当たり前の幸せを

紅蓮の焔

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Springdays:『百花繚乱』

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 注意!本編とはなんら関係ありません。完全IFの短編集五本立てです。
 もしかしたらこの話に登場したキャラクターが後々出て来るかもしれないけど出て来ないかもしれないし、ちょっとギャグ要素あるかも。
 それでも誰も死なないし重くもならないし、キャラ崩壊はあるかもだけど進んで行くに連れて頭がおかしくなっていくお話(予定)!
 それでも良いなら読んでください。なお、気が向いたら夏休みにまた同じような企画やるかも。


 ※注意!合計一万字近くあります。










 番外編……その一『学校のカイダン』

 ──ねえねえ、知ってるー? 先輩から聞いたんだけどー、この学校にも怪談ってあるらしいよー。

 今は休み時間。次の授業の用意をして、それからしずかちゃんの所に行こうとしたら先にしずかちゃんがやってきた。

 おっきい。この目の前で揺れてる物がリアルの怪談に違いないねっ!

「しずかちゃん。怪談って言ってもどうせ、階段が一段多いとか音楽室のやつとかでしょー? 面白くないよー」

 机の上に教科書とノートを置いてから話し始めるが、レイカの双眸は眼前で揺れ動く物体を無心で射抜いていた

「違うよー? この中学校の怪談はねー、『真夜中に校庭の真ん中でウサギの格好をしたおじさんが餅つきをしてる』ってゆーのだってー。面白いでしょー?」


 …………。


 ……………………。


 …………………………………………。


「へっ?」

「だ~か~ら~、『真夜中に校庭の真ん中でウサギの格好をしたおじさんが餅つきをしてる』ってゆーのだってー」

 聞き間違いじゃなかったの!? ヤバイよそれ! 警察に通報しなきゃだよ!

「面白い通り越して怖いよ!? 通報しなきゃだよ!」

「んっふっふ~。実はこれねー、冬休み前の終業式に忘れ物を取りに夕方の遅い時間に学校に行った人が見たんだってー」

「そっ、その人だいじょーぶだったの!?」

 そんな変人で変態な人に見つかったらすぐに捕まったりするんじゃ!? もし女の人だったら──い、色々っ、されたりっ!? とかっ!? と、とにかく! ヤバいんじゃないの!?

「んっふっふ~。──実はー、前の校長せんせーが生徒わたしたちのためにお餅をついてたんだってー。面白いよねー」

「たしかにね! 面白かったね! うん! けどさ! 変態と間違われても仕方ないよ!? 前の校長せんせーってもしかしてすごい変態だったんじゃないの!?」

「えー? うちの弟だってサメのきぐるみパジャマだよー?」

「子供だからいいのっ! おじさんと小さい子がするのとじゃ全然違うの!」

「それじゃー……レーカちゃんはー?」

「うぐっ……!」

 言い返せなくなってしまった。そりゃ、まだ……。でっ、でも! ネコって、すごいかわいいし……。あっ、あのパジャマ、お気に入りだし……。もふもふだし……。カワイイし……。ずっと、使ってるし……。

「顔ー、赤いよー?」

 うぐぐ……! 胸のある奴は! 何食わぬ顔で!

「うにゃあああああああああああっ!!」

「ひやっ!? き、急にもみもみしないでよぉ~……!」

 胸の大きな人は私達の敵だぁぁぁああああっ! つまり! しずかちゃんも私達小さい人達の敵だああああああ! 良いやつだと思ってたのに……! この裏切り者がああああああああああ!

「んんッ、ちょっ、と……レーカ、ちゃ、ンッ」

「ふにゃああああああああ! 私の弱みに漬け込んだ罰だよっ!」

「やめいっ!」

「ふにゃっ!」

 振り下ろされた一太刀の手刀がレイカの頭に叩きつけられると、わきわきしていた手が大きな大きな■■■■から離れた。すぐにそれを守るようにしずかはサッと手で隠した
 レイカは頭を押さえながらすぐに振り返ると、そこにいたのは──、

