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第7章 血の日曜日
第38話 『声』 ※残酷描写あり
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その身に宿す神の交代を宣言した善磨は太刀を地面に突き立てると、印を結んで真言を唱え始めた。言い知れぬ重圧を感じたタスクは追いかけるように続く。
「……ノウマク サンマンダ バザラダン カン、全ての煩悩を焼き尽くす紅蓮の炎を我が太刀へ————」
「……オン ベイシラ マンダヤ ソワカ、我が呼び声に応えよ————『毘沙門天』‼︎」
二柱の神の降臨によって凄まじい風圧が発生し、周囲の建物を大きく揺るがした。通りには次々と窓が割れる音が響き渡り、逃げ遅れていた者はもちろん、屋内からも人々の叫び声が木霊した。
『毘沙門天』の力がタスクの全身に満ち溢れた頃合いでようやく風圧が収まり、変貌を遂げた仇の姿が明らかになった。
————どこか柔和さすら漂わせていた顔つきは憤怒の形相に変わり、その肌は人ならざる心根を象徴するかのように青黒く染まっていた。
「その姿は————‼︎」
突き立てていた太刀をおもむろに引き抜き善磨がタスクの声に応える。
「そう……、五大明王の中心に位置する『不動明王』。そして、君に宿りしは四天王の筆頭である『毘沙門天』か。相手に取って不足なし……!」
「…………‼︎」
善磨が太刀を構えると、突如その背後に灼熱の焔が沸き上がり一対の翼を形成した。
◇
————一方その頃、さらに精神を成長させたミロワは屋敷に残るように促すシュウを振り切り、街中に飛び出して行ったタスクの後を追っていた。
まるで目印のように咲いている紅い花に吐き気を催しながらもミロワは歩みを止めない。
「……タスク……、嫌な予感がするの……。待ってて、私が守ってあげるから……!」
慈愛に満ちた瞳でつぶやいた時————、
【————のです……】
「え……?」
不意に呼び掛けられたミロワは周囲を見渡したが、辺りには生きている人の姿は見えない。
「……今の『声』は……?」
【思い出すのです。あなたに与えた使命を————】
その『声』は脳内に直接響いた。
ミロワは頭を押さえてその場にうずくまった。
「誰……? わたしを呼び掛けるあなたは一体誰なの————⁉︎」
◇ ◇
————『不動明王』の力を宿した善磨にタスクが身構えた時、揃いの制服に身を包んだ数十人の男たちが駆けつけ、二人の前に整列した。
「貴様ら! この惨状は貴様らの仕業だな⁉︎」
男たちは衛兵団の増援と見られ、その中の一際威厳のある男が指を突きつけ声を荒げた。
「————よせ! 奴を刺激するな! お前たちの手に負える相手ではない‼︎」
『毘沙門天』を宿し赤髪の姿となったタスクが制止の声を上げるも、リーダーと思われる男は耳を貸さない。
「黙れ! 殺人鬼どもめ! 総員、躊躇するな! 私の合図で一斉射撃だ‼︎」
「俺の話を————」
「……『迦楼羅焔』……」
二人のやり取りの合間に善磨がボソリとつぶやくと、その声に呼応するように背中の焔が龍の形を成し太刀に巻きついた。
「————ッ総員、構えッ‼︎ 発射————」
「やめろ————ッ‼︎」
再び制止の声を上げたタスクを尻目に善磨は焔の太刀を軽く振った。
剣先から放たれた小指ほどの火種がフワフワと宙を漂ったかと思えば、次の瞬間、火種が灼熱の帳となって飛来する無数の弾丸もろとも衛兵団を飲み込んだ。
「ギャアアアアアアッ‼︎」
善磨の放った焔の壁は数十人の人間を骨も残さずこの世から消滅させてしまった。後に残るは鼻腔に纏わりつく肉の焼け焦げた臭いのみである。
またしてもいとも容易く行われた殺戮を目の当たりにし義憤に駆られたタスクが刀を突き出した。
「貴様————ッ‼︎」
