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第一部 ライアス編
旅立ち
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あの激しい戦闘から2日が経った。あの恐ろしい魔族の軍隊を壊滅させた。今は村の皆の傷の手当てと亡くなった人達の亡骸の回収と弔いを行っていた。
悲しみ泣き崩れる者もいた。だけど今はまた襲って来るかもしれない魔族の攻撃に備え、村の防御の補強を騎士団が行ってくれている。
村の中央の村長の家では主だったメンバーが集まっている。
ユミ将軍に騎士団の副官、村長様、お父さんにライアスだ。そんな中の片隅に「私も呼ばれたけれど何だろう?」とマリアは緊張しながら参加していた。
緊張がライアスに伝わったのだろうか、こちらを振り向き、大丈夫だよと言わんばかりの表情を向けてくれた。
いつもの穏やかで少しシャイなライアスだ。まるで2日前の戦闘の時とは別人に思えた。
マリアは少し安心した所でユミ将軍が話し始めた。「皆の者、この度の戦いでよく村を守り抜いてくれた。ここを突破されたら王都まで攻め込まれた…」そしてユミ将軍が立ち上がり続いて副官も立ち上がった。そして、「すまない…我々がもう少し早く到着していれば、こんなに犠牲者が出ることもなかったのに…」そう言うと深々と頭を下げた。
「姫様、もったいのうございますじゃ、お顔を上げてくだされ。」村長が驚きと感極まってユミ将軍に近寄った。
ダムザも「姫が駆け付けてくれなければ、我々の村は全滅していました。姫の活躍のお陰です!」
「すまない…ありがとう。」ユミ将軍は悲しみで満ち溢れた瞳だったが、懸命に笑みを浮かべてくれていた。
戦場では凄まじい戦いぶりだっけど、今はまるで妹のような年下の女の子のようだなとマリアは思った。
「さて、本題に入ろう。そなたがライアス殿か?老師に秘伝を託されたという…。」
「はい、三大奥義までは継承しました。ですが…その先にある心威把までには到っておりません。」とライアスは返事をした。
するとユミ将軍も「心威把か…。あれは特別らしいからな。それに私は三大奥義までは会得していないからな、ライアス殿はすごいお方だな。」
「ですが姫様は硬気功を使えますよね。しかもあれだけの猛攻にも傷を負わない程の…」ライアスが尋ねた。
気功?聞いた事がある…私達魔法使いはエーテルをコントロールして魔方陣を通して火・水・風・土・雷・光・闇の精霊の力を借りて魔法を使うのに対して、気功はこの世界全てに気が宿っているとされ、丹田?っていう体内に気を集めるんじゃなかったかな…マリアは自分の中の知識を頭の中で思い浮かべた。
「私は身体強化しか使えないよ。他の兄姉達と比べても魔法が使えるわけでも、治世に向いているわけでもないよ。」と苦笑いをしながら肩をすくめた。
「ライアス殿!」ユミ将軍は真っ直ぐにライアスの瞳を見てキリッとした声で呼んだ。
「はい!」ライアスもそれに応えるように、ユミ将軍を見た。
「魔族は世界各地で侵略を広め戦いが激化している。貴方には老師を探して心威把を会得して欲しい!そして魔族を共に討ち滅ぼして欲しいのだ!」ユミ将軍は強く真っ直ぐな気持ちをライアスにぶつけた。
そして、ここに居る全ての人達の視線が一斉にライアスに向けられた。
「わかりました…世界では惨劇が広がり悲しみ苦しんでいる人が数え知れない。戦禍は僕の村まで及んで来ました。…姫様、僕は旅に出ます。もう一度老師に会って心威把を会得し旅先で苦しんでいる人達を助けて…」ライアスは力強く立ち上がり「魔王を、魔族を倒します!」
ここに居る全ての人達はライアスの強い決心に感嘆している。村長も涙を………あ、あれ視界が…泣いてるのは私…。ライアスが魔族を倒す為に旅立つ…じゃあ私は?このまま、この村で待つの?マリアは涙が止まらなかった。
「マリア…お前もライアスと一緒に行って来なさい。」ダムザが重い口を開いた。
「えっお父さん?」マリアはダムザを見つめた。
「本当なら、娘にこんな事を言うなんて…父親失格だな。情けないが、私ではライアスの旅の足手まといなる。」と悔しそうにダムザが話す。
そこに村長も「マリアよ。お前は若いが魔法の才能がある。ライアスのこれからの旅は苛酷になるであろう。ライアスの力になってやってくれぬか?」
「お父さん、村長様…。わかりました。ねえ、ライアス…私もついていっていいよね?」マリアはライアスの顔を見つめた…。
「マリア…。本当は戦いが嫌いな君は、連れて行きたくなかった。この村で平和に暮らしていって欲しかった。でも、ついて来て欲しい。」
ライアスもマリアを見つめて続けて話す。
「ありがとう、ライアス…。私は貴方の役に立ちたい!」マリアは涙を拭って笑った。いつもの優しいマリアの笑顔に…。
ユミ将軍も立ち上がり二人を頼もしそうに見上げ「ありがとう。ライアス殿、マリア殿。よく決心してくれた。では、旅立ちに備えて城に国王陛下に会って欲しい。」
「ライアス、村は私達が守る!マリアを頼んだぞ…。」ダムザがライアスの側に行き、両手を力強く握り締めた。