「ホリちゃん!?」

「その人の胸を触っていいのはアタシだけだっ!」

「「えっ?」」

 二人の素っ頓狂な声が静かだった教室に響き渡った……


 ※※※


 番外編……その二『クレイジーがーる』

 二人が寝入った後、ネネとコオロギはソファの前に並んで座っていた

「姐さん……負けた暁には、明日の掃除当番ッスよ」

「ええ、良いわよ。……勝てたらね!」

 『3……2……1……』と、テレビ画面の中央に映る数字が減っていく。その数字の下には、横二つに分かれて表示されている道路の真ん中に二台の車が映っていた

 カーチェイスだ

『GOッ!』

「うおおおおおおおおおお……!」

「行けえええええええええええええ!」

 ──白熱したカーチェイスだった。とだけ記録しておこう。これを具体的に書くには流石に彼が可哀想だ

「……ふっふっふ。罰ゲームね……! さぁて、何をさせようかしら……?」

「くっ……! あんまり痛いのは勘弁ッス……!」

「うーん……。そうねぇ……。あっ! 良い事思いついたわっ」

 パチンっと指を鳴らしてニコニコ顔でコオロギに詰め寄るネネの顔にはうんともすんとも言わせぬ威圧感があった

「な、なんスか……」

「ふっふっふ……」


 ──斯くして、事件は次の朝に起こる


「……えっ?」

 自室から出てレイカを起こしてからリビングに来たレイは、彼女の存在に驚いていた

「……俺ッス。コオロギッス」

 恥ずかしそうに苦笑する美少女感漂う顔でそう言われ、レイがしばらくの間沈黙してしまうほどだ。そもそも、顔と体のギャップがスゴイ。顔は無邪気な少女風なのに対してしっかりと男性の体つきなのだから

「あっ、はい。分かりました」

 目が合っているにも関わらず目を合わせていないように感じさせるその目に顔を赤らめてその顔を隠すように両手で覆ってしゃがみ、くるりと背を向けてしまった

「あ、コウくんおはよー」

「あ、おはよッス。嬢さん」

「あれ? レイカちゃんはこの人がコオロギさんだって分かってたの?」

「うん。だって月一くらいでこの見た目になってるもん。たぶんこの家で知らなかったのレイくんだけだよ」

「やっぱり、この格好はいつまで経っても恥ずかしいッス」

 まさかの平然と受け答えするレイカに驚きながらも、月に一回あたりの頻度でこの姿が見られると言われ、流石にレイも苦笑を隠せない。それどころか、少しだけコオロギから距離をとっている

 ようするに、引いてる

「レイくん」

「な、何……? レイカちゃん?」

「受け入れるしかないんだよ……これは」

 察したように肩に手を置かれ、レイの目は光の速さで死んでいった


 ※※※


 番外編……その三『魔法少女レイカちゃん』

 ──魔法。それは、何かに熱心になる心のエネルギー。

 そして、熱い心を持つ少女──石本レイカも、魔法を使えるのだった──……。

「きゃー! かいじゅーが! かいじゅーがあああああ!」

 どこかで誰かが叫ぶ時、どこかで誰かが泣いている時、そんな困っている彼らに救いの手を伸ばす一人の女の子がいた。

 それは──、

「──出たなぁ! かいじゅーめっ!」

 ──そう! 我らが可愛いレイカちゃんであるっ!

 白いネコのきぐるみパジャマで登場し、カッコよくウィンクして人差し指を立てた右手を道路のど真ん中で暴れる『かいじゅー』に向けて、ついでにキラキラした瞳も向けると『かいじゅー』が動きを止めてレイカの方に向き直った。

「悪いことはしちゃダメなんだよっ! 分かったら大人しくお家に帰りなさいっ!」

 しかし、『かいじゅー』は聞く耳も持たないどころか突然レイカを踏んづけようと足を振り上げてきたのだ!

「もぉー! レイカちゃん怒っちゃったから! へーんしーん!」

 レイカが勢い良く右手を宙にかざすと間抜けなネコの鳴き声と共に途轍もない異臭を放つネコの手を形取った!

 その臭いはまるで三週間お風呂に入っていないおじさんの脇に唾液を染み込ませてその上でゲロを吐いたような──……。

 ハッキリ言って、クサイッ!

 死にそうなほど!

 現にレイカの後ろの方では何人もの人々が鼻を押さえて倒れてしまっている。

「ぐっざぁぁぁあああああ……っ!」

 ドッスーン! と、盛大にこけてかいじゅーすらもやっつけてしまった!

 ──が、

「し、死ぬぅ……。だ、ず、げて、ぇ……」

 それを最も近い距離で臭っているレイカは既に涙を流しながらその場に倒れていたのだった。なお、その杖はレイカの後頭部に乗っかってしまい、その臭いが絶たれることは二度と無かった。

 魔法少女レイカちゃん──完。


 ※※※


 番外編……その四『深い闇』

 砂漠の遺跡を探検していたミズキさんとレイくんとレイカちゃんの三人きょうだいはその最下層でついにお宝を発見したようです

「にゃはー! 見て見て! 金銀財宝いっぱいだぁー!」

「レ、レイカちゃん、こういうのは、きっとどこかに罠があるよ。注意しないと……!」

「レイくんっ、レイカちゃんは私が見るので私を、私だけを見てくださいです!」

 金銀財宝を前に騒いで『ニョホホホ』とはしゃぐレイカを注意して見守りながらも、くまなく警戒心を辺りに張り巡らせているレイくんは腕に抱き着くお姉さんのミズキさんの事もあってとても疲れているようです

「あっ! おにーちゃーん! 見て見て! 金色のランプ! これ擦ったらお願い事聞いてくれるかなぁー?」

「あ、危ないよ、レイカちゃん……!」

「レイくん! ここは危険がいっぱいです! 帰ってご飯にするです! 美味しいご飯を作って、あーんってしてあげるです!」

「もー! ミッちゃん! 今はお宝探しなんだから帰りたかったら一人で帰って!」

「……は?」

 姉妹の仲の悪さは格別です。一級品です。これを直すのはレイくんにはとても難しそうなので流石にやめておきましょう

 さて、ほっぺたを引っ張られてランプを奪われたレイカちゃんはレイくんに泣きついて慰められているご様子。その間にミズキさんはランプを手で何度か擦ってみました

 すると──、

「私はネネさん大魔神! さあ! お願い事を一つだけ叶えてあげるわよ!」

 なんとランプの口から煙がモクモクと上がって女性らしき影になるではありませんか! この事に三人は衝撃を受けてしばらく棒立ちしてしまいます

「あ、あれ? ちょっと、聞いてた? 聞いてない? ちょっとぉ~……さっきの恥ずかしいんだから! せめて一度で終わらせてよ! 聞いててよ! すっごい恥ずかしいじゃない! 恥ずか死ぬ!」

 ──いくら赤面しようが手で顔を押さえようが影は影。黒い影でしかありません。その上、煙の中の黒い影となれば、もう何をしているのかなんて外からほとんど識別不可能です。よって、言葉でしか相手の事が分からないので行動で示されても全く反応を返す事はできません

「願いを無限に増やしてくださいです」

「そんなお願いダメに決まってるでしょ!」

「では、二つに増やしてくださいです」

「え? ま、まあ……そのくらいなら……? いえ、でもやっぱりだめなの! 『大魔神お願い事管理団体』に告訴されるわ! もう後がないのよ!」

「では、私とレイくんをとても仲の良い夫婦に!」

「えっ? ………………チッ。分かったわよ」

「今、舌打ちらしき音が……」

「って! ダメでしょ!? 家族だよ!? きょうだいなんだよ!? 分かってる!?」

「はいです。分かってるですよ。安心してくださいですレイカちゃん。レイカちゃんは赤ちゃんとしておしめやお風呂、トイレまで、何から何までお世話してあげるですから。でもレイくんは私のものです。絶対に誰にも渡さないです」

 ミズキさんは刹那のみレイくんの右腕から手を離し、即座にギュッと守るようにレイくんに力強く抱きついてもう離さないぞと言わんばかりに頬を膨らまし、レイカちゃんを睨みつけて威嚇しています

「ゔっ……ぐるじぃ……」

「レイくんは私とずっと遊ぶんだもん!」

 ドスっと反対側から横腹に体当たりアンド絞め千切らんとするばかりに腰に手を回すレイカちゃんが更に加わり、レイくんはもう青い顔でブクブク泡を吹いて白目を向いてしまうしか反応ができずにいるようです