「————なぜ人間を殺すか、まだ答えていなかったね」
不意に善磨が口を開いた。
「私が人間を殺す理由————それは、我が主の命に従っているからだ」
「……ノウマク サンマンダ バザラダン カン、全ての煩悩を焼き尽くす紅蓮の炎を我が太刀へ————」
「……オン ベイシラ マンダヤ ソワカ、我が呼び声に応えよ————『毘沙門天』‼︎」
二柱の神の降臨によって凄まじい風圧が発生し、周囲の建物を大きく揺るがした。通りには次々と窓が割れる音が響き渡り、逃げ遅れていた者はもちろん、屋内からも人々の叫び声が木霊した。
『毘沙門天』の力がタスクの全身に満ち溢れた頃合いでようやく風圧が収まり、変貌を遂げた仇の姿が明らかになった。
————どこか柔和さすら漂わせていた顔つきは憤怒の形相に変わり、その肌は人ならざる心根を象徴するかのように青黒く染まっていた。
「その姿は————‼︎」
突き立てていた太刀をおもむろに引き抜き善磨がタスクの声に応える。
「そう……、五大明王の中心に位置する『不動明王』。そして、君に宿りしは四天王の筆頭である『毘沙門天』か。相手に取って不足なし……!」
「…………‼︎」
善磨が太刀を構えると、突如その背後に灼熱の焔が沸き上がり一対の翼を形成した。
◇
————一方その頃、さらに精神を成長させたミロワは屋敷に残るように促すシュウを振り切り、街中に飛び出して行ったタスクの後を追っていた。
まるで目印のように咲いている紅い花に吐き気を催しながらもミロワは歩みを止めない。
「……タスク……、嫌な予感がするの……。待ってて、私が守ってあげるから……!」
慈愛に満ちた瞳でつぶやいた時————、
【————のです……】
「え……?」
不意に呼び掛けられたミロワは周囲を見渡したが、辺りには生きている人の姿は見えない。
「……今の『声』は……?」
【思い出すのです。あなたに与えた使命を————】
その『声』は脳内に直接響いた。
ミロワは頭を押さえてその場にうずくまった。
「誰……? わたしを呼び掛けるあなたは一体誰なの————⁉︎」
◇ ◇
————『不動明王』の力を宿した善磨にタスクが身構えた時、揃いの制服に身を包んだ数十人の男たちが駆けつけ、二人の前に整列した。
「貴様ら! この惨状は貴様らの仕業だな⁉︎」
男たちは衛兵団の増援と見られ、その中の一際威厳のある男が指を突きつけ声を荒げた。
「————よせ! 奴を刺激するな! お前たちの手に負える相手ではない‼︎」
『毘沙門天』を宿し赤髪の姿となったタスクが制止の声を上げるも、リーダーと思われる男は耳を貸さない。
「黙れ! 殺人鬼どもめ! 総員、躊躇するな! 私の合図で一斉射撃だ‼︎」
「俺の話を————」
「……『迦楼羅焔』……」
二人のやり取りの合間に善磨がボソリとつぶやくと、その声に呼応するように背中の焔が龍の形を成し太刀に巻きついた。
「————ッ総員、構えッ‼︎ 発射————」
「やめろ————ッ‼︎」
再び制止の声を上げたタスクを尻目に善磨は焔の太刀を軽く振った。
剣先から放たれた小指ほどの火種がフワフワと宙を漂ったかと思えば、次の瞬間、火種が灼熱の帳となって飛来する無数の弾丸もろとも衛兵団を飲み込んだ。
「ギャアアアアアアッ‼︎」
善磨の放った焔の壁は数十人の人間を骨も残さずこの世から消滅させてしまった。後に残るは鼻腔に纏わりつく肉の焼け焦げた臭いのみである。
またしてもいとも容易く行われた殺戮を目の当たりにし義憤に駆られたタスクが刀を突き出した。
「貴様————ッ‼︎」
「————なぜ人間を殺すか、まだ答えていなかったね」
不意に善磨が口を開いた。
「私が人間を殺す理由————それは、我が主の命に従っているからだ」
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