ライアスとマリア、二人の冒険の旅立ちの日は2日前の戦いが嘘のように暖かく優しい風が心地よい日であった。
悲しみ泣き崩れる者もいた。だけど今はまた襲って来るかもしれない魔族の攻撃に備え、村の防御の補強を騎士団が行ってくれている。
村の中央の村長の家では主だったメンバーが集まっている。
ユミ将軍に騎士団の副官、村長様、お父さんにライアスだ。そんな中の片隅に「私も呼ばれたけれど何だろう?」とマリアは緊張しながら参加していた。
緊張がライアスに伝わったのだろうか、こちらを振り向き、大丈夫だよと言わんばかりの表情を向けてくれた。
いつもの穏やかで少しシャイなライアスだ。まるで2日前の戦闘の時とは別人に思えた。
マリアは少し安心した所でユミ将軍が話し始めた。「皆の者、この度の戦いでよく村を守り抜いてくれた。ここを突破されたら王都まで攻め込まれた…」そしてユミ将軍が立ち上がり続いて副官も立ち上がった。そして、「すまない…我々がもう少し早く到着していれば、こんなに犠牲者が出ることもなかったのに…」そう言うと深々と頭を下げた。
「姫様、もったいのうございますじゃ、お顔を上げてくだされ。」村長が驚きと感極まってユミ将軍に近寄った。
ダムザも「姫が駆け付けてくれなければ、我々の村は全滅していました。姫の活躍のお陰です!」
「すまない…ありがとう。」ユミ将軍は悲しみで満ち溢れた瞳だったが、懸命に笑みを浮かべてくれていた。
戦場では凄まじい戦いぶりだっけど、今はまるで妹のような年下の女の子のようだなとマリアは思った。
「さて、本題に入ろう。そなたがライアス殿か?老師に秘伝を託されたという…。」
「はい、三大奥義までは継承しました。ですが…その先にある心威把までには到っておりません。」とライアスは返事をした。
するとユミ将軍も「心威把か…。あれは特別らしいからな。それに私は三大奥義までは会得していないからな、ライアス殿はすごいお方だな。」
「ですが姫様は硬気功を使えますよね。しかもあれだけの猛攻にも傷を負わない程の…」ライアスが尋ねた。
気功?聞いた事がある…私達魔法使いはエーテルをコントロールして魔方陣を通して火・水・風・土・雷・光・闇の精霊の力を借りて魔法を使うのに対して、気功はこの世界全てに気が宿っているとされ、丹田?っていう体内に気を集めるんじゃなかったかな…マリアは自分の中の知識を頭の中で思い浮かべた。
「私は身体強化しか使えないよ。他の兄姉達と比べても魔法が使えるわけでも、治世に向いているわけでもないよ。」と苦笑いをしながら肩をすくめた。
「ライアス殿!」ユミ将軍は真っ直ぐにライアスの瞳を見てキリッとした声で呼んだ。
「はい!」ライアスもそれに応えるように、ユミ将軍を見た。
「魔族は世界各地で侵略を広め戦いが激化している。貴方には老師を探して心威把を会得して欲しい!そして魔族を共に討ち滅ぼして欲しいのだ!」ユミ将軍は強く真っ直ぐな気持ちをライアスにぶつけた。
そして、ここに居る全ての人達の視線が一斉にライアスに向けられた。
「わかりました…世界では惨劇が広がり悲しみ苦しんでいる人が数え知れない。戦禍は僕の村まで及んで来ました。…姫様、僕は旅に出ます。もう一度老師に会って心威把を会得し旅先で苦しんでいる人達を助けて…」ライアスは力強く立ち上がり「魔王を、魔族を倒します!」
ここに居る全ての人達はライアスの強い決心に感嘆している。村長も涙を………あ、あれ視界が…泣いてるのは私…。ライアスが魔族を倒す為に旅立つ…じゃあ私は?このまま、この村で待つの?マリアは涙が止まらなかった。
「マリア…お前もライアスと一緒に行って来なさい。」ダムザが重い口を開いた。
「えっお父さん?」マリアはダムザを見つめた。
「本当なら、娘にこんな事を言うなんて…父親失格だな。情けないが、私ではライアスの旅の足手まといなる。」と悔しそうにダムザが話す。
そこに村長も「マリアよ。お前は若いが魔法の才能がある。ライアスのこれからの旅は苛酷になるであろう。ライアスの力になってやってくれぬか?」
「お父さん、村長様…。わかりました。ねえ、ライアス…私もついていっていいよね?」マリアはライアスの顔を見つめた…。
「マリア…。本当は戦いが嫌いな君は、連れて行きたくなかった。この村で平和に暮らしていって欲しかった。でも、ついて来て欲しい。」
ライアスもマリアを見つめて続けて話す。
「ありがとう、ライアス…。私は貴方の役に立ちたい!」マリアは涙を拭って笑った。いつもの優しいマリアの笑顔に…。
ユミ将軍も立ち上がり二人を頼もしそうに見上げ「ありがとう。ライアス殿、マリア殿。よく決心してくれた。では、旅立ちに備えて城に国王陛下に会って欲しい。」
「ライアス、村は私達が守る!マリアを頼んだぞ…。」ダムザがライアスの側に行き、両手を力強く握り締めた。
ライアスとマリア、二人の冒険の旅立ちの日は2日前の戦いが嘘のように暖かく優しい風が心地よい日であった。
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