「ケンカはやめなさーい!」

 しかしそんな影の叫びも虚しく、ただただ少女達の醜い争いが続くのでした──……


 そして──、


「あっ! レ、レイくん!?」

 二人に左右から挟み撃ちにされ、体中の骨ををくまなく折られてしまったレイくんは既に虫の息でした。……いえ、彼は既に息絶えていました
 しかしその寝顔はとても安らかで、口から血の含んだ泡を吹いている所を度外視すればまるで眠っているかのようです

「どどっ、どーしよっ!? レイくん! 死んじゃやだぁぁー!」

「大魔神さん! 至急お願いするです!」

「ん? やっと決まったの?」

「レイくんを生き返らせてほしいのです!」

「分かりました。……じゃあ、目覚めのキッスを──」

 ミズキさんはすぐにランプを叩き割りました。すると影も煙も跡形も無く消え去り、金銀財宝だけが部屋に取り残されました

「あーっ! もー! 何してるの!?」

「レイくんは私のものです、レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものです。レイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものですレイくんは私のものです──……」

 こうしてミズキさんはレイくんだけを追い求める凶暴なモンスターと成り果ててしまいましたとさ

 深い闇──完。


 ※※※


 番外編……最終話『ファンシー☆不思議の国へようこそ!』

 目が覚めると、そこは不思議の国でした。

 どうやらレイくんはバスケットを持って女の子のお洋服でミルクの泉のほとりまで皆でピクニックをしに行くようです。

 レイくんのチャームポイントの赤くて大きなリボンはお隣に住んでいるミズキちゃんとお揃いなのです。しかしミズキちゃんは今、森にレイカちゃん達を誘いに行っている所で、現地に直接集合なのです。


 とてとてとてとて……。


 しばらく歩いていると森の前でオオカミのきぐるみに身を包んだイナツキくんに出会いました。彼はどうやらお腹を空かせているようです。

「ぐへへへ……! そのバスケットの中身を寄越せぇ……!」

「だ、ダメです……! これは、ピクニックに使うから……」

「ならお前を喰ってやるぅ!」

 がおー!と両手を振り上げてレイくんに襲いかかるイナツキくんを前に、レイくんは頭を押さえてしゃがんで泣いてしまいました。

「……もしかしてレイくんを虐めてるですか?」

 ガシリと肩を掴まれたイナツキくんは振り返ります。すると、そこには何も言わせない圧力のある顔を浮かべるミズキちゃんが立っていました。

「邪魔をするならお前から食べてやる……! がおー!」

 狙いをミズキちゃんに切り替えたイナツキくんは両腕でぽかすか叩き始めます。

「やめろです」

 しかし、それも一瞬でほっぺたを叩かれて止まりました……。

 そして呆然としているレイにニコッと微笑んで見せると、

「レイくんは先に行っていてくださいです」

 とだけ言い遺して暴れるイナツキくんのオオカミのきぐるみの頭の部分を引っ張って森の中まで連れて行きました。


 ──その後、少ししてからミルクの泉のほとりに行くと、既に皆が待っていました。ミズキちゃんはどこからどうやって来たのか、一足先に着いて敷いたシートの上で座ってレイくんを待っていました。

 他にも、レイカちゃんをコオロギくんが肩車して走っていたり、泉の精のネネさんが楽しそうにシートの上に座ってサンドイッチやジュースを飲んでいたりしています。
 そして隅っこの方ではイナツキくんが頭を抱えて震え、ずっと何かをブツブツと呟いています。

 ここにはもう既にたくさんの人達が集まっているのだと、レイくんはびっくりしました。

「うわぁ……! いっぱいいるんだね、ミズキちゃん!」

「レイくんに喜んでいただけて嬉しいです~……」

 恥ずかしそうに頭をかいて顔を赤くするミズキちゃんはそれを誤魔化すためなのか、ちょっとだけレイくんから顔を背けてしまいました。

「ぼ、ボク、何かいけないことしちゃった……?」

 しかし、それを怒られていると勘違いしてしまったレイくんはしゅん……と落ち込んでしまい、そんなレイくんを見たミズキちゃんは慌てて身振り手振りで怒っていないと伝えるのに必死なご様子です。

「い、いえ! レイくんは何もしてないです! すごくいい子です!」

「良かったぁ~……! ボク、ミズキちゃんに嫌われたくないから!」

 ホッ、と息をついて胸を撫で下ろすレイくんを見てひとまずの不安を拭い去れたミズキちゃんはぽんぽんと自分の隣を叩いて示しました。

「レイくん、一緒に食べるです」

「うんっ!」

 幼子のように無邪気な笑みを浮かべて、レイくんはミズキちゃんの隣に膝を伸ばして座りました。バスケットは膝の上に置いて。

「パ、パイを焼いてきたんだ! 良かったら食べて!」

「はい、食べるですっ」

 しかし、バスケットのフタを開けて見ると、ぐちゃぐちゃに潰れたり割れたりしてしまっているパイの残骸しか残っていませんでした。

「ぁ、ぅ……」

 バスケットの中身は少し前にイナツキくんに襲われた時、頭を押さえてしゃがみ込んだ時にぐちゃぐちゃになってしまっていたのでした。

 しかし、そのことを知る由もない二人はそのパイの残骸を見て、特にレイくんは落ち込んでバスケットのふたを閉じてしまいました。

「ご、ごめんなさい……」

「だいじょーぶですっ! またパイを作った時に呼んでくださいですっ! ぜったいに食べに行くです!」

「う、うん……」

 それでもレイくんはガッカリしている様子で、バスケットを膝の上に置いたままそれを見詰めて黙り込んでしまいました。

 その隣で落ち込んでいる様子と心配している様子が半分ずつ混ざっている面持ちでピンク色の水玉模様のシートの上で二人は周りよりも重く沈んでしまいました。

 ──しかし、それを見兼ねたネネさんがミズキちゃんの肩をツンツンとつついて、振り返った所にとある物を差し出します。それを見たミズキちゃんは大変驚いた様子で目を見開いていました。しかし、すぐに小さく首を振って力強く頷くとレイくんに勇気を出して話しかけます。

「レ、レイくん!」

「な、なぁに?」

「レイくんのパイは食べられませんでしたが、私の作ってきたサンドイッチはまだ残ってるです! 一緒に食べるです!」

「で、でも……」

「サンドイッチは食べるために作ったですから、食べないと勿体無いです! こっちがレイくんです!」

 よく見ると、サンドイッチのパンの面に可愛らしくデフォルメされたレイくんの顔が焼き付けられていました。

「あ、ありがとう、ミズキちゃん……! また、パイを焼いて持って行くね!」

「はいです!」

 こうして、皆で仲良くピクニックを楽しみました。ちなみに、イナツキくんは途中からレイカちゃんとコオロギさんのオモチャにされて、遊ばれていました。


 後日談ではパイを山のように焼き過ぎてしまい、申し訳なさそうにしているレイくんを横目にそれらを全て平らげてお腹をぷっくり膨らましたミズキちゃんが見られました。


 ※※※──……。


[あとがき]

 四月も一週間以上を過ぎて申し訳ありません。二章執筆途中の作者です。

 今は併願で受かっても宿題は出る事に驚きながらも書類関連に目を通しつつ執筆含めて三本立てで同時並行しているような今日この頃。ゲームも含めればもうちょい増えるかも。

 話逸れました。
 すみません。

 この番外編は本編とは特に関係なく息抜き程度に受験勉強中アンドつい最近になって書いたものです。

 本編書いても良かったんですがそもそも話の構成すら上手くないのに勉強挟んだりしてたら余計ぐちゃぐちゃになると思っていたのでたまにこうして番外編書いて生き抜きました。

 本当なら全番外編のラストに挿絵を挟むつもりだったんですけどスマホじゃマジで描きづらい! 紙も無くなってたし。なので慟哭したりする場面も挟みつつ断念したのですが……。

 とは言え、長く粗雑な話を頑張って読んで下さりありがとうございました。

 二章も執筆がんばります!
 二章では一章に比べて色々なものの核心にガンガン突っ込んでいくような感じになっています。読みにくくなってるかもしれません。
 人の心の機微って難しいね。

 これ以上書いてるとずっと続く気がするのでここで止めておきます。
 待ってくれている方々、ありがとうございます。ごめんなさい。二章、できるだけ早く書き終われるように頑張ります。

 早ければたぶん四月中に更新できると思います。最悪、遅くても五月初旬までには更新します。

 できればこれからも宜しくお願いします。
 あと、この話は完全IFなので非公開にはしません。たぶん。
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