えた……の、かな……?
「あ、でも、良い人たちばかりですよ? ほら、今日けんざきくんを誘ったこーいちくんも、超能力で言えば、千里眼です。ですがこれが少し不便で……選んだ対象と周りしか視えないようで……、あ、でも他にも居ますよ? 例えば傷を治してくれる人や、悪魔のような羽の生える人など……! あ、いえ、怖がらせるつもりは無かったんです。いや、だから……あ! そう! その人はとても優しくて面倒見が良いんです。ほら、怖くないでしょう? だから泣かなくても大丈夫です!」
「ぁ……いや、なんだか……ごめんなさい」
この人の言っている事が正しければ……僕は、失敗してしまった。
「話は逸れましたが……私たちの事は言い終わりました。恐らく、他勢力も少しの間はアナタの事を勧誘しようとしてくるかもしれません。出来るだけ情報を流しますが……その間のみ、お一人で、頑張って下さい」
ぇ…………? 今、一人って……ぇ……?
「では、またお会いしましょう」
……気のせい、だったら良いな。違うかも、しれないけど……。
0
あなたにおすすめの小説
三歩先行くサンタさん ~トレジャーハンターは幼女にごまをする~
杵築しゅん
ファンタジー
戦争で父を亡くしたサンタナリア2歳は、母や兄と一緒に父の家から追い出され、母の実家であるファイト子爵家に身を寄せる。でも、そこも安住の地ではなかった。
3歳の職業選別で【過去】という奇怪な職業を授かったサンタナリアは、失われた超古代高度文明紀に生きた守護霊である魔法使いの能力を受け継ぐ。
家族には内緒で魔法の練習をし、古代遺跡でトレジャーハンターとして活躍することを夢見る。
そして、新たな家門を興し母と兄を養うと決心し奮闘する。
こっそり古代遺跡に潜っては、ピンチになったトレジャーハンターを助けるサンタさん。
身分差も授かった能力の偏見も投げ飛ばし、今日も元気に三歩先を行く。
おっさん武闘家、幼女の教え子達と十年後に再会、実はそれぞれ炎・氷・雷の精霊の王女だった彼女達に言い寄られつつ世界を救い英雄になってしまう
お餅ミトコンドリア
ファンタジー
パーチ、三十五歳。五歳の時から三十年間修行してきた武闘家。
だが、全くの無名。
彼は、とある村で武闘家の道場を経営しており、〝拳を使った戦い方〟を弟子たちに教えている。
若い時には「冒険者になって、有名になるんだ!」などと大きな夢を持っていたものだが、自分の道場に来る若者たちが全員〝天才〟で、自分との才能の差を感じて、もう諦めてしまった。
弟子たちとの、のんびりとした穏やかな日々。
独身の彼は、そんな彼ら彼女らのことを〝家族〟のように感じており、「こんな毎日も悪くない」と思っていた。
が、ある日。
「お久しぶりです、師匠!」
絶世の美少女が家を訪れた。
彼女は、十年前に、他の二人の幼い少女と一緒に山の中で獣(とパーチは思い込んでいるが、実はモンスター)に襲われていたところをパーチが助けて、その場で数時間ほど稽古をつけて、自分たちだけで戦える力をつけさせた、という女の子だった。
「私は今、アイスブラット王国の〝守護精霊〟をやっていまして」
精霊を自称する彼女は、「ちょ、ちょっと待ってくれ」と混乱するパーチに構わず、ニッコリ笑いながら畳み掛ける。
「そこで師匠には、私たちと一緒に〝魔王〟を倒して欲しいんです!」
これは、〝弟子たちがあっと言う間に強くなるのは、師匠である自分の特殊な力ゆえ〟であることに気付かず、〝実は最強の実力を持っている〟ことにも全く気付いていない男が、〝実は精霊だった美少女たち〟と再会し、言い寄られ、弟子たちに愛され、弟子以外の者たちからも尊敬され、世界を救って英雄になってしまう物語。
(※第18回ファンタジー小説大賞に参加しています。
もし宜しければ【お気に入り登録】で応援して頂けましたら嬉しいです!
何卒宜しくお願いいたします!)
妻からの手紙~18年の後悔を添えて~
Mio
ファンタジー
妻から手紙が来た。
妻が死んで18年目の今日。
息子の誕生日。
「お誕生日おめでとう、ルカ!愛してるわ。エミリア・シェラード」
息子は…17年前に死んだ。
手紙はもう一通あった。
俺はその手紙を読んで、一生分の後悔をした。
------------------------------
ガチャで領地改革! 没落辺境を職人召喚で立て直す若き領主
雪奈 水無月
ファンタジー
魔物大侵攻《モンスター・テンペスト》で父を失い、十五歳で領主となったロイド。
荒れ果てた辺境領を支えたのは、幼馴染のメイド・リーナと執事セバス、そして領民たちだった。
十八歳になったある日、女神アウレリアから“祝福”が降り、
ロイドの中で《スキル職人ガチャ》が覚醒する。
ガチャから現れるのは、防衛・経済・流通・娯楽など、
領地再建に不可欠な各分野のエキスパートたち。
魔物被害、経済不安、流通の断絶──
没落寸前の領地に、ようやく希望の光が差し込む。
新たな仲間と共に、若き領主ロイドの“辺境再生”が始まる。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
金の羊亭へようこそ! 〝元〟聖女様の宿屋経営物語
紗々置 遼嘉
ファンタジー
アルシャインは真面目な聖女だった。
しかし、神聖力が枯渇して〝偽聖女〟と罵られて国を追い出された。
郊外に館を貰ったアルシャインは、護衛騎士を付けられた。
そして、そこが酒場兼宿屋だと分かると、復活させようと決意した。
そこには戦争孤児もいて、アルシャインはその子達を養うと決める。
アルシャインの食事処兼、宿屋経営の夢がどんどん形になっていく。
そして、孤児達の成長と日常、たまに恋愛がある物語である。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
冤罪で辺境に幽閉された第4王子
satomi
ファンタジー
主人公・アンドリュート=ラルラは冤罪で辺境に幽閉されることになったわけだが…。
「辺境に幽閉とは、辺境で生きている人間を何だと思っているんだ!辺境は不要な人間を送る場所じゃない!」と、辺境伯は怒っているし当然のことだろう。元から辺境で暮している方々は決して不要な方ではないし、‘辺境に幽閉’というのはなんとも辺境に暮らしている方々にしてみれば、喧嘩売ってんの?となる。
辺境伯の娘さんと婚約という話だから辺境伯の主人公へのあたりも結構なものだけど、娘さんは美人だから万事OK。